宮 下 敏 恵(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部3年生の必修科目であり免許プログラムの学生が多く受講する「教育相談・カウンセリング論」では,学校現場において生じる児童・生徒の様々な問題を理解し,対応できる実践力を身につけるために,具体的な問題場面をあげて,学生に対応を考えさせ,教師となったときにすぐに役立つように授業を行った。大学院の授業である「臨床心理査定演習T」では,学校現場,医療現場などで多く用いられているパーソナリティ検査を中心に,実際に心理検査用紙を用いて検査を施行,採点,結果を報告まとめさせ,添削して何度も修正することにより,臨床現場ですぐに対応できる実践力を身につけさせるようにした。シラバスにおいては,成績について明記し,評価基準通りに評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
不登校やいじめなどの問題をはじめ学校内外での連携や危機介入について講義を行い,学校現場における教育相談の必要性について述べた。教師となったときにどのようにしたらよいかなど、実践的な問題を考えさせた。また大学院においては,知識だけではなく,演習,実習を多く行うことで,臨床現場での実践力,即応力が身につくように行った。現場での即戦力が身についたと考えられる。また授業初回においてシラバスを提示し,学習目標や授業方法、成績評価基準を示した上で成績評価を行った。
研究指導
【観点1】学部
不登校,いじめ,非行などの学校での問題についてゼミで討論を行い,学校現場における子ども達への支援の方法について指導をおこなった。また学業や対人ストレスを感じる場面においてどのような対処方略を用いるかなどについて研究指導を行った。
【観点2】大学院
学校現場における教育相談の実践力を習得させるために,カウンセリング技術をはじめ,様々な臨床技法の実習を行った。さらに,心理教育相談室において受理した事例への関わりを通して,事例の見立て,面接の進め方,面接技術,介入方法,さまざまな病理や症状の知識について指導を行った。また,小学生における主張性と学校適応との関係,青年期におけるソーシャルサポートと達成動機との関係また青年期における本来感と随伴性自尊感情が精神的健康に及ぼす影響などの研究について研究指導をおこなった。
その他の教育活動
附属中学校においてスクールカウンセラーとして生徒,保護者の面接を行い,教職員と情報交換を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
学校現場,臨床現場における実践力を身につけさせるように,様々な点から指導を行っている。学校をはじめ様々な現場で活躍するために,現在本人の抱えている課題は何かを明確にし,少しずつでも成長し,変化できるように,ひとりひとりに丁寧に対応している。課題としてはわかりやすく表現できる力を身につけさせることである。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成26年3月:生きる力を育む学校防災U(共著),協同出版
論】(1)平成26年3月:語彙分析の方法を用いた面接プロセスの検討(6)−発話軌跡図の係留点に着目して−,上越教育大学心理教育相談研究,13巻,1号,pp.25-33
(2)平成25年12月:小学校および中学校教師におけるバーンアウトの進行プロセスに関する縦断的研究,心理臨床学研究,31巻,5号,pp.769-779
発】(1)平成25年10月12日:日本版MBI-ESの標準(1)−共分散構造分析による日本版MBI-ESの因子構造の推定−,日本パーソナリティ心理学会第22回大会
(2)平成25年10月12日:日本版MBI-ESの標準化に関する研究(2)−多次元段階反応モデルによる項目分析−,日本パーソナリティ心理学会第22回大会
(3)平成25年10月12日:日本版MBI-ESの標準化に関する研究(3)−個人属性による差異の検討−,日本パーソナリティ心理学会第22回大会
(4)平成25年10月12日:日本語版MBI-ESの標準化に関する研究(4)−教職のやりがい尺度,感情労働尺度,GHQ-30との関連から−,日本パーソナリティ心理学会第22回大会
(5)平成25年8月25日:語彙分析における連続プロットパターン分析を用いた不登校事例の検討−面接プロセスの変化点に関する検討−,日本心理臨床学会第32回大会
学会活動への参加状況
(1)平成25年10月12日〜平成25年10月13日:日本パーソナリティ心理学会第22回大会発表, (2)平成25年8月25日〜平成25年8月28日:日本心理臨床学会第32回大会発表, (3)日本催眠医学心理学会編集委員, (4)日本心理学会認定心理士資格認定委員, (5)日本学校メンタルヘルス学会編集委員
◎特色・強調点等
教師のメンタルヘルスの予防に関する研究(科学研究費による)を進めており,早期に教師のメンタルヘルスの悪化を発見するためのプログラムを作成している。また,臨床心理面接において,クライエントの発話を分析し,実証的見地から事例をまとめ分析する方法についても研究を進めている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成25年8月:新潟県新任教頭メンタルヘルス研修会下越地区講師
(2)平成25年8月:新潟県新任教頭メンタルヘルス研修会中越・上越地区講師
(3)平成25年7月:新潟県小・中・特殊教育諸学校教職12年経験者研修地区別(上越)全体研修講師「いじめ問題とその説明責任」
(4)平成25年7月:新潟県小・中・特殊教育諸学校教職12年経験者研修コース別研修生徒指導講師(上越)
(5)平成25年5月〜平成26年2月:「新潟県中越地震に係わる児童生徒の心のケア」カウンセラー派遣
(6)平成25年5月〜平成26年2月:「新潟県東日本大震災に係わる児童生徒の心のケア」カウンセラー派遣
(7)新潟県スクールカウンセラー活用事業によるスクールカウンセラー
(8)新潟県カウンセラー学校派遣事業による派遣カウンセラー
(9)新潟県単位制高校活性事業相談員
(10)新潟県臨床心理士会スクールカウンセラー部会運営委員
(11)新潟県臨床心理士会メンタルヘルス委員会委員
(12)新潟県臨床心理士会倫理担当理事
(13)新潟県こころの緊急支援活動支援員
◎社会への寄与等
小学校,中学校,高校などの各学校へのスクールカウンセラーをはじめ,中越,中越沖地震,東日本大震災のこころのケアも行っている。また教師のメンタルヘルスを中心とした研修会も行っている。さらには附属心理教育相談室において相談を担当し,心理的な悩みを抱える人への面接を継続的に行い地域に貢献している。