周 東 和 好(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
体育教育における「理論と実践の統合的理解」の必要性を鑑み,理論の実践的理解および実践の理論的理解を促すよう配慮した。関連する授業を有機的に結びつけて理解できるように,時間割の配当および授業内容を計画した。講義と演習あるいは実技とを2時限続きで配当し,実践した内容に基づき理論的理解を促したり,理論を学んだ上でそれを実践的に確認したりするということである。シラバスでも2つの講義内容が有機的に結びつくように計画した。成績評価については授業中の取り組み状況や理解度,レポート提出の状況等に基づいて算出した。
【観点2】教育の達成状況
概ね計画通りに授業を実施できた。指導法の授業では模擬授業を取り入れ,その後,授業研究会形式で議論することを通して,教育実践能力の涵養を図った。受講生のレポートからは,現場で必要とされる反省的実践家としての資質の向上が見られた。また,このことは初等および中等教育実習においても活かされたことが実習中の授業参観や実習後の授業案等の資料からも確認できた。ゼミに所属し修了した2名の院生は、全員が教員として就職した。
研究指導
【観点1】学部
本年度の学部生の所属はなかった。他の研究室に所属する学生の卒業論文に関わる内容で質問や助言を求められ,体育科教育およびスポーツ運動学の臨床的立場から応答した。
【観点2】大学院
より高度な臨床的な実践力を修得させるために,通常のゼミ,運動実習,ゼミ合宿等を実施し,体育教育をめぐる実践的な諸問題を抽出し,それらについて多面的に捉える視点の涵養を図ると同時に,運動問題について人間学的運動学の立場から解決する能力を育むために対話による議論を積極的に行った。日本コーチング学会(研究発表2名),新潟県体育学会(研究発表2名)への参加引率・発表指導を通して,研究成果を公表し,研鑽を積ませることができた。大学院2名の修了生を送り出すことができた。
その他の教育活動
・ 公立大学法人新潟県立看護大学非常勤講師
・ 教職講座「器械運動」の指導
・ 教育実習における学生指導
・ 体操部顧問
・ 体育館2階(トレーニング室)の管理・使用上の運営
・ 体育館2階(トレーニング室)を使用する学生団体の指導
・ 学びのひろばにおける体育館使用に関する学生指導
・ 上越教育大学附属中学校教育研究協議会保健体育科指導助言者
・ 平成25年度「附属中学校わくわく大学デー」特別授業(上越教育大学附属中学校)
特色ある点及び今後の検討課題等
運動を伴う体育教育という特徴を踏まえ,その実践能力の涵養を目指し,理論の実践的理解と実践の理論的理解を促すよう,教室での授業と運動を伴う授業を融合する形で行っている。特に,体育教育では,指導者目線で学習者の動きの学習世界を理解するのではなく,動く主体として共感的に動きを観察し,学習者を理解することが重要であり,そうした考え方と具体的な指導方法を,学生・院生に習得させることを目指している。学習者の目線での理解を促すために実技実習を行うと時間が不足気味になっていたが,この点について,ここ数年,よりポイントを押さえた実技実習を行ったことで改善が見られている。引き続き,より効果的な方法を探りたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成26年3月:教科内容構成「保健体育」(共著),上越教育大学
論】(1)平成26年3月:マット運動における「手つなぎ前転」の発生を促すための方法に関する考察,新潟体育学研究,32巻,pp.89-95
(2)平成26年3月:フラッグフットボールの学習方法に関する実践的研究,新潟体育学研究,32巻, pp.59-64
(3)平成25年11月:自らの姿勢を振り返り課題をとらえ改善できる児童を目指す姿勢指導の検討,第42回新潟県学校保健学会講演集, pp.28-31
(4)平成25年11月:学校における姿勢指導の考え方と実践方法について,第42回新潟県学校保健学会講演集,pp.32-35
(5)平成25年11月:鉄棒運動「踏み切り逆上がり」の幇助用具と練習方法の開発,スポーツ運動学研究,26巻,pp.119-131
作】(1)平成26年2月:日本赤十字社 雪上安全法救助員養成指導員認定,万座温泉スキー場
(2)日本体操協会 男子体操競技1種審判員認定,国立スポーツ科学センター
(3)国際体操連盟 男子体操競技審判員認定,国立スポーツ科学センター
業】(1)平成26年3月:幼稚園教諭・保育所保育士の転機の語りにおける自己形成プロセス(共著),上越教育大学研究プロジェクト報告書
(2)平成26年3月:保健体育科「今のはどう?マット運動―運動観察で技能を高めよう―」(共著),2013上越教育大学附属中学校「実践例集」
(3)平成25年10月:保健体育科(共著),2013上越教育大学附属中学校研究協議会研究紀要
発】(1)平成26年3月16日:フラッグフットボールにおける指導方法に関する実践的考察―攻守の戦術の関係に着目して―,日本コーチング学会第25回大会
(2)平成26年3月16日:バレーボールにおける未習熟者のためのスパイク指導プログラムの実践的提案,日本コーチング学会第25回大会
(3)平成25年12月7日:学校における姿勢指導の考え方と実践方法について,第42回新潟県学校保健学会
(4)平成25年12月7日:自らの姿勢を振り返り課題をとらえ改善できる児童を目指す姿勢指導の検討,第42回新潟県学校保健学会
(5)平成25年10月20日:小学校における姿勢教育の実践,日本スポーツ教育学会第33回大会
(6)平成25年10月20日:マット運動における「手つなぎ前転」の発生を促すための視点と方法について,新潟県体育学会平成25年度学会大会
(7)平成25年10月19日:フラッグフットボールの学習方法に関する実践的考察,新潟県体育学会平成25年度学会大会
(8)平成25年10月19日:バレーボールにおけるスパイクの学習ステップに関する実践的考察,新潟県体育学会平成25年度学会大会
(9)平成25年9月21日:幼児におけるぶらんこ乗り運動の習熟様相について―「座りこぎ」の動きを対象として―,日本幼児体育学会第9回大会
(10)平成25年8月29日:A Practical Study on the Generation of "One Revolution Jump" in a Young Child's Short Rope Skipping Movement,The International Conference for the 9th of the Asian Society of Physical Education of Young Children
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)自らの姿勢を振り返り課題をとらえ改善できる児童の育成,代表者:遠藤かおる(糸魚川市能生小学校)
(2)福島市幼稚園体力向上プログラムの作成,代表者:佐藤厚夫(福島市教育委員会保健体育課)
(3)幼稚園教諭・保育所保育士の転機の語りにおける自己形成プロセス,代表者:丸山良平(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)平成26年3月27日〜平成26年3月28日:第27回日本スポーツ運動学会大会, (2)平成26年3月16日:日本コーチング学会第25回学会大会, (3)平成25年12月8日:日本体操競技・器械運動学会第26回学会大会, (4)平成25年12月7日:第42回新潟県学校保健学会, (5)平成25年10月20日:日本スポーツ教育学会第33回学会大会, (6)平成25年10月19日:新潟県体育学会平成25年度学会大会, (7)平成25年9月21日〜平成25年9月22日:日本幼児体育学会第9回大会, (8)平成25年8月29日〜平成25年8月30日:アジア幼児体育学会第9回国際会議, (9)平成25年6月22日〜平成25年6月23日:日本体育科教育学会第18回大会, (10)平成25年5月26日:運動伝承研究会第13回総会, (11)新潟体育学研究 論文審査委員, (12)新潟県体育学会平成25年度学会大会 座長, (13)日本体操競技・器械運動学会 理事, (14)新潟県体育学会 理事
◎特色・強調点等
逆上がりに関する研究は,学習者が直接補助やその補助者に頼らずに自力で学習することができる幇助用具とそれによる練習方法を開発したものであり,指導事例に基づいてその有効性を実証したものである。今後,複数の学習者を限られた時間で指導する体育の教育現場においても活用される研究成果である。この考え方は,当研究室による運動指導の新しい考え方に基づくものである。姿勢教育に関する研究は,学校教育現場において養護教諭と共同で行われたものである。特に新しい単元や授業を展開するものではなく,日常的に児童自らが姿勢を意識する当研究室が開発した「姿勢教育プログラム」を実践したものであり,児童の姿やアンケートから顕著な結果が得られた。フラッグフットボールの研究,マット運動の研究は,教育現場でそのまま活用できる指導方法として有効なものである。研究の成果を学会発表や教員研修会などを通して公表し,活用することにも重点を置いた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成26年3月5日:新発田市めざせ100彩講演会「やわらかなからだづくり」(新発田市健康推進課)
(2)平成26年2月26日〜平成26年2月27日:留学生スキーの集い指導者(上越教育大学)
(3)平成26年2月20日〜平成26年2月21日:福島市「幼児期運動プログラム」実技講習及び相談会(福島市教育委員会)
(4)平成26年2月6日〜平成26年2月7日:赤十字雪上安全法講習会(日本赤十字社群馬県支部)
(5)平成26年1月17日:平成25年度さわやか剣野健康会(柏崎市立剣野小学校)
(6)平成25年12月24日:福島市「幼児期運動プログラム」実技伝達講習会(福島市教育委員会)
(7)平成25年11月20日〜平成25年11月27日:平成25年度教職員のための自主セミナー「動きの指導方法」講師(上越教育大学学校教育実践研究センター)
(8)平成25年11月13日:上越市学校教育研究会保健体育部会「授業研究会」(上越市学校教育研究会保健体育部会)
(9)平成25年11月8日:長岡市教育センター研修講座「器械運動における効果的な指導U〜跳び箱・鉄棒運動〜」(長岡市教育センター)
(10)平成25年10月31日〜平成25年11月14日:前橋国際大学「初等体育実技」(前橋国際大学)
(11)平成25年9月17日:福島市教育委員会幼児の運動能力テスト(福島市教育委員会)
(12)平成25年9月11日:妙高市立斐太南小学校 学校保健委員会「やわらかなからだ」(妙高市立斐太南小学校)
(13)平成25年9月11日:妙高市立斐太南小学校 教員研修会「柔軟性を高める運動の指導方法」(妙高市立斐太南小学校)
(14)平成25年9月10日:糸魚川市立木浦小学校学校保健委員会「動きつくり・体つくり〜動きを豊かにしよう〜」(糸魚川市立木浦小学校)
(15)平成25年9月7日:大間々保育園保育士研修会「幼児の動きの指導法」(大間々保育園)
(16)平成25年8月27日:教育職員免許状更新講習「身体教育の実践理論1」(上越教育大学)
(17)平成25年8月22日:福島地区国公立幼稚園保育指導法研究協議会「幼児の動きの習得とその指導」(福島市教育委員会)
(18)平成25年7月12日:長岡市教育センター研修講座「器械運動における効果的な指導T〜基礎・マット運動〜」(長岡市教育センター)
(19)平成25年6月27日:妙高市立新井中央小学校 学校保健委員会「姿勢と健康」(妙高市立新井中央小学校)
(20)平成25年6月27日:妙高市立新井中央小学校PTA・教職員研修会「子どもの姿勢について」(妙高市立新井中央小学校体育館)
(21)平成25年6月16日:平成25年度上越市子どもの体力つくり指導者養成講習会(上越市教育委員会体育課)
(22)平成25年6月2日:新潟県高等学校体操競技大会(新潟県高等学校体育連盟体操競技部)
(23)平成25年5月12日〜平成25年6月30日:公開講座「体操教室T」(上越教育大学)
(24)平成25年4月27日:新潟県高等学校体操競技ブロック大会(新潟県高等学校体育連盟体操競技部)
(25)日本ラート協会 理事
(26)新潟県体操協会 特別参与
(27)上越体操協会 参与
(28)桐生市体操協会 常任理事
(29)福島市教育委員会子どもの体力向上アドバイザー
(30)上越タイムス紙「子ども運動教室」コラムニスト
(31)大間々保育園「幼児の運動カリキュラム」指導助言者
◎社会への寄与等
出前講座や研修などの学校,園,教育機関からの講師依頼については,研究成果を学校教育に直接活かすことのできる大変よい機会であるので積極的に受けた。姿勢教育については,学校現場が抱える潜在的な問題であり,取り組みの成果が出ていると同時に,継続して取り組んでいる。公開講座は受講定員を大きく超える申し込みがあり,定員の2倍を超える人数を受け入れた。数年間継続して受講している児童もおり,保護者へのアンケートでは「引き続き実施してほしい」との要望が多数あった。