斎 藤 敏 夫(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部1年生全員が受講することになっている「算数」では,算数が苦手な学生でも教壇に立ったときに使えるような話題を専門的な立場から提供することにより学生の学習意欲を促した。また,資料となる補助教材を配布・活用し授業を円滑に進行させることで,学生が「理解する」ために必要な時間を確保することを狙った。また,視覚的な理解を促すための教材も新たに作成および改良を施し,理解度の向上を試みた。その他,数学コースの学生に対する他の授業でもこれらを重視した授業を展開した。
【観点2】教育の達成状況
最小限の専門知識を提供することはできたが,学生の理解および基礎学力をより向上させるためには,授業内容・進度について再考が求められる。また,授業で取り上げるテーマについても再考の余地がある。
研究指導
【観点1】学部
ゼミでは数学書を輪読し,順番に発表者が黒板を用いて他者へ解説を行うという形式を採用した。これにより,まずは数学書を理解するための数学知識を養うことができる。また,聴衆に理解してもらうためには,構成や板書の工夫も必要であり,専門的な内容を第三者に伝える術も修得できる。さらに,本形式では聴講者がいつでも自由に質問を投げかけることができるようにしており,発表者は質問を正確に把握し,瞬時に回答することも要求される。これらはすべて教員として教壇に立つうえで必要不可欠な資質であることを踏まえ,臨床的な実践力へ向けた包括的な基礎固めを指導した。
【観点2】大学院
ゼミでは専門書を精読し,順番に発表者が黒板を用いて他者へ解説を行うという形式を採用している。これにより,専門書を理解するための高度な数学知識を養うことができる。また,聴衆に理解してもらうためには,構成や板書の工夫も必要であり,その高度に専門的な内容を第三者に伝える術も修得できる。さらに,本形式では聴講者がいつでも自由に質問を投げかけることができるようにしており,発表者は質問を正確に把握し,瞬時に回答することも要求される。これらはすべて教員として教壇に立つうえで必要不可欠な資質であることを踏まえ,より高度に臨床的な実践力の修得へ向けた指導を行った。
その他の教育活動
教育実習における研究授業では,実習生が自身の授業を第三者の視点から振り返ることができるように配慮した。具体的には,授業観察中に気付いた内容(時間配分・数学的な不適切発言・板書ミス・子どもの反応等)を学生が作成した指導案に事細かく書き込んだうえで返却し,それを基に丁寧な振り返りを行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
授業で高度な幾何学的内容を扱う際,「視覚的な理解」を促すために紙細工などを実際に作って披露した。これについては学生の反応も良かったようで,これからも少しずつ作品を増やしていきたいと考えている。また,学生の素朴な疑問に答える時間も十分に用意し,授業が一方的にならないように配慮した。また,80名を超える大人数に対する授業では,今年度は学生の自主的な参加を促すため,10名程度からなるグループを作り数学的活動を実施した。目的は概ね達せられたが,その活動内容については検討の余地があり,今後の最重要検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年11月:Knots with arbitrarily high distance bridge decompositions,Bulletin of the Korean Mathematical Society,Bulletin of the Korean Mathematical Society,50巻,6号, pp.1989-2000
発】(1)平成25年10月22日:Tunnel number of tangles and knots,UCSB Topology Seminar
(2)平成25年9月24日:Meridional destabilizing number of knots,日本数学会秋季総合分科会
(3)平成25年9月3日:Tunnel number of tangles and knots,International Conference on Topology and Geometry 2013
学会活動への参加状況
(1)平成26年3月15日〜平成26年3月17日:日本数学会・年会, (2)平成25年9月24日〜平成25年9月25日:日本数学会・秋季総合分科会, (3)平成25年9月24日:日本数学会秋季総合分科会(トポロジー分科会)一般講演座長(日本数学会)
外国における研究の状況
(1)平成26年3月5日〜平成26年3月10日:イタリア 結び目の本質的タングル分解に関する研究
(2)平成25年10月20日〜平成25年10月23日: 米国 Heegaard理論を用いた結び目の研究
◎特色・強調点等
本研究では,結び目理論および3次元多様体論の主要研究課題である「レンズ空間手術」と「Hempel距離」という,あまり深い関係がみられなかった両者を結び付けることを目指している。まだまだ完全解明には程遠いが,少なくとも互いになんらかの影響を与えていることは確認できた。これは本研究の発展性が十分に期待できることを保証する貴重な結果である。また,本研究対象でもある「結び目」は近年,DNAの位相構造に関する研究に応用されていることから,「結び目」について数学的理解を深めることが生化学をはじめ他分野へ貢献することにつながるという意味でも重要な研究といえる。
 
<社会との連携>
◎社会への寄与等
2013年9月24日に開催された日本数学会秋季総合分科会(トポロジー分科会)において一般講演座長を務めた。