第二章 各教員の教育・研究活動及び社会貢献等に関する自己点検・評価
4 総括的な点検・評価(調査結果の前年度との比較等)
(1) 観点
本学は,昭和53年に「教員に開かれた大学院」として開学し,以来,教員養成と現職教員の高度研修・研究を通じて学界と社会に貢献してきたが,平成8年には兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程を設置し(構成大学),そして,平成12年度にはさらに高度な教育研究を創造的に推進する人材養成を目的とした,新たな学習と発達に関わる臨床系の教育研究体制を立ち上げた。
さらに,平成20年4月1日には,大学院学校教育研究科に,教職に関する精深な学識を身につけ,教育現場に生起する問題や事象について即時的に判断し,対応する力量を有する教育者を育成することを目的として,専門職学位課程(教職大学院)を設置した。
これまで本学では,毎年度,点検・評価項目の見直しを行い,平成13年度から「教育活動」,「研究活動」及び「社会との連携」の各分野について特色ある点等を記述する項目を新設し,平成16年度〜17年度にかけて「教育活動」に「今後の検討課題」の項目や評価の「観点」を追加するなど,自己点検・評価と改善に向けた取組が明確に示されるよう考慮しながら,本学教員の成果を積極的に社会に公表してきた。ただ,自己点検・評価の充実の一方で,ファカルティ・ディベロップメント(FD)活動として実施している授業の自己評価や,教員人材評価,本学ホームページの「教育研究スタッフ紹介」に掲載し公表している各教員の活動業績など,他の業務や情報発信と重複する部分も見受けられ,教員の負担の増大が課題となっていた。
このことから,平成29年度においては,自己点検・評価及び情報発信の方法を見直し,以下の変更を加えた。
・FD活動として授業改善が図られていることを考慮し,記述式の項目を廃止
・大学教員業績登録システムへのデータ登録項目数の削減を念頭に,教員人材評価,競争的教育研究資金の配分,自己点検・評価の3つの制度の評価項目を一本化
・本学ホームページの「教育研究スタッフ紹介」及び科学技術振興機構が運営する「researchmap」において各教員の活動状況が公表されていることから,年次報告書への個々の教員の活動状況(自己点検・評価書)の掲載を廃止
これらの変更により,教育研究活動等の改善及び社会への情報発信という自己点検・評価の目的・機能を維持・充実しつつ,教員の負担軽減及び業務の効率化・合理化を進めていくこととしている。
(2) 自己点検・評価の提出状況
提出教員数は136人,回収率は95.10%であった。(前集計表参照)
(3) 各項目のデータ集計結果(概要)
データ集計結果の前年度との比較に際しては,一人当たりの平均件数を小数点以下第2位(3位以下四捨五入とした。)まで求め,比較することとした。
@ 「授業・研究指導以外のその他の教育活動の実施状況」については,総件数は5件減少し,一人当たりの平均件数は0.02件増加している。
A 「研究成果の発表状況」については,「著書」(一人当たり1.03件の増加)及び「教育実践に関する業績」(一人当たり0.2件の増加)の各項目は増加している。「著書」の増加は,本学出版会が刊行した「21世紀を生き抜くための能力」育成シリーズの図書4冊の執筆に,多くの教員が携わったことが影響している。一方で,「論文」(一人当たり0.34件の減少),「作品・競技歴等」(一人当たり0.25件の減少)及び「学会等口頭発表等」(一人当たり0.62件の減少)の各項目は減少している。なお,「その他」については,評価項目の見直しに伴い,今年度から廃止した。
B 「研究活動の状況」については,「国内外の学術賞等の受賞状況(1件の増加)」の項目は増加している。一方で,「共同研究の実施状況(一人当たり0.27件の減少)」,「国際研究プロジェクトへの参加状況(11件の減少)」及び「外国における研究の状況(10件の減少)」の各項目は減少している。なお,「学会活動への参加状況等」については,評価項目の見直しに伴い,今年度から廃止した。
C 「社会貢献活動」については,一人当たりの平均件数は0.34件増加している。
(4) 今後の改善点等
今後は,教員の負担軽減及び業務の効率化・合理化の観点から今年度実施した見直しの効果を検証し,大学教員業績登録システムが各教員にとってより利用しやすいものとなるように引き続き運用するとともに,各教員のの自己点検・評価が,本学の教育研究活動等の改善及び活性化に結び付くよう,さらに創意工夫していく必要がある。