原子吸光分析装置    (日立 Z-8200、 ゼーマンバックグランド補正式)

○様々な元素を定量するための装置です。
 超微量の金属元素の定量に使用することが多いです。  試料(数10マイクロリットル)を黒鉛製の炉(筒状の容器)に注入し、 それに電気を通して発熱させ、試料を乾燥、灰化させた後、高温(2千数百度)に加熱し、 炉内で原子の蒸気を発生させ、その蒸気による光の吸収から、 目的元素を定量します。
 非常に感度がよく、ppbの濃度レベルの分析に用いられます。
 フレームとフレームレスのタンデム型ですが、ほとんどフレームレス専用機 として使用しています。オートサンプラーも装着されており、とても使いやすい装置です。シグナルの形状なども記録できるような装置が装備されています。ただし、黒鉛炉原子吸光分析法は共存物の影響を強く受けることがある分析方法であり、分析には充分な注意が必要です。また、この濃度を扱う時は、実験室の掃除や器具の洗浄などがたいへんです。試薬も特別に高純度なものを使用する必要があります。
  この装置で検量線を作成すること(ppbの溶液調製を正しく行えること(実験環境の整備も含めて)) が、研究室での最初の関門となることがあります。ppmの分析とは別の次元であることを痛切に感じたりします。本実験室でとても良く使用される頼れる装置です。


(注)1ppmの濃度とは?:100万分の1のこと、1ppmとは1パーセントの溶液を1万倍に薄めた溶液の濃度です。
1トンの水の中に1グラムの何か(例えば砂糖)が溶けているとき、1ppmの砂糖溶液となります。 家庭用お風呂の水(500リットル位でしょうか)2杯位の水に砂糖1g(小さじ1杯)溶かした濃度です。

 1ppbの濃度とは?:10億分の1のこと、1ppbとは1ppmの千分の1の濃度です。
1000トンの水の中に1グラムの何か(例えば砂糖)が溶けているとき、1ppbの砂糖溶液となります。 長さ25m、幅15m、平均水深1.5mの学校のプールで約560トンの水です。プールおおよそ2杯分の水に砂糖1gを溶かした濃度です。こんなに薄まっていると何が溶けてても関係ない? いえいえ大有りの場合があります。環境基準(水質で、ひとの健康を直接守るための項目)では1ppb以下の濃度で設定されているものもあります。