分科会情報


 初日11月12日15:40〜17:10に以下のような分科会を開催致します。オーガナイザーの先生方を中心に準備を進めてきて頂きました。興味のあるテーマの分科会へご参加下さい。

分科会テーマ
オーガナイザー
提案者
会 場
数学教育学研究における認識論の展開と課題小山正孝先生(広島大学) 岡崎正和先生(岡山大学)
日野圭子先生(宇都宮大学)
講201教室
(158席)
「授業」の科学的探究:数学教育学におけるその展開と課題 清水美憲先生(筑波大学) 関口靖広先生(山口大学)
宮川 健先生(上越教育大学)
講202教室
(195席)
数学教育における授業研究を通した教師教育の展開と課題 中村光一先生(東京学芸大学)藤井斉亮先生(東京学芸大学)
岩崎秀樹先生(広島大学)
高橋昭彦先生(東京学芸大学国際算数数学授業研究プロジェクト)
講301教室
(300席)

会場の位置については、こちらをご覧下さい。

【各分科会の内容】(発表者による論文をPDFで読むことができます)

数学教育学研究における認識論の展開と課題
  オーガナイザー:小山正孝(広島大学大学院教育学研究科)

趣 旨
  課題別「数学教育学研究における認識論の展開と課題」分科会においては,算数・数学教育の研究と実践の根本に関わる「認識論(知識の本性とその認識可能性に関する理論)」に注目して,数学教育学研究におけるこれまでの認識論の展開についての情報を共有し,これからの課題や展望について議論したいと思います。数学教育学研究において問題とすべき認識論は,「数学的知識」についての認識論です。認識論は指導法ではありません。また,それそのものは数学教育理論でもありません。数学教育学研究における認識論について考えることは,理論的研究や実践的研究における自己反省と言ってもよいでしょう。

  本分科会では,オーガナイザーを小山正孝(広島大学)が務め,日野圭子(宇都宮大学)と岡崎正和(岡山大学)が資料提供・提案をします。数学教育学研究においてこれまでどのような認識論が提起され議論されてきているか,学習指導や研究方法と認識論との間にはどのような関係があるか,いくつかの認識論を背景にもつ記号論的アプローチとはいかなるものか,を中心に進めたいと考えています。本分科会への多くの方の参加をお待ちしています。

「授業」の科学的探究:数学教育学におけるその展開と課題
  オーガナイザー:清水美憲(筑波大学)

趣 旨
  授業という営みは,学校における教科指導の中核に位置し,数学教育学の主要な研究対象であることはいうまでもありません。しかし,この授業という複雑な現象の解明には,いわゆる教授学的三角形を構成する教師,子ども,教材の三項関係のみならず,社会・文化的要因をも視野に入れた研究枠組みと方法論が必要になります。一方,近年になって,授業の研究における研究者の位置自体を問い直し,研究の自律性を否定する見解もみられます。   本分科会では,そもそも授業への科学的アプローチは可能なのか,またもし可能であるとすればそれはどのようなものか,さらにそのような研究がもたらす知見を授業改善に資することができるのか,このような論点について考えたいと思います。

  そのために,オーガナイザーによる問題提起に続き,関口靖広(山口大学)が質的研究方法論に基づく自身の研究経験を踏まえ,授業に関する研究の妥当性と一般化可能性の問題について検討し,指針を提示します。また,宮川 健(上越教育大学)は,フランス数学教授学の立場から「科学的」の意味を吟味して研究課題を指摘し,教授学的状況理論による授業エピソードの分析事例とそれに基づく授業設計を提案します。

  多数の皆様のご参加をお待ちしています。

数学教育における授業研究を通した教師教育の展開と課題
  オーガナイザー:中村光一(東京学芸大学)

趣 旨
  J. W. StiglerとJ. Hiebert によって, 「The Teaching Gap」が1999年に出版されて以来,特に,わが国の授業と授業研究に国際的な注目が集まってきています。そして,北米,東南アジア,アフリカ,南米の一部の国では,教師教育を目指して授業研究が行われるまでになってきました。

  わが国で行われてきた授業研究は,独自の特性をもっていると考えられます。例えば,研究授業を通した授業研究を行うことで,教員集団が自ら教員の資質向上をはかり,学校教育の改善を進める力をもっています。すなわち,授業研究は自己向上機能を備えた文化的な営みであると考えられます。

  このような授業研究について,算数科,数学科の立場からの研究は希少であると考えます。あらためて,われわれは日本で長い年月をかけて培ってきた授業研究について,十分な理解をしてきただろうかという疑問が生じます。

  新しく焦点が当てられた研究領域という認識で,本分科会では,藤井斉亮(東京学芸大学),岩崎秀樹(広島大学),高橋昭彦(東京学芸大学国際算数数学授業研究プロジェクト),そして中村光一(東京学芸大学)がそれぞれの立場から教師教育という文脈で授業研究についてあらためて考える機会としたいと思います。多数の皆様のご参加をお待ちしています。