教職大学院でも大切にしたいこと |
(5)現場教師の視点最後に,開発するということにおいて,欠くことができないのが現場教師の視点であるということを強調しておきたいと思います。 それは,数学教育の最前線にいるのは教師であり,教師に相手にされないような教材など何の意味もなさないということです。逆に,教師にとって重要であるとみなされたものが受け入れられ教室を変えることに寄与しうるということです。これは,アメリカの1960年代の大規模な数学教育改革の失敗から導き出された1つの重要な結論です。 また,Wittmann氏も,最近のドイツで成功を収めたプロジェクト「mathe2000」で開発された新しい方法が伝統的なものよりもうまくいくことを最初に見出したのは教師であったことを告白し,「知識が知的構造体の一部分となるのは実践者がかなり重要だとする問題に関連する結果のみであるように私には思われる」とまで言っています。 つまり,教師の実践の改善という形でのみ教材開発は実現するということです。つまり,システム論的,全体論的観点が重要であり,教材だけを新しく変えたところで,いや,変えることはできないのです。 |
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