布 川 和 彦(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部3年生必修科目の算数科指導法においては,研究や教師向け講習会の準備等の中で得られてきた児童の実態,授業の具体的な工夫などについても盛り込むことにより,単に学習指導要領の内容の解説に留まらず,実際の授業に接続しやすい内容となるよう工夫した。また新聞記事や広告などに見られる教材候補も取り入れることで,学生が算数の素材が身近にあると感じられるようにした。
大学院の算数・数学学習過程特論では,受講者が実際に問題を解いたり,学習用ソフトを利用することで,学習者の視点から支援のあり方を考えられるように工夫をした。特に平成25年度は,授業におけるデジタル化の動きも見据えながら,数学学習用の作図ソフトを用いた教材作りの演習も採り入れ,今日的な課題への対応も心がけた。
【観点2】教育の達成状況
指導法については,講義支援システムを通して事前に配布をした資料を持参しない学生を何回か注意をしたこともあり,授業評価アンケートで最高レベルの評価とはならなかったが,一定の評価は得られたと考える。また希望により何度か受講した大学院所属の現職教員からは有用な講義内容だとの評価を頂いた。
また大学院の講義では,問題を解決したり議論をする演習,あるいはソフトを利用した教材作りの演習において,受講者は大変熱心に取り組んでいたことから,基本的な理論や原理を講ずることに加えて,演習を採り入れることで受講者の意欲を引き出すことができたと言えるであろう。
研究指導
【観点2】大学院
修士課程の研究指導では,理論と実践とをつなぐような研究となることを心がけ,特に修士2年生は教職を目指しており,また1年生は全員が現職教員であったことから,教壇に立ったときに生きるような研究となるよう指導を行った。具体的にはゼミ生が授業に関わり持っていた問題意識を明確化し,それに関わる先行研究を紹介して問題意識に関わる理論を学ばせると同時に,それを自分の授業に対する姿勢につなげるために,自身の授業する場合をイメージしながら具体化させた。こうした作業を通して,教師としての教材や子どもを見る目が養われていったと考えられる。
その他の教育活動
・ 附属小学校および附属中学校の双方で研究協力者をつとめた。
特色ある点及び今後の検討課題等
附属学校を中心に,地元の先生方とのつながりを大切にすることで,そこで得られた情報を学生・院生の教育にも生かすようにしている。それにより,論文や学会で得られる理論的な枠組みに実際の授業での肉付けが行われ,ある程度,教師になったときに有用な知見や見方を提供することにつながっていると考えられる。また,平成25年6月より上越数学教育研究会の会長をつとめ,またそれに伴って新潟県数学教育会の副会長,及び第64回北陸四県数学教育研究大会の実行委員長を併任している。こうした活動は大学からはなかなか評価頂けないが,地元の先生方と大学とをつなぐために必要と考えてお引き受けしている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年10月:中学校数学における関数の対象としての構成:教科書の考察を中心に(単著),上越教育大学研究紀要第33号, pp.85-96
(2)平成26年3月:中学校数学における関数の対象としての構成(2): 教科書の利用場面に焦点を当てて(単著),上越数学教育研究第29号, pp.1-12
学会活動への参加状況
(1)平成25年6月30日:日本数学教育学会第1回春期研究大会出席, (2)平成25年11月16日〜平成25年11月17日:日本数学教育学会第46回秋期研究大会出席, (3)日本数学教育学会論究部幹事, (4) 日本数学教育学会資料部幹事, (5) "Educational Studies in Mathematics"誌 (Springer)Editorial Board
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:金沢市小学校教育研究会算数部会講演会講師
(2)8月:日本数学教育学会第95回全国算数・数学教育研究大会助言者
(3)8月:鳥取県立教育センター研修会講師
(4)11月:鳥取県立教育センター研修会講師
(5)2月:尚数会研究会講師