得 丸 定 子(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
授業形態は,講義,実習,演習,討議などを組み合わせて行った。授業の指導については,学生の理解が進むように,当日授業の資料配布だけでなく,パワーポイントを中心に進め,実物提示,大教室においては実物手元表示器を使用し,必要に応じてDVDなどの視聴覚機器を用いて授業を進めた。学生のレポート提出やフォローについては,講義支援システムを利用して連絡を取り,また,外部講師の講演については,ビデオ撮影後,学内URLにて視聴できるようフォローを行った。成績評価法については,毎時間提出の小レポートを中心に,課題レポート,出欠・遅刻・早退を重要視して評価を行った。
【観点2】教育の達成状況
ゼミ担当学生の進路状況として,大学院修了生は富山県の中学校家庭科教員に正採用された(1名/1名)。学部卒業生のうちは,1名は群馬県小学校教諭に正式採用,1名は長野県私立幼稚園教諭に正採用された(2名/2名)。ゼミ生中の大学院進学者はなし。博士課程学生(休学中)は指導を続けている。ゼミ学生に対して,採用試験段階から学生を激励し,修論・卒論指導は個人ゼミとして週1回時間を割き指導した結果,このように修士・学部の学生は100%教員に正採用された。
研究指導
【観点1】学部
2013年度の研究指導は,高齢者と子どもの世代間交流,飼い主不在動物についての研究に絞った。前者は,少子高齢化に伴う社会問題解決として研究フィールドを市内I区に定め,長期休業中に子どもの学習支援と,その一環として高齢者との交流を行うことを研究として指導した。後者は,動物愛護と環境教育,地域交流の視点から展開した。実践として地域のNPOと共同で猫の譲渡会や,高齢者施設での小動物とのふれあい会を開催し,文献研究・統計処理だけでなく,テーマに関するボランティア活動を行った。これらの活動は,将来教員として子どもの教育指導する際の有効な糧とする意図である。
【観点2】大学院
現在,子供は家庭や学校でストレス過剰な傾向であり,大人と異なりその解決方法には未熟である。そのストレスへの弾力を養い,生きる力育成のための取り組みを考察・指導した。ストレス対処には,教室内でも実践可能である呼吸法を中心とした宗教性のないマインドフルネス瞑想を導入し,授業実践指導を行った。生きる力としての指標はSOC尺度を用いて,家庭と友人間での生きる力と居場所感の関係の探究を指導した。博士課程は,地域資源を活用したノンフォーマル教育の理論構築・調査指導・結果考察をおこなった。
その他の教育活動
・ 教育実習における学生指導:ゼミ担当学生の実習先として新井小学校,直江津小学校,新井南小学校,附属中学校に赴き,授業参観を行い,その後,授業について学生と検討反省会を行い指導した。
・ 附属学校における指導助言等:附属小学校の指導助言者の役を引き受け,研究会までに,3回事前検討会を行った。
・ 文京学院大学非常勤講師。家庭科演習法2単位15コマの授業を担当した。
・ 附属小学校における家庭科指導・助言を行った。特に研究会に向けての取り組みを行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
・ 平成25年度の活動全般として特筆すべき点は,特に地域と連携を取った教育活動を行ったことである。また,教育活動の検討課題としては,附属学校での「指導・助言者」としての大学教員のかかわり方である。従来から,附属学校は独自の研究課題をもって授業・研究を進めているにも拘わらず,大学教員が「研究協力者」という名称で研究会に向けた準備に加わっている。大学教員が意見を提示しても,学校全体で検討修正されるので,却って担当の附属教員が苦労することになる。故に,附属への「助言者」としてのかかわり方に消極的にならざるを得ず,長年悩んでいる。
・ 文京学院大学には,家庭科教育の教員がいないため,課程認定時から授業に関与している。
・ 大学教員と附属学校教員との連携疎通の改善が課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成25年5月:新版 生活主体を育む(共著),ドメス出版
業】(1)平成25年5月:死生観を基盤とした人間関係育成教育の構築(共著),平成24年度科学研究費補助金実績報告書
(2)平成25年5月:誕生から死までをめぐる様々ないのちの事象について(単著),家庭科
発】(1)平成25年9月30日:SOCと居場所感の関連について―自殺予防のための基礎研究,SOCと居場所感の関連について―自殺予防のための基礎研究,死の臨床
(2)平成25年6月29日:教材「食育すごろくゲーム」実施一年後における児童の意識調査からの評価,日本家庭科教育学会大会研究発表要旨集
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)学校における動物飼育について,代表者:得丸定子(上越教育大学)
(2)喪失と悲嘆に対する宗教的ケアの有用性とその専門職育成についての研究,代表者:谷山洋三(東北大学)
(3)催眠技術による幻覚・妄想の神経機構の解明,代表者:乾敏郎(京都大学)
国際研究プロジェクトへの参加状況
(1)若者の死と死別の悲しみについて,代表者:Phil Carverhill
学会活動への参加状況
(1)平成25年11月30日〜平成25年12月1日:日本生命倫理学会第25回年次大会, (2)平成25年11月2日〜平成25年11月3日:日本死の臨床研究会, (3)平成25年9月14日〜平成25年9月16日:第6回日本スピリチュアルケア学会,第10回アジア太平洋パストラルケアカウンセリング学会合同学術大会, (4)平成25年9月6日〜平成25年9月8日:日本宗教学会, (5)平成25年8月23日〜平成25年8月25日:仏教看護・ビハーラ学会, (6)平成25年8月9日:日本家庭科教育学会北陸地区会研究大会, (7)平成25年6月29日〜平成25年6月30日:日本家庭科教育学会第56回大会, (8)平成25年5月17日〜平成25年5月19日:日本家政学会第65回大会, (9)仏教看護・ビハーラ学会編集委員会・広報委員会委員長, (10)日本家庭科教育学会北陸地区副会長, (11)日本スピリチュアルケア学会評議員, (12)仏教看護・ビハーラ学会理事, (13)仏教看護・ビハーラ学会学術会議登録委員会委員長, (14)日本死の臨床研究会世話人, (15)日本死の臨床研究会企画委員
外国における研究の状況
(1)平成25年4月28日〜平成25年5月4日:米国 27th Meeting Working Group on Death, Dying and Breavement
◎特色・強調点等
「いのち教育」を柱とした教育研究活動を行っている。家庭科におけるいのち教育にかぎらず,生きる力育成,子どもの哲学・生命倫理教育の一環としてすべての教科・教育の基盤となる教育である点が重要である。また,本研究は,学生も教員も研究にとどまらず自分の生き方へ還元することを目指している点を特徴とする。よって,本研究は,子どもから,成人,高齢者まで貫くテーマでもあり,学校教育に限らず外部団体や市民などから講演依頼をしばしば受ける。また,男女参画事業や食生活に関わる行政的な委員として社会貢献を果たせるよう心掛けている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況 
(1)出前講座(上越教育大学)
(2)新潟県男女平等社会推進審議会委員(新潟県)
(3)教職免許講習(上越教育大学)
(4)上越地域消防事務組合情報公開・個人情報保護審査会委員(上越市)
(5)にいがた食の安全・安心審議会委員(新潟県)
(6)新潟県不当取引調査会委員(新潟県)
(7)上越市都市計画審議会委員(上越市)