序   章


  創設の趣旨・目的

 今日の教育は,広く国民の大きな関心を集め,教育の制度や内容は大きく発展してきた。そして,その中心となる学校教育を担う教員に対しては,教育者としての使命感と人間愛に支えられた広い一般的教養,教育の理念・方法及び人間の成長や発達についての深い理解,教科に関する専門的学力,優れた教育技術など,専門職としての高度の資質能力が強く求められている。
 上越教育大学は,今も変わることのない,このような社会的要請にこたえて,主として初等中等教育教員に研究・研鑽の機会を提供することを趣旨とする大学院修士課程と,初等教育教員を養成する学部を持ち,学校教育に関する理論的・実践的な教育研究を推進する国立の教育大学として,1978年(昭和53年)10月1日に設置された。
 大学院は,学校教育研究科とし,修士課程を置き,主として初等中等教育の実践にかかわる諸科学の総合的・専門的研究を行うとともに,初等中等教育教員に高度の学習と研究の機会を与え,その理論的・実践的な能力の向上を図ることをねらいとしており,そのために,入学定員の3分の2程度は,初等中等教育における3年以上の教職経験を有する者を入学させることとしている。
 学部は,学校教育学部とし,初等教育教員養成課程を置き,児童等の成長と発達に関する総合的な理解の上に,全教科・領域にわたる優れた指導能力を備えた初等教育教員を養成することを目的としており,人間の生涯を通ずる教育の基礎とされる初等教育と,これに携わる教員の養成の重要性にかんがみ,学生の人間形成についても重視することとしている。
 また,1996年(平成8年)4月1日,教員養成系としては初めて,兵庫教育大学に設置された大学院連合学校教育学研究科(博士課程)は,本学,兵庫教育大学,岡山大学及び鳴門教育大学の4大学が,それぞれの大学院修士課程における実績の上に,連携協力して教育・研究組織を編成し,学校教育における教育活動や教科の教育に関する実践的研究を行い,それを踏まえた高度の研究・指導能力を備えた人材を育成することを目的としている。
 さらに,2008年(平成20年)4月1日,教職大学院制度発足に合わせ,大学院学校教育研究科に,専門職学位課程(教職大学院)を設置した。教職大学院では,教職に関する精深な学識を身につけ,教育現場に生起する問題や事象について即時的に判断し,対応する力量を有する教育者を育成することを目的としている。




  上越教育大学憲章
(平成21年3月19日制定)

 上越教育大学は,人類の福祉及び文化と学術の発展に貢献する大学の普遍的使命を自覚し,教員の養成と再教育を担い教育に関する先端的な研究を進める大学として更に飛躍するため,ここに上越教育大学憲章を定めます。
 上越教育大学は,教育者としての「使命感」・「人間愛」・「創造力」を有する教員の養成を目指します。
 上越教育大学は,自然や歴史,文化に恵まれ,教育に対する深い理解と愛情を有するこの文教の地において「地域に根ざした教員養成」を実現します。

 ○ 教育の目標
・教育の理念・方法及び人間の成長や発達についての理解,優れた教育技術を持った教員を養成します。
・学生の個性を尊重し,個に応じたきめ細かな教育研究指導を行います。
・現職教員と教職を志す学生が共に学ぶことができる場を提供し,教育実践力の育成に努めます。
 ○ 研究の目標
・学校教育にかかる諸科学において,理論研究と実践研究の融合を目指し,先進的で学際的な研究を推進します。
・教育現場の課題に立脚し,教育現場に根ざした研究を推進します。
 ○ 社会への貢献
・地域の優れた教育環境を活かし,国内はもとよりアジア,世界に向けて教育研究成果を発信します。
・学術文化の中心として,教育研究成果を社会に還元し,地域と共に学びの場を創造します。
・海外の高等教育機関と連携し,国際的な教師教育の充実と発展に寄与します。
 ○ 大学運営の基本
・全ての大学構成員が,相互の人格を尊重し,その個性と能力を最大限発揮できるよう安全で快適な学園環境を創造します。
・開かれた大学として,教育・研究・運営に関わる情報の公開に努め,社会に対する説明責任を果たします。