★ 合同条件へのコンバート

5年生の時に、2つの図形が合同であることについて
学びました。一方の図形をずらしたり、まわしたり、
うら返したりして、他方の図形にピッタリ重ねること
ができる時、2つの図形は合同だと言うのでした。

合同な図形では、対応する辺の長さが等しいとか、
対応する角の大きさは等しいという性質
ありました。例えば2つの三角形が合同であるとすると、
ぴったりと重なるので、3つの辺の長さは等しくなります。

5年ではこの性質を生かして、合同な三角形をかく方法
も考えました。合同な図形では辺の長さや角の大きさが
等しいのであれば、逆に辺の長さや角の大きさ
を等しくして作図をすれば、合同な三角形がかけるだろう
ということです。そして、3辺の長さを等しくして作図
すれば合同な三角形がかけるといった、かき方
まとめました。

合同な図形の性質から生まれたこのかき方が、中学校の
数学では、2つの三角形が合同であると判断するための
条件へと変わります。つまり、これこれの条件を
満たしていたら、2つの三角形は合同だと判断していいよ、
という基準へと役割が変わっていくのです。

2つの三角形が合同かどうかは、本当は、ピッタリ重なる
かを確かめて判断をするのですが、この条件のおかげで、
実際に重なるかを確かめてみなくても、どの辺の長さが
等しいとか、どの角の大きさが等しいといった情報だけ
から、2つの三角形が合同かどうかを判断することが
できるのです。算数では性質だったものが、数学になって、
判断のための条件へと役割をコンバートをしてくれた
おかげです。

【補足】
数学での合同条件の立ち位置を詳しく知りたい
人は、(勉強を進めて読めるようになったら)
例えば、小平邦彦「幾何学への誘い」や
D. ヒルベルト「幾何学の基礎」などを調べて
みてください。