佐 藤 淳 一(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
講義形式の授業では,毎回講義の最後に,質問感想のコメント用紙を配布・回収し,次回の授業の中で,各自の理解の補足や疑問に答えるようにし,あわせて受講生の到達度合を参考に講義内容を調整・改善することによって,受講生の学習意欲を高めるようにした。
学部
「教育相談・カウンセリング論」(分担):心理アセスメント2回分を担当し,知能検査や人格検査を中心に,学校場面における心理査定の実際や倫理的配慮などについてパワーポイント等を用いて説明するとともに,演習形式を取り入れて受講生の受講意欲を高めた。
「臨床心理学」(分担):講義の後半部分を担当し,受講生が興味を持ち,主体的な学びとなるような内容に構成した。具体的には来談者中心療法や表現療法といった心理療法や,心理臨床家の実際の活動について,パワーポイントやDVD等を用いて概説するとともに,適宜,心理テストや描画法などの演習も取り入れた。
大学院
「臨床心理基礎実習T」(分担):臨床心理面接の基本的態度と技術を習得するため,クライエント中心療法を中心とする概説と,セラピスト役とクライエント役を通したロールプレイ形式による臨床心理面接(ロールプレイA〜C,インテーク面接)の演習を行った。また,受講生には逐語録レポートの提出を求めて,個別の添削指導を細やかに行うことによって,個々の到達度やニーズに応じるよう努めた。
「臨床心理基礎実習U」「臨床心理実習A」(分担):心理教育相談室において相談研修生としてケースを担当するゼミ生に対して臨床指導を行った。具体的には,グループスーパービジョンや個人スーパービジョンを通して,ゼミ生自らが,クライエントを心理臨床的に理解し,適切な心理的援助ができるような指導を心がけた。他に,インテーク・カンファレンス,ケース・カンファレンスに参加することを通して,ケースを担当する院生にはクライエントの理解を促し,相談研修生として学びの体験となるような,建設的なコメントを提供することを心がけた。
「臨床心理実習B」(分担):外部医療機関の心理実習生に対して,学内および院内における臨床指導を行った。また,学外の臨床指導者との連携や調整を行った。
「学校臨床心理学特論」:学校場面において心理的問題を持つ児童生徒やその保護者への理解と援助,教職員との連携などを概説するとともに,関連文献や事例論文の発表を求めた。
「臨床実践援助法」(分担):授業全体のとりまとめを担当するとともに,被虐待児への心理臨床的援助の実際についてパワーポイントを用いて概説した。
「臨床心理学研究法特論」(分担):調査法2回分を担当し,調査研究(質問紙法による調査と描画法による調査)について概説した。
「臨床心理マネジメント特論」(分担):教育,医療,福祉における心理職の実際,ならびに臨床心理行為と他職種との連携について説明した。
「実践場面分析演習T・U」(分担):学部生の教育実習の事例に対して,心理臨床の視点からコメントした。
【観点2】教育の達成状況
学生による授業評価では,おおむね良好な評価を得たと思われる。
研究指導
【観点1】学部
「臨床心理学セミナーT・U」学部3年生には,自らが興味を持ち,かつ心理学に関する研究となるようなテーマや方法論を見出せるよう支援ならびに指導した。
【観点2】大学院
「臨床心理研究セミナーT・U」M1には,自らが興味を持ち,かつ臨床心理学に関する研究となるようなテーマや方法論を見出せるよう支援ならびに指導した。M2には,研究の具体的な構想,調査の実施,結果の分析,論文の執筆について,細やかに支援ならびに指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
心理教育相談室において相談研修生としてケースを担当するゼミ生に対して臨床指導をきめ細やかに行った。具体的には個人スーパービジョンやグループスーパービジョンを通して,ゼミ生自らが来談者に対して心理臨床的に理解し,適切な援助ができるような指導を心掛けた。また,ゼミの中で,心理検査,描画療法の演習なども行った。このような取り組みを通して,ゼミ生が臨床実践を行いながら,心理臨床の基礎を身につけるとともに,来談者に対して有益な心理的援助を提供できることを目指した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成26年3月:子どもの不登校をきっかけに来談した母親の心理面接過程―「子ども」を巡る罪悪感(共著),上越教育大学心理教育相談研究,第13巻
(2)平成26年3月:大学生における日常的解離と適応感,精神的健康との関連―主体性の観点からの検討(共著),上越教育大学心理教育相談研究,第13巻
(3)平成25年11月:「死と再生」再考―被虐待経験のある中学生男子との遊戯療法(単著),箱庭療法学研究,第26巻,2号,pp.5-16
発】(1)平成25年9月:児童養護施設における被虐待児の心理的特徴4―トラウマ反応と抑うつ反応について(共同),日本心理学会第77回大会発表,札幌コンベンションセンター
(2)平成25年8月:不登校を主訴とする中学生の心理面接過における重要な出来事―事例の質的なメタ分析(共同),日本心理臨床学会第32回秋季大会発表 パシフィコ横浜
(3)平成25年8月:児童養護施設における被虐待児のバウム作品3―中高生を対象としたSD法評定(共同),日本心理臨床学会第32回秋季大会発表 パシフィコ横浜
他】(1)平成25年4月:アーネスト・R・ヒルガード著「分割された意識―隠された観察者と新解離説」書評,雑誌「図書新聞」,3105号,第3面
学会活動への参加状況
(1)平成25年8月:日本心理臨床学会第32回秋季大会参加発表, (2)平成25年9月:日本心理学会第77回大会参加発表 
◎特色・強調点等
・ 事例論文は箱庭療法学研究の原著として採択された。
・ 大学院ゼミ修了生(現在は児童養護施設心理職員)が中心となって,児童養護施設に入所中の被虐待児の心理的援助のための共同研究の成果を2本発表した。そのうち1本は,新潟県内のほぼすべての児童養護施設における関係者の共同名義により発表を行った。
・ 『今日的な不登校児童生徒への心理臨床的援助に関する研究』が平成24年度から科学研究費補助金(若手研究B)に採択されたため,学外の研究協力者も含めて研究作業を進め,その成果の一部を学会発表した(研究期間は平成26年度まで延長)。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越教育大学心理教育相談室相談員
(2)新潟県教育委員会派遣スクールカウンセラー
(3)独立行政法人国立病院機構さいがた病院「倫理会議」「外部評価会議」委員
(4)教職12年経験者研修(小・中・特)コース別研修(生徒指導コース)講師
(5)平成25年度上越教育大学教職員免許状更新講習講師(「最新の教育事情(上越A)」「子どもの変化についての理解」担当)
(6)平成25年度十日町市立教育委員会社会性育成研修会講師
◎社会への寄与等
心理教育相談室の相談員としてゼミ生の担当ケースの臨床指導を行うとともに,ケースの性質に応じて自ら担当することによって,地域の心理臨床活動に従事した。また,新潟県教育委員会派遣のスクールカウンセラーとして,市内の公立中学校の教育相談・カウンセリングにも従事した。