大 前 敦 巳(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部・大学院とも全ての講義・演習において,ワークシートの記入と提出を義務づけ,出席の平常点とした。また,ワークシート記入中は,机間指導を行って寝ている学生や飲食物・ゴミを出している学生に注意を与え,記入後にランダムに学生に発表させてディスカッションを行った。加えて,試験・レポート等による評価を行い,公平で厳格な成績評価を心がけた。
【観点2】教育の達成状況
学部「比較教育学」「フランス教育文化事情」においては,日仏比較の観点からグローバルな視野をもつ人材の育成に努め,学部「生涯学習概論A」と大学院「教育社会学特論」においては,家庭・学校・職業との関わりの中で学習を継続する重要性を強調し,将来の就職や進路に役立てる授業の工夫を行った。大学院「教育実地調査分析演習」では,調査・統計技法を実践的に習得させ,特に現職教員がデータ処理を行う際に有用な実地演習を行った。
研究指導
【観点1】学部
卒業論文では,戦後から現在まで新聞に掲載された生活マンガを読破させ,そこに描かれた子どもの悩みを分析し,生徒指導に役立てる指導を行い,本人は中学校国語教員として就職した。学部3年次生には,本人の問題関心に応じた先行研究を読ませ,自分自身にとって将来に役立つ卒業論文テーマを決めさせた。
【観点2】大学院
修士論文では,フランスの小学校フランス語学習指導要領・指導書・全国学力テスト問題を原文で読ませ,グローバルな専門知識を身につけた教員養成を心がけ,もう一つの修士論文では,大卒就職後に離職を経験して大学院に進学した学生を対象に職業選択プロセスに関するインタビュー調査を行うことにより,若者の職業移行をより安定的なものにする方策を提唱した。1年次生と免P2年次生には,修士論文テーマを決める上で,臨床的な教育実践に結びつく諸問題に関わる先行研究を整理させた。
その他の教育活動
・ 愛知県立大学大学院で「人間発達学特講(社会論)」,上越看護専門学校で「生涯教育論」の非常勤講義を行った。
・ 平成25年8月19日に新潟県養護教員研究協議会上越支部コンピュータ研修会で,フリー統計ソフト「R」を用いた調査データ分析の講習を行った。
・ 課外活動においてセパタクロー部の顧問を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
教育社会学・比較教育学・生涯学習論の観点から,グローバルな社会に開かれた生涯にわたる学習の継続性を強調した教育を行い,また大学院では調査・統計技法を習熟させることにより,教員を中心とする社会に有用な人材養成と円滑な職業移行を可能にする教育活動を展開した。今後の課題としては,大学改革の動向をふまえて他の授業との連携・協力を図った臨床的・実践的専門能力を高める授業内容にしていくことが考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成26年2月:第3版学校教育辞典(共著),教育出版
論】(1)平成26年3月:1960年代以降のフランスの新構想大学における教育刷新の展開,上越教育大学研究紀要,33巻,pp.33-41
(2)平成26年3月:日本およびフランスの高等教育改革に関する学際的比較研究,平成22〜25年度日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(C))報告書
(3)平成25年11月:フランス教育社会学における経験的研究の展開,日仏社会学会年報,24号,pp.17-37
業】(1)平成26年3月:新刊紹介:石田久仁子・井上たか子・神尾真知子・中嶋公子編, 『フランスのワーク・ライフ・バランス―男女平等政策入門:EU、フランスから日本へ』, 浅野素女, 『同性婚、あなたは賛成?反対?―フランスのメディアから考える』,日仏教育学会年報
発】(1)平成25年12月11日:1960年代における新構想大学創設の政策形成―フランスのケースとの比較―,s politiques de création de « nouvelles universités » au Japon dans les années 1960 : une comparaison avec le cas français,アレゼールフランス/日本コローク,COLLOQUE FRANCO-JAPONAIS,ARESER Japon /ARESER France
(2)平成25年11月24日:1960年代の新構想大学創設に向けた政策形成の日仏比較,日仏教育学会2013年度研究大会
(3)平成25年9月22日:1960年代の大学改革における「中教審路線」の社会的位置―新構想大学創設に向けた政策形成に着目して―,日本教育社会学会第65回大会
(4)平成25年7月28日:フランス教育社会学における経験的実証主義の批判的継承,日仏社会学会研究例会
(5)平成25年5月10日:☆「企業化する教育とグローバリゼーション」コメント,日仏会館クリスチャン・ラヴァル講演会
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)日本およびフランスの高等教育改革に関する学際的比較研究,代表者:白鳥義彦(神戸大学)
(2)学力格差是正の国際比較,代表者:志水宏吉(大阪大学)
(3)日仏の新構想大学における職業養成教育の形成過程に関する比較社会学研究,代表者:大前敦巳(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)平成25年11月24日:日仏教育学会, (2)平成25年10月26日:日仏社会学会, (3)平成25年9月21日〜平成25年9月22日:日本教育社会学会
外国における研究の状況
(1)平成26年3月23日〜平成26年4月3日:フランス 日仏の新構想大学における職業養成教育の形成過程に関する比較社会学研究
(2)平成25年12月9日〜平成25年12月15日:フランス 日本およびフランスの高等教育改革に関する学際的比較研究
(3)平成25年11月2日〜平成25年12月10日: フランス 学力格差是正政策の国際比較
◎特色・強調点等
日仏の高等教育改革に関する比較研究と,フランスの学力格差是正策に関する国際調査研究に取り組んだ。グローバルな視野に開かれた教育実践に関する研究であり,その成果は本学の授業にも取り入れて紹介している。また,日仏の新構想大学をめぐる問題については,今日に至る1960年代の政策形成についての研究を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成25年12月26日:出前講座(上越市立三和中学校長)
(2)平成25年8月19日:新潟県養護教員研究協議会上越支部コンピュータ研修会(新潟県養護教員研究協議会)
(3)上越地域総合健康管理センター倫理審査委員(上越医師会)
◎社会への寄与等
大学院科目「教育実地調査分析演習」で行っている調査・統計技法の演習を,出前講座及び新潟県や上越市の教員研修会で実施し,特に養護教員の健康・生活調査の集計・分析に役立ててもらっている。また,研究倫理の審査に関わる社会貢献も合わせて行った。