【社会系コース】
赤 羽 孝 之(教 授)
浅 倉 有 子(教 授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部・大学院とも,第1時間目に,授業のおおよその進め方,評価方法等についての説明を行っている。
学部・大学院ともに,中学校社会科歴史分野,高校日本史の記述の変化や不足な点等について,学説史の観点から説明し,文献史料の読解,絵画資料等の非文献史料や映像資料等の活用についても取り上げ,教科の力量を付けることを心がけている。
【観点2】教育の達成状況
学部・大学院ともに,おおよそ当初の目的を達成し得たと考えている。ゼミ生のうち,学部4年生のうち1名は,新潟市の小学校教員として採用され,もう1名は県内の企業に就職した。大学院を修了した2名のうち1名は,石川県の小学校教員として採用され,もう1名は,山口県立萩高校に復職した(2年間休職して本学大学院で研究を行った)。
研究指導
【観点1】学部
3年生と4年生の合計5名でゼミを行い,論文を読解する力,歴史史料を読解する力の育成を図り,研究手法の共有,議論をする能力の向上に努めた。4年生については,卒業論文執筆のために,歴史史料の読解を中心に,10月以降,週1回程度の個別ゼミを行った。11月には,大学院ゼミ生とともに論文作成のための合宿を行った。
4年生2名のうち1名は特に優れた論文を提出した。
【観点2】大学院
6名のゼミ生の指導を行った。修士課程のゼミは,学年をこえて全員が一堂に会して行う。力量が様々であるため,個人の能力に応じて,論文を読解する力,歴史史料を読解する力の育成を図り,総体として研究手法の共有と議論をする能力の向上に努めた。2年生については,修士論文執筆のために,進み方に応じて,週1回程度の個別ゼミを行った。11月には,大学院ゼミ生とともに論文作成のための合宿を行った。修士論文を提出した2名の論文はいずれも優れたもので,学会誌に投稿し,審査を受けている。
その他の教育活動
・ 小学校実習を行った大学院ゼミ生2名と学部3年のゼミ生3名,中学校実習を行った学部4年生1名の研究授業を参観し,指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
学部・大学院ともに,授業が単調にならないよう,AV教材を利用する等の配慮を行っている。また,各種資料をできるだけ配布するよう務めている。標準履修年次学部2年生の「地域調査法A」では,長岡市教育センターの廣田指導主事(修了生)や地域の小・中学校の先生方のご協力を頂いて,学習効果を高めるよう配慮した。同様に,「実践場面分析演習I(社会)」や「博物館資料論」等においても,上越市内の学芸員の方々の協力を頂き,授業を展開している。
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年3月:『城下町高田と人々のくらし―開府400年の軌跡』(共著) 北越出版
発】(1)平成23年11月:『蝦夷地における漆器の流通と使途』(単) 北海道立アイヌ民族文化研究センター 研究会
(2)平成23年8月:『近世の信濃に関する研究の現状』(単) 上越地域史研究会
他】(1)平成23年9月:『「榊原藩政日記」後世へ/「榊原藩政日記」の歴史史料としての価値と保存』 新潟日報
(2)平成23年1月:『「江」テーマに講演/ふぁみりあでの講演の紹介』 新潟日報
(3)平成23年10月:『英傑・康政をしのぶ/旧高田藩和親会における講演の紹介』 上越タイムズ
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)教員採用試験に於ける筆記試験問題の研究 代表者:佐藤芳徳(上越教育大学) 受託研究
(2)近世・近代における大名・華族家資料群に関する基礎的研究―榊原家を中心に 代表者:浅倉有子(上越教育大学) 科学研究補助金
(3)越後国郡絵図の基礎研究―中世の残照と近世の曙光 代表者:伊藤正義(都留文科大学) 科学研究費補助金
(4)前近代における地震による家屋倒壊率の基礎的研究−1707年宝永地震を中心に− 代表者:矢田俊文(新潟大学) 科学研究費補助金
(5)幕藩政アーカイブズの総合的調査・研究 代表者:高橋実(人間文化研究機構国文学研究資料館) 人間文化研究機構国文学研究資料館
(6)プロジェクト研究「戦前・戦中・戦後の高田における知の系譜と教育界―市川氏旧蔵書を素材として」 代表者:浅倉有子(上越教育大学) 上越教育大学
(7)アイヌ漆器の学際的研究 代表者:古原敏弘(北海道立アイヌ民族文化研究センター) 北海道立アイヌ民族文化研究センター
学会活動への参加状況
(1)平成23年10月:上越教育大学社会科教育学会会長, (2)平成23年5月21日〜平成23年5月22日:歴史学研究2011年度大会出席, (3)平成23年11月23日:北海道大学アイヌ・先住民研究センターのシンポジウム「新しいアイヌ史の構築」出席, (4)平成23年10月15日:上越教育大学社会科教育学会出席, (5)平成23年5月21日:北海道・東北史研究会出席
◎特色・強調点等
上越教育大学出版助成金を得て,高田開府400年を見据えた市民向けの本を出版した。この他に,上越教育大学プロジェクト研究「戦前・戦中・戦後の高田における知の系譜と教育界」を開始する等,地域の文化や歴史の掘り起こしに務めている。市民向けの本は,続巻の発行を計画している。同じく市民向けの本である『信濃地域史の焦点』も原稿を提出したが,発刊が遅れている。
また,科学研究費補助金のテーマでもある大名・華族家のアーカイブズ研究も多方面から進めている。昨年の榊原家に続いて,新発田藩溝口家の書目集成の刊行を準備中である。さらに,アイヌ漆器に関する研究は,考古学・民族学の研究者との共同により,新たな段階に入ることができた。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市大規模開発行為審議会委員(上越市)
(2)史跡上田城跡整備実施計画検討委員(上田市教育委員会)
(3)講演「『江』―大河ドラマを2倍面白く観る?」(見附市)
(4)第6回にいがた連携公開講座講演「川中島合戦と信越国境の軍用道」(新潟県立生涯学習推進センター)
(5)第1回郷土史フォーラム講演「榊原家(藩)の遺訓・遺風に学ぶ」((財)旧高田藩和親会)
(6)旧直江津銀行活用検討委員会(上越市文化振興課)
(7)上越市文化財審議会委員(上越市教育委員会)
(8)新潟県文化財審議会委員(新潟県教育委員会)
(9)長野県文化財審議会委員(長野県教育委員会)
(10)上越市歴史的建造物調査専門委員(上越市文化振興課)
(11)「社会科授業を考える会」講師(柏崎刈羽社会科授業を考える会)
(12)講演「楽しく紐解く上田城古文書」(上田・城下町活性会)
(13)新潟史料ネットボランティア(新潟史料ネット(代表:新潟大学矢田俊文))
(14)関山家文書の調査(妙高市教育委員会)
(15)道路安全性検討委員会(国土交通省北陸整備局)
◎社会への寄与等
専門領域を活かし,社会や地域の様々なニーズに可能な限り応えている。とりわけ,文化財指定への寄与をはじめ,地域の歴史,文化の掘り起こしと歴史認識の共有に尽力している。
下 里 俊 行(教 授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
時事的なテーマを積極的に採り入れた授業形態を構築した。成績評価法は,質保証の観点から厳正に行った。
【観点2】教育の達成状況
例年通り,好ましい成果が得られた。ゼミ生のうち,学部は常勤1名,非常勤2名。大学院は常勤1名。全員教職に就いた。
研究指導
【観点1】学部
視聴覚教材を効果的に活用する指導を行った。
【観点2】大学院
視聴覚教材を効果的に活用する指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
社会科内容学の構成に関する研究活動をおこなった。シンポジウム「教員養成のための教科内容学の構築に向けて」 2011年6月
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年1月:『ナデージュヂンによるプラトンの哲学体系の再構築とその哲学史的文脈』(単著) ロシア史研究,89,3-22
(2)平成23年7月:『あるロシア正教神学生の自己形成史─ニコライ・ナデージュヂンの出会いと読書』(単著) スラヴ研究,58,91-122
業】(1)平成23年9月:『「社会科内容学」の構成案』(共著) 「平成22-23年度文部科学省先導的大学改革推進委託事業研究成果報告書・教科専門と教科教育を架橋する教育研究領域に関する調査研究」109-142
◎特色・強調点等
教科専門と教科教育を架橋する視点。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)社会科授業実践研修会・講演「社会科内容学の課題と構成原理についての提案」(新潟県社会科教育研究会)
(2)教員免許講習講座・地理・歴史(上越教育大学)
(3)シンポジウム「教員養成のための教科内容学の構築に向けて」(三大学研究協議会)
◎社会への寄与等
現職教員研修
松 田 愼 也(教 授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
授業においては,板書してノートさせる内容と資料として配付する内容との区分を精査し,授業内容の質の向上に努めた。研究指導においては,毎週のゼミにおいて必ずその間の研究成果のレジュメを提出・報告させ,研究が着実に進むようはかった。成績評価については,講義科目においては,知識の着実な定着をはかるため,小問形式で記述式の試験を課した。また,演習科目では,研究能力の向上のため,複数回のレポート報告内容から成績を判定した。
【観点2】教育の達成状況
院修了の1名は新潟県の小学校教員に正規採用となった。内部進学者であり,学部4年次と院1年次にも受験したが,いずれも2次で不合格となっていた者である。学部時代から教員間の評価は高く,2度の不採用については不思議との感があったが,今回,レベルの高い修論をまとめた上で合格となった結果から推測すると,本人自身,当初から院修了に強い意欲を持っていた故と考えられる。学部卒業者2名のうち,1名は教採に失敗して本学社会系院に進学した。もう1名は同様に失敗して長岡市の教育補助員となった。どちらも教採への準備が遅かったのが原因と考えられる。また,前者については,院進学との間で迷っていた可能性もある。
研究指導
【観点1】学部
臨床に関わることで特別な指導は行っていない。
【観点2】大学院
臨床の関わることで特別な指導は行っていない。
その他の教育活動
・ 新潟県立看護大学非常勤講師として「宗教学」2単位を前期に担当した。また私立上越看護専門学校非常勤講師として「生涯教育論」2単位を後期に担当した。前年度に引き続きワンダーフォーゲル部顧問を務めた。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成23年度上越教育大学地域貢献事業成果報告書「地域の社会科教員と大学教員の協働による巡検を基にした社会科授業力向上事業」『平成の大合併〜上越の過去・現在を綴り未来を探る〜 第6集 安塚区・浦川原区・大島区編』監修 上越教育大学,(協力)新潟県社会科教育研究会
(2)上越市文化財調査審議会委員
山 本 友 和(教 授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部では,各講義・演習間の連続性と関連性に留意した指導を行うとともに,教材開発にかかわる成果等については『社会科教育法研究・2011年度』という冊子にまとめた。大学院では,社会科・公民教育の基本概念について習得させた上で,主として方法論の観点から,比較社会科教育学研究の成果を踏まえた授業論や能動的学習論の分析を行った。なお成績評価に関しては,オリエンテーション時に説明するとともに,学部にあっては,期末試験前に質問時間も設定した。
【観点2】教育の達成状況
学生・院生の授業評価を見る限り,達成状況は良好であると判断できる。
研究指導
【観点1】学部
ゼミでは,受講生の研究テーマとかかわる文献・先行研究の読解をもとに,相互討論と個別指導を行った。なお,その際には,教材化やカリキュラム開発といった臨床的なあり方を意識しながら助言した。
【観点2】大学院
初年次のゼミ生に対しては,受講生の研究テーマとかかわる文献・先行研究の講読と分析を行い,受講生相互の討議も踏まえて,研究課題を明確化させた。ゼミの2・3年次生には,各自の論文構成案に沿って個別指導も行い,教材化やカリキュラム開発といった臨床的なあり方を意識しながら助言・指導した
その他の教育活動
群馬大学教育学部非常勤講師として「中学校社会科指導法C」および「公民科指導法A」の集中講義を担当した。また,教育実習における指導学生・院生の研究授業等には積極的に参加し,可能な限り指導・助言した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
講義においても課題追究活動や発表活動を取り入れ,主体的,能動的な学習となるように工夫した。演習では,問題の所在を明らかにさせた上で,受講生の研究課題に沿った内容を設定し,各受講生の問題意識の深化と専門性の追究を可能とするように工夫した。
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年2月:『地理教育・社会科教育の理論と実践』(共著) 古今書院
論】(1)平成24年3月:『中学校社会科における経済学習の改善に関する実証的研究−価格についての素朴理論を科学理論へと転換させる授業を中心に−』(共著) 教育実践研究(上越教育大学学校教育実践センター),第22集,1−10頁
他】(1)平成23年7月:『経済学習の課題−消費者の自立と「金融」−』(単著) 上越教育大学社会科教育学会だより,第74号
(2)平成23年12月:『書評:川ア誠司著『多文化教育とハワイの異文化理解学習−「公正さ」はどう認識されるか−』風間書房,2011年』(単著) 社会科教育研究(日本社会科教育学会),NO.114,103-104頁
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)中学校社会科公民的分野における政治・経済単元の開発に関する実証的研究 代表者:山本友和(上越教育大学大学院) 上越教育大学及び見附市立南中学校
(2)小学校社会科における社会形成力育成のための単元開発に関する実証的研究 代表者:山本友和(上越教育大学大学院) 上越教育大学および群馬県太田市立綿打小学校
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本社会科教育学会評議員, (2)平成23年度:全国社会科教育学会理事, (3)平成23年度:日本公民教育学会理事, (4)平成23年10月7日〜平成23年10月9日:全国社会科教育学会第60回全国研究大会出席, (5)平成23年10月21日〜平成23年10月24日:日本社会科教育学会第61回全国研究大会出席
◎特色・強調点等
小学校社会科政治学習及び中学校社会科経済学習における単元開発の実証的研究等を通して,教育実践現場における臨床研究のあり方に多少なりとも寄与した。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県小学校教育研究会指定「社会科教育の研究」指導講師(『新学習指導要領の趣旨の実現を図る社会科のポイント』を講話)
(2)教員免許状更新講習講師
(3)「教育実践研究」応募論文の査読
(4)平成23年10月:『上越市表彰(市政功績)/上越市公民館運営審議会委員として市政の進展に貢献』 新潟県上越市
◎社会への寄与等
教育実践への指導・助言等に,多少なりとも貢献したと考える。
畔 上 直 樹(准教授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
(1) 出席・感想カードを毎回,一人ひとり教員から授業冒頭に受け取り,授業後それぞれ提出する事を繰り返す事により(学部授業),毎回の講義への積極性確保,講義の規律確保,前回講義のおさらい・補足等を講義冒頭の導入に利用するなどして,講義内容の正確な定着と関心向上をはかった。
(2) 授業の前日までに講義内容の予告,予習ポイントを授業連絡を活用してアナウンス(学部授業),講義への積極性,内容の定着,関心の定着維持をはかった。
(3) 次回講義に関する予習プリント等であらかじめ予習作業を指定し,そのうえで講義で史料の読み上げ,意見の発表、データの色分け、黒板筆記といった具体的作業を多く取り入れた。
(4) 2年学部講義では,アカデミズム作法とそのうえに成り立つ卒業論文を最終目標とすることを徹底的に意識させるための時間や作業を多く確保し,単なる教員テクニック養成ではない教育「大学」としての実質的な「学士力」の基盤作りにつとめた。
【観点2】教育の達成状況
(1) 出席率はほぼ達成され,かつ規律が確保された。毎回の講義への関心確保や理解度定着に一定程度効果があった。
(2) 効果があった。
(3) 効果があった。
(4) 昨年度の反省に基づき,さらにこの部分に時間を割いた。単なる教員テクニックや精神養成ではない,「大学」であるための最終目標である卒業論文作成への意識や,そのための基礎テクニック(引用の仕方や書誌情報の表記等)を徹底的にたたきこむことには効果があったが,やはり講義に組み込むには限界があり,講義内容の説明時間をかなり圧迫してしまい,バランスをくずしてしまったことに大きな課題を残した。
研究指導
【観点1】学部
教育の実学的な臨床的実践力云々以前の大前提の問題として,「大学」としてのアカデミックな思考力や行動力といった「学士力」の中核を獲得するためにあらゆる授業機会をとらえて様々な試みを行った上で,ゼミでは徹底的に個別の卒業論文作成のための情報収集の仕方,先行研究整理の仕方,典拠情報の適切な記述,具体的な分析方法を公共的な倫理面を重視しつつ,理解というより「体得」させる姿勢でトレーニングにつとめた。また,ゼミでは個々の卒論について,ゼミメンバーで共同で議論する状況づくりにつとめた(個々の卒論に関する文献を一緒に検討,レジュメの作り方の相互批判等)。
【観点2】大学院
学部と同様の姿勢で臨床的な実践力うんぬん以前の大前提となるアカデミックな能力を高度に身につけさせるため,個々の修士論文作成を実質的なものにするためのゼミの専門ディシプリンを基準として普通大学学科と同様に妥協しないトレーニングを行った。ただし,卒論作成を経験しておらず,ゼミの専門ディシプリン外から入学してきた学生と,ゼミと同一の専門ディシプリンの訓練を受け,さらに卒業論文作成を経験し,学科専門においては更にその研究成果を伸ばそうと入ってきた学生を同一地平ではトレーニングできず,基本的には個別指導の形を多くとらざるをえなかった。
その他の教育活動
昨年と方針は変化なし。すなわち,臨床云々,そのもとでの教科専門といった「実学」以前,いや大前提としてのまがりなりにも「大学」と名乗る以上は身につけねばならない「学士力」の中核たるべきアカデミズムの思考法,技術,表現法といったものの獲得に重点を置いた指導や講義を心がけている。単なる実学カルチャースクールの如き,役立つ専門智識の切り売り,すなわり意味無き専門知識「卸元」に堕することなく,大学大衆化に対応した文化知性の基盤形成を,それも教員養成に特化した大学であるからこそ,学部でも大学院でも意識して追究している。以上の点について,義務教育の学校教員の社会的機能も考慮しつつ,戦略的にあらゆる教授機会にできるかぎり具体化していくことが課題である。
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年3月:『城下町高田と人々のくらし 開府四〇〇年の軌跡』(共著) 北越出版
論】(1)平成24年2月:『Local shrines and the creation of State Shinto』(単著) Religion,vol.42,no.1,pp.63-85
(2)平成24年1月:『帰一協会と二〇世紀初頭の神社界』(単著) 渋沢研究,第24号,pp.3-19
(3)平成24年3月:『「大東京」形成期近郊農村の変貌と町名改称問題』(単著) 國學院大學研究開発推進センター研究紀要,第6号,pp.151-176
(4)平成23年5月:『明治神宮内苑造営と「その後」:近代林学・造園学の「鎮守の森」論』(単著) 神園,第5号,pp.119-128
発】(1)平成23年10月:『第9回国際神道文化研究会「明治神宮造営前史と隣接空間」』(共) 明治神宮国際神道文化研究所
(2)平成23年12月:☆南山大学 宗教文化研究所研究会「近代神社と宗教ナショナリズム:畔上直樹氏の近著をめぐって」へのゲスト参加(南山大学宗教文化研究所、名古屋市昭和区)
学会活動への参加状況
(1)平成23年10月8日〜平成23年10月9日:日本史研究会2011年度大会出席, (2)平成23年6月25日:大阪歴史学会2011年度大会出席
◎特色・強調点等
今年度も積極的な問題提起を論文発表によって行った。特に,英米圏の研究者を念頭に,自身の最新の研究成果をイギリスの国際的学術雑誌において,英文にて日本語原稿用紙400字80枚相当の分量で世界的に発信する事ができたのは大変大きな成果であった。また,国内でもテーマ拡大につながる論争的な内容の作業を活字化したものと,きわめてミクロな地域史分析作業の双方において,論文を公にすることができた。科研費等の共同研究作業も昨年に引き続き,専門とする歴史学以外に,神道学,宗教学,建築学,都市工学にまたがってすすめ,公開研究会等でその成果を問うた。また学内助成をうけ自身が所属する研究室の教員との共同研究も複数すすめた。その一つでは,上越市の社会教育機関とも共同で上越・高田の近世〜近代にわたる歴史について,上越市史をベースにさらにそれを進める議論をおりこみつつ,市民向けに発信する書籍刊行を本学の助成金をうけて実現するなど,地元に学術的に貢献する大学教員としての研究をすすめることができた。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)八王子市史編集専門部会近現代史部会(八王子市)
(2)8月:平成23年度教員免許状更新講習「地理学・歴史学」(上越教育大学)
(3)3月:『新八王子市史資料編5近現代1』刊行(八王子市)
◎社会への寄与等
市町村レベルの自治体史編さん事業に参加する事で,地域の歴史をめぐる教育・研究に関するニーズへの寄与を『新八王子市史資料編5近現代1』の年度内刊行という成果として果たした。また,2009年に刊行した単著研究書についての批判検討会での他大学研究機関からのゲスト養成に積極的に応じ,議論を行う一方,免許状更新講習によって社会の教育のレベル向上に寄与した。
茨 木 智 志(准教授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
受講生の学習や研究の状況に応じた講義や演習の展開を進めるとともに,自己の達成が自覚できるような発表等の方法に取り組んだ。また,受講生に周知した上で,厳密な成績評価に努めた。
【観点2】教育の達成状況
ゼミ等の学部卒業生や大学院修了生はほぼ全員が教育に関わる仕事に従事しているため,教育目標は十分に達成されているものと考える。
研究指導
【観点1】学部
学部生に対しては,歴史教育の素材や理論,教育実践に関わる初歩的な文献の講読から始め,各自の研究の方向に応じた指導を継続しつつ,授業開発の理論と実践の成果をまとめさせた。
【観点2】大学院
大学院生に対しては,各自の研究状況に応じた歴史教育,歴史研究の理論と実践に関わる文献の講読を継続させると同時に,歴史教育の諸資料の収集,整理,考察などの活用を求めて専門的な研究を実現するための能力育成に努めた。
その他の教育活動
・ 本学附属小学校の2011年度大会に研究指導者として参加した。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
受講生の社会科教師としての能力向上に努めるとともに,受講生が自己の達成を自覚できるような手立ての工夫を継続した。さらに授業開発の能力に留まらない社会科教育研究の意識を持った教師の育成が課題となる。
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年8月:『混迷の時代 社会科はどこに向かえばよいのか』(共著) 明治図書
(2)平成24年2月:『「モンゴル佛教史」研究[三]』(共著) ノンブル社
論】(1)平成23年12月:『橘高信著「社会科世界史の理論と学習活動の指導について」(1950年)―高校からの「社会科世界史」の主張―』(単著) 歴史教育史研究,第9号,56〜75頁
(2)平成24年3月:『中等社会科「西洋史」教科書『西洋の歴史(2)』の英語原稿についての基礎的考察』(単著)総合歴史教育,第47号,32〜48頁
(3)平成23年12月:『インタビュー記録・歴史教育体験を聞く・蜷川壽惠先生』(共著) 歴史教育史研究,第9号,91〜106頁
(4)平成23年10月:『書評・田部俊充・田尻信壹・池俊介・志村喬・深瀬浩三編著「大学生のための社会科授業実践ノート増補版」』(単著) 上越社会科研究,第26号,49〜50頁
(5)平成23年12月:『書評・國分麻里『植民地期朝鮮の歴史教育―「朝鮮事歴」の教授をめぐって―』』(単著) 社会科教育研究,第114号,101〜102頁
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本社会科教育学会幹事, (2)平成23年度:総合歴史教育研究会委員, (3)平成23年度:中等社会科教育学会幹事, (4)平成23年度:上越教育大学社会科教育学会幹事, (5)平成23年5月14日:日本社会科教育学会・2012年度春季研究会出席, (6)平成23年8月28日:総合歴史教育研究会・第47回大会出席, (7)平成23年10月22日〜平成23年10月23日:日本社会科教育学会・第61回全国研究大会出席, (8)平成23年11月6日:中等社会科教育学会・第30回全国研究大会出席, (9)平成23年10月15日:上越教育大学社会科教育学会・第26回大会出席
◎特色・強調点等
社会科教育,歴史教育の歴史研究に関する基礎的な研究の成果報告および啓蒙書の出版を進めることができた。また,研究会の雑誌発行を通じて高校現場からの研究の発信に助力した。さらに,モンゴル仏教史の史料に関わる共同研究の成果の発行を継続した。このように,社会科に関わる地域,歴史,教育現場を結びつける努力を進め,一定の成果を上げることができた。
<社会との連携>
◎社会への寄与等
新潟県社会科教育研究会の研修会や巡検の活動に参加する一方で,全国的な社会科に関わる教育学会の大会運営や課題研究活動の運営に従事した。このように,様々な機会を通じて地域の社会科教育研究の向上に努めるとともに,学会を通じての全国的な研究推進活動の進展に寄与することができた。
小 島 伸 之(准教授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
講義においては,NIE,映像,ロールプレイ,ディベート,ボードゲーム,社会見学(裁判傍聴)などの手法を導入し,学生が能動的に学問内容を検討できる方法を試みた。成績評価では,積極的に参加・学習した学生とそうでない学生の評価の差異化を意識した。
【観点2】教育の達成状況
教育方法の工夫について,講義に関しては課題を積み残し今後のさらなる発展を期さねばならない点もあるが,意欲ある学生には関心を持ってもらえたようである。成績評価については,悩みながらも適切な評価をできたのではないかと思う。差異化をすることによる不満も存すると思われるが,頑張ったものが馬鹿を見ない,ということは成績評価の重要点であると思われるので,今後も維持していきたい。
研究指導
【観点1】学部
初歩的学術論文として十分認めるに足る論文を執筆させることが,将来初等中等教育の教職に就くに際しても必ず有用な経験となるという方針の下,徹底的な論文指導を行った。学部ゼミ生の研究指導においては,前期に関しては院生自身が提示したテーマを尊重しつつ,まずは各テーマに関する先行研究の収集,分析を主体的とした指導を行った。後期は,具体的なテーマの検討,論文執筆の指導を中心に行った。4年生3人は,それぞれ「政治的無党派層」,「日本近代における児童虐待概念の歴史的変遷」,「現代日本におけるテレビ政治の展開」について卒業論文を完成させた。3年生3名についてはそれぞれ研究テーマをほぼ確定させた。
【観点2】大学院
学術論文として十分認めるに足る論文を執筆させることが,将来初等中等教育の教職に就くに際しても必ず有用な経験となるという方針の下,徹底的な論文指導を行った。大学院ゼミ生の研究指導において,前期に関しては院生自身が提示したテーマを尊重しつつ,まずは各テーマに関する先行研究の収集,分析を主体的とした指導を行った。同時に,院生が行ったテーマ設定では論文完成が困難であると予想されたものについて,当初の問題関心に関連しつつも論文作成が相対的に容易な別テーマを見つけられるように指導を試みた。また,構想発表,中間発表に向けた準備の機会を中心に,資料の収集・整理法,論文構成等,論文執筆に向けた基礎的研究指導を行った。修士3年生1名が「市民参加型裁判と少年審判」に関する修士論文を完成させた。,残る1名は十分な論文完成が見込めなかったため,本人の希望もありもう一年在学のうえ修士論文執筆に取り組むこととなった。修士課程2年目の1名は,教員採用試験に合格したが,元来3年間在籍予定だったこともあり,修士論文として認めるに足る論文の執筆ができなかったため,本人と相談のうえ,退学となった。研究指導においては,特に免P生を中心に,研究と免許取得に対する努力配分のあるべきバランスについての認識の違いから,指導の困難性を感じているが,この点も踏まえて次年度の改善を図っていきたい。
その他の教育活動
・ 他大学での非常勤講師
新潟産業大学経済学部非常勤講師 法学概論T15コマ,法学概論U(日本国憲法含)15コマ,会社法A15コマ,会社法B15コマ
新潟県立看護大学非常勤講師 法学15コマ
・ 教育実習における学生指導
法律学ゼミ所属の院生(9名)・学部生(6名)の小学校実習,中学校実習を訪問のうえ研究授業を参観し,参観した内容を踏まえた学生指導を行った。
・ 公務員試験受験志望者への個別指導
公務員一般職試験受験志望の他コース学生より,憲法,民法,行政法について指導を求められたため,個別に相談に応じ,指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
教育方法としては,論理の重要性,必要な知識の習得・伝達,多角的思考法の強調という基本を重視しつつも,映像,音楽などの視聴覚的素材,新聞,ロールプレイ,ボード・カードゲームなども活用して,受講生が意欲的知識習得を関心づけられる手法的工夫を試みている。また,専門的なテーマについて講義する際に,可能な場合には,中学校の教科書を手掛かりに導入することを心がけた。意欲ある学生にはおおむね好評であるようだが,試行錯誤を重ねながら,更なる改善を心がけていきたい。
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年7月:『情報時代のオウム真理教』(共著) 春秋社
発】(1)平成23年12月:「帝国議会と政教分離―僧侶被参政権問題を事例に―」(単) 第48回憲法史研究会
(2)平成23年9月:パネル「日本宗教の環境倫理と社会活動」コメンテーター(共) 日本宗教学会第70回学術大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)近現代日本の宗教とナショナリズム―国家神道論を軸にした学際的総合検討の試み― 代表者:小島伸之(上越教育大学) 科学研究費補助金基盤研究(C)
(2)近現代社会の基本的価値に関する社会科教材開発 代表者:小島伸之(上越教育大学人文・社会教育学系) 平成23年度上越教育大学研究プロジェクト
(3)平成23年度上越教育大学研究プロジェクト:高田における知の系譜 代表者:浅倉有子(上越教育大学人文・社会教育学系) 平成23年度上越教育大学研究プロジェクト
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:上越社会科教育学会事務局編集担当, (2)平成23年9月2日〜平成23年9月4日:日本宗教学会第70回学術大会出席, (3)平成23年11月5日:第63回宗教法学会出席, (4)平成23年6月4日:第19回日本近代仏教史研究会研究大会出席, (5)平成23年10月15日:上越教育大学社会科教育学会第26回研究大会出席
◎特色・強調点等
主として,近代における国家―社会―宗教をめぐる諸問題を,歴史的事例から検討する作業を進めている。特に近代日本(特に戦前期)の宗教政策・宗教法制に関するテーマについて,現代の視点から単に過去を「評価」するという手法を避け,当時の視点(第一次資料)を踏まえつつ,基礎論的に問題を検討することを意識している。戦前の宗教法制・宗教政策という研究テーマとの関連でいえば,従来の先行研究においては,国家―宗教の二者関係として問題把握がなされることが多かったことを批判的に踏まえたうえで,国家―社会―宗教の三者関係的構図を踏まえた問題把握に再構築することを試みている。共同研究としては,近年の国家神道研究の動向を手掛かりにした近現代日本の宗教とナショナリズムをテーマとする学際的メンバーによる共同研究が科研費補助金として採択された。
また,近現代社会の基本的価値対立の教材化について,研究プロジェクトチームの代表として共同研究を進め,授業においての試行的実践を試みた。また,ボードゲームの社会科教材としての利用を研究テーマとした共同研究を,社会教育学系講師吉田昌幸とともに開始した。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)『NHKスペシャル未解決事件file2,オウム真理教/ドキュメンタリー番組NHK未解決事件』 企画・取材協力
(2)平成24年2月:『JCV上越市議会議員選挙特別番組/平成24年4月の上越市議会議員選挙解説番組・選挙速報番組』 企画協力ドキュメンタリー番組への取材協力(NHK)
(3)公開講座「ボードゲームで学ぶ社会」(上越教育大学公開講座)
◎社会への寄与等
教員免許更新講習の講座を担当。受講者から一定以上の評価を得た。公開講座,出前講座にエントリーし,出前講座には応募がなかったが,公開講座では受講者から一定以上の評価を得た。
マスメディア(NHK,JCV)の番組企画に取材協力した。
志 村 喬(准教授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
初等社会科指導法と地理歴史科教育学基礎では,教室内の作業体験に加え野外でのフィールドワーク体験を取り入れ,実践的・体験的な学習を組織し,評価でもそれらを踏まえた課題提出を組み込んだ。大学院では,知識・理解に加え,主体的な研究遂行能力の育成に繋がるように配慮した。
【観点2】教育の達成状況
学部の社会科・地理歴史科指導法では,同じ社会系免許取得科目である社会科・公民科指導法と連携し,教材開発研究成果『社会科教育法研究』(山本友和・志村喬・茨木智志編)としてまとめ達成状況を履修者自身に省察させるとともに公開した。
研究指導
【観点1】学部
専門セミナーで3年生2名,4年生2名を指導し,卒業論文作成の基礎育成並びに卒業論文作成をそれぞれ支援し,4年生2名は卒業論文を完成させた。
【観点2】大学院
研究セミナーで,免P修士院生(M1生2名,M2生2名,M3生2名)を担当し,3年間での修士論文作成を目指して,それぞれ研究計画に沿った指導を行った。M3生は,実証的現地調査を遂行し,修士論文を完成させた。
その他の教育活動
・ 本学附属中学校研究協力者(社会)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
ほとんどのゼミ院生が免P学生となった。入学時より実力養成のため,3年間での修了を目指すよう指導し成果を上げることができた。しかし,免P学生の時間的環境はじめ構造的問題は多く,検討すべきと考える。
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年4月:『大学生のための社会科授業実践ノート−増補版−』(共著) 風間書房
(2)平成23年10月:『社会科教育実践ハンドブック』(共著) 明治図書
論】(1)平成23年9月:『地域多様性をふまえ持続可能な空間環境を実現する地理教育』(単著) 社会科教育研究,第113号,pp.9-20.
(2)平成24年2月:『確かな地図学習を基礎にした社会形成力の育成』(単著) 地図中心,473(2012年2月号),pp.13-16
(3)平成24年1月:『地図・地理学習で活用できる地形図と「電子国土基本図」の姿』(単著) 地図情報,31巻4号,pp.9-12
業】(1)平成23年4月:『新しい社会科地図』(共著) 東京書籍
発】(1)平成23年5月:『故井上ひさし氏の文学作品と地理教育体験』(共) 東北地理学会春季学術大会
(2)平成23年8月:『アイルランド地理教育における「地誌」学習の意味』(共) 日本地理教育学会第61回大会
(3)平成23年9月:『イギリス地理教育における鍵概念の現在と地理学』(単) 日本地理学会2011年秋季学術大会
(4)平成23年9月:『東日本大震災による学校被災概要と地理(社会科)教材支援希望』(共) 日本地理学会2011年秋季学術大会
(5)平成23年10月:『1960年代以降のイギリス地理教育における鍵概念の変遷』(単) 日本社会科教育学会全国大会
(6)平成24年1月:『イギリス中等地理教材等における原子力発電所問題・事故の扱い』(単) 日本地理学会2012年春季学術大会
(7)平成23年度:☆災害と子どもたちの教育を考える―東日本大震災被災学校の現在とこれからの地理学・地理教育―」オーガナイズ・運営(司会) 慶應義塾大学三田キャンパス 日本地理学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)震災後の学校教育復旧・復興過程における地理授業支援策構築のための臨床的研究 代表者:山縣耕太郎(上越教育大学) (社)東京地学協会東日本太平洋沖地震関連緊急研究・調査助成金
(2)地域と連携した社会科教材開発 代表者:松田愼也・小林啓一(上越教育大学・妙高市立新井中央小学校) 新潟県社会科教育研究会
(3)故井上ひさし氏の文学作品と地理教育体験 代表者:志村喬(上越教育大学) 仙台地域高等学校教員
(4)東日本大震災による学校被災概要と地理(社会科)教材支援希望 代表者:志村喬(上越教育大学) 岩手・福島・宮城県地域教員
(5)大学院派遣研修の経験から学ぶ−大学院で学んだ経験がどのように活かされているか− 代表者:志村喬(上越教育大学) 上越教育大学社会科教育学会
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)イギリス諸島における社会系教科教育課程の多様性にみられる普遍性と固有性 代表者:志村喬(上越教育大学) 科学研究費補助金・基盤研究(c)
(2)アイルランド地理教育における「地誌」学習の意味 代表者:志村喬・S.ワディントン(上越教育大学・アイルランド国立大学) 上越教育大学社会科(地理教育)研究室
学会活動への参加状況
(1)平成23年6月1日:日本地理学会東日本大震災緊急シンポジウム(明治大学)参加出席
外国における研究の状況
(1)平成23年9月25日〜平成23年10月2日:英国,英国北アイルランド社会科教育調査(科学研究費)
◎特色・強調点等
科研費をもとに継続しているイギリス諸島地域の地理教育研究については,カウンターパートの外国教員と連名発表を行い,成果を学会へ広く還元した。また,東日本大震災に関連し,被災地域の教員と連携し,社会科・地理教育緊急支援及び今後のあり方について調査を進め迅速に公開した。これは,学会全国シンポジウムや雑誌特集といった全国的な動きに有機的に繋がり,極めて高い評価を得た。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)新潟県立教育センター教科指導研修(高等学校)講師(新潟県立教育センター)
(2)新潟県社会科教育研究会第59次全国巡検講師(新潟県社会科教育研究会)
(3)上越市立上雲寺小学校職員研修会講師(上越市立上雲寺小学校)
(4)新潟県立柏崎高等学校大学出張講義(新潟県立柏崎高等学校)
(5)上越市教育コラボ発表(上越市教育委員会)
(6)長岡三島郡社会科研究会講師(長岡三島郡社会科研究会)
(7)教員免許状更新講習会(上越教育大学)
(8)新幹線まちづくり推進上越広域連携会議「駅名等検討部会」委員(新幹線まちづくり推進上越広域連携会議)
(9)新潟県立久比岐高等学校学校評議員(新潟県立久比岐高等学校)
(10)北陸地方整備局高田河川工事事務所「上越市自転車利用環境整備検討会」委員(北陸地方整備局高田河川工事事務所)
◎社会への寄与等
地域をはじめとした学校教員集団の研修会講師を積極的に努め,実践的課題の解決と社会科授業力向上へ寄与した。また,東日本大震災への社会科教育的な支援について緊急調査を遂行し,全国発信したが,学会での支援行動に繋がり関係者から高く評価された。
山 縣 耕太郎(准教授)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部では,地域環境研究および地理学に関わる講義,実験,演習,調査法を担当した。授業,実習においては,ビジュアル素材を多く提示することを心がけ,コンピュータを活用したGIS教材を用いた。また,エネルギー問題や環境問題など現在の社会的な課題についてとりあげ,自ら考える機会をつくるように努めた。巡検などの実習授業では,実地の観察や経験を通して,基礎的な知識を身につけるとともに,地理的な見方に興味関心を持てるよう配慮した。大学院では,地域環境学特論を担当し,画像資料を多用して,理解と関心を高めるよう工夫した。また,初歩的なGISソフトを活用した作業を取り入れた。評価にあたっては,課題を設定して,その成果と取り組みへの態度を評価に取り入れた。
【観点2】教育の達成状況
学部授業,地域環境研究では,環境に関する基礎的な概念を習得することができたと考える。また,地図に関する学習や,実際の野外観察,地図作成の作業を通して,地理的な見方,考え方を経験し,習得することができたものと考える。地域環境学については,実際の社会的な課題について考えることを通して,問題意識と関心を持つことができたと思われる。大学院授業,地域環境学特論では,地域,環境に関わる解説や,実際にGISソフトを使用して環境地図を作成し,それをプレゼンする作業を通して,地理的な視点で環境を分析するプロセスを体験し習得したものと考える。
研究指導
【観点2】大学院
1名の修士2年生の修士論文を指導した。高山亜高山帯の火山における植生について調査研究を行った。現地調査に同行するなどして調査法に関して指導を行った。また,3名の修士1年生の修士論文研究指導を行った。関心のある文献を講読したり,教員や院生の研究成果を聞くことによって,基礎的な知識や,研究を開始するにあたっての知識,心構えを養った。
その他の教育活動
・ 新潟県立看護大学非常勤講師「環境生態学」担当
・ 新潟産業大学非常勤講師「地誌学」担当
◎特色ある点及び今後の検討課題等
教育においては,基本的な概念の理解と,基礎的な知識の習得,およびスキルの習得の3点を考慮し,授業を構成した。特にスキルの習得においては,野外での観察や実際の作業を取り入れることに留意した。野外活動や作業はどうしても時間をとってしまうが,今後もより効果的な作業を取り入れていきたいと考える。大学院の授業では,GISソフトの作業を取り入れ,好評であった。GISについては,研究指導においても活用に取り組んだ。GISは,今後の発展が期待される分野であるので,積極的に取り入れていきたい。
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年10月:『河成段丘にもとづく黒部川扇状地の傾動運動に関する検討』(単著)上越社会研究紀要,第26号 pp.1-10
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本学術会議PAGES小委員会委員, (2)平成23年度:日本第四紀学会PAGES-PEPU対応委員会委員, (3)平成23年度:日本地理学会災害対応委員会地域拠点担当, (4)平成23年度:日本地理教育学会編集委員, (5)平成23年度:日本第四紀学会テフラ・火山研究委員会委員, (6)平成23年度:日本地理教育学会編集委員, (7)平成23年度:東北地理学会編集委員, (8)平成23年5月14日〜平成23年5月15日:東北地理学会出席, (9)平成23年6月1日〜平成23年6月3日:GISフォーラム出席, (10)平成23年9月2日〜平成23年9月3日:日本ペドロジー学会出席, (11)平成23年8月19日:日本地理学会シンポジウム出席, (12)平成23年9月23日〜平成23年9月24日:日本地理学会出席, (13)平成23年11月5日〜平成23年11月6日:アムール・オホーツクコンソーシアム出席, (14)平成24年3月3日:日本地理学会シンポジウム出席, (15)平成24年3月6日:日本ペドロジー学会出席, (16)平成24年3月28日〜平成24年3月29日:日本地理学会出席
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市環境フェア企画委員(上越市)
(2)上越市緑のフェスティバル実行委員(上越市)
(3)治水地形判定委員(国土交通省国土地理院)
(4)科学研究費委員会専門委員(日本学術振興会)
(5)新潟県水環境保全基本方針改訂検討委員会委員(新潟県)
吉 田 昌 幸(講 師)
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
授業方法は,できる限り学生との双方向のやりとりを行う工夫をした。具体的にはコメントノートを活用した授業のフィードバックを取り入れている。
また,できる限り現場にでて経済の実態を知ってもらう意味で公民教材開発論では商店街でのフィールド調査を行っている。
さらに,地域経済の実態を把握する上で地域通貨ゲームを作成し,現代社会論の受講者に行っている。
【観点2】教育の達成状況
平成23年度は新しく現代社会論において地域通貨ゲームの実施を行いながら,地域経済の諸問題について考える取り組みを行った。
また,大学院生と共に埼玉県戸田市での地域通貨調査を行い,それを下に修論指導を行った。
研究指導
【観点1】学部
2011年度は学部生のゼミ生がいなかったために研究指導は行っていない。
【観点2】大学院
修士論文を作成させる上で,フィールドとなる対象地域に何度も足を運ばせ,そこから得られる情報をまとめるための枠組みづくりを文献輪読を通じて行った。
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年9月:『企業家活動の評価軸:企業家競争の形成と発展をもたらす企業家活動』(単著) 経済学研究(北海道大学),61(1・2),pp.109-125
業】(1)平成24年3月:『子どもの社会体験を可能にする地域通貨の効果と課題の研究:地域通貨『戸田オール」を事例にして』(共著) 財団法人科学技術融合振興財団 補助金事業シミュレーション&ゲーミングの先進的独創的な手法の研究 研究成果報告書
発】(1)平成23年10月:『企業家競争は何をもたらすのか:生産的・非生産的枠組みを超えて』(単) 社会経済システム学会
(2)平成24年3月:『地域通貨ゲームの設計とその活用に関する考察』(単) 進化経済学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)制度生態系アプローチによる経済政策論の研究 代表者:西部忠(北海道大学)
(2)近現代社会の基礎的価値に関する社会科教材開発論:人文社会専門諸科学の成果とその横断的連携の視点から 代表者:小島伸之(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)平成24年3月17日〜平成24年3月18日:進化経済学会全国大会出席, (2)平成23年11月5日〜平成23年11月6日:経済学史学会全国大会出席, (3)平成23年10月29日〜平成23年10月30日:社会・経済システム学会出席
◎特色・強調点等
2011年度は,その成果を論文等にまとめることはあまりなかったが,地域通貨の導入過程におけるゲーミング・シミュレーションの開発についての外部資金のため,研究費申請に重点をおいて行った。 研究費申請の多くは不採択に終わったが,その過程で共同研究者とのディスカッション等を通じて,内容の吟味が進んでいる。その成果は2012年度において一部論文等で出版予定である。