ま え が き

 年次報告書は、本学の1年間の業務運営や教育研究活動などの取組状況と、その取組に対する自己点検・評価をまとめたもので、以下の3つの章で構成しており、昭和60年度版(昭和61年12月発行)の発行以来、この報告書は通算で第38号となります。

  第一章「組織の運営状況に関する自己点検・評価」
  第二章「各教員の教育・研究活動及び社会貢献等に関する自己点検・評価」
  第三章「資料編」

 第一章「組織の運営状況に関する自己点検・評価」では、各組織が行った、業務の運営状況に関する自己点検・評価について、優れた点及び今後の検討課題等を掲載しています。
 第二章「各教員の教育・研究活動及び社会貢献等に関する自己点検・評価」では、本学教員の教育研究活動や社会貢献等の状況を数値データとして客観的に把握し、課題、改善点等を明確にすることにより、不断に改善を行い、本学の教育研究活動等の水準を維持・向上させることを目的としています。
 第三章「資料編」は、本学の業務運営や教育研究活動などの状況を数値データとして整理して公表しているものです。

 現在、教員の養成、採用、研修に係る環境は以下のような様々な影響から、大きな転換期を迎えていると捉えています。
 (1) 学校現場における各種教育課題の多様化、複雑化
 (2) 教員免許状更新講習制度の廃止に伴う教員研修の在り方の見直し
 (3) 少子化に伴う学校・学級数の減少による、採用教員数の減少
 (4) 教職に対するイメージの低下による教員志望者の減少
 また、ようやく新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し対策が緩和されましたが、学校現場では引き続き様々な感染症への慎重な対応が求められています。
 さらに、令和6年元日に発生した能登半島地震により甚大な被害が出ており、被災した中学生が集団避難生活を送らなければならない状況にあるなど、学校現場では災害発生時の安全対策は勿論のこと、教育活動の継続、そして児童・生徒の心のケアなど、教員が果たすべき役割は益々、多様化、複雑化しています。

 教員の養成・研修を担う本学でもこれらの課題などに対応すべく、第4期中期目標・計画においては、第3期の基本的な目標に掲げた、「21世紀を生き抜くための能力+α(※)」を備えた教員の養成を更に発展させることを主要目標の一つとして掲げ、第4期の1年目(初年度)となる令和4年度は、大学院教育組織の改組、学校教員養成・研修高度化センターの整備、社会の変化や教育委員会及び学校現場のニーズ等を踏まえた教育課程の改善など様々な取組を進めて参りました。

 学校現場の教員の皆さんが変化に対応するために学び続ける必要があるのと同様に、本学も教育現場の課題やニーズを的確に把握して、常に先んじて教育界の変化に対応する必要があります。教員の養成・研修を担うリーダー的な国立大学法人として、社会から求められ、またその期待に応えるべく、今後も継続的に機能強化、改善に取り組んで参りたいと思います。
 本年次報告書をご覧になった方々から、忌憚のないご意見と励ましのご支援等をお寄せいただければ幸いに存じます。

令和  6 年 2 月
 
上 越 教 育 大 学 長
林  泰 成

 

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※「21世紀を生き抜くための能力+α」を備えた教員の養成

 基礎力・思考力・実践力で構成される「21 世紀を生き抜くための能力(汎用的能力)」を備え、かつ児童生徒に対しその能力を育成できる教員を養成することを主眼とし、さらに、教員として必要な、豊かな教養、使命感、人間愛等の「+α」の資質・能力をも備えた教員の養成を目指すもの。