あなたも上越教育大学数学教室で
ともに学んだり研究したりしてみませんか?

上教大数学教室に来てみたいという皆さんに、我々教員からの簡単な自己紹介あるいは メッセージです。

中川仁

素数はどのように並んでいるのでしょうか? 自然数のべき乗の逆数の無限和はどんな数になるのでしょうか? このような素朴な問に興味を持つ人の心によって整数論は創られています。 整数論のおもしろさをいっしょに味わってみませんか。最近指導した修士論文題名は次の通りです。

  • イデアル論の基本定理
  • ガロワの基本定理
  • 超曲面の合同ゼータ関数
  • モジュラー形式とモジュラー曲線
  • 連分数と二次形式
  • ガロア理論と代数方程式の可解性
  • 3次行列のペアと3次環のイデアル類
  • 3元2次形式のペアと4次環
  • 合同数問題と楕円曲線

松本健吾

2010年4月に上越教育大学に10年ぶりに復帰しました。 学部の授業では主に微分積分学関連の科目を担当していますが、 私の専門は、微分積分学ではありません。私が、興味を持っているのは、 作用素環という無限次元のベクトル空間(ヒルベルト空間) の上の作用素達のなす環(輪っかではありません、足し算と掛け算の定義された代数です)です。 無限次元の線形代数という感じもしますが、位相が入っているので、解析的な対象であり、 関数解析学の一分野です。研究手法として、幾何学から様々な道具を導入して、 非可換幾何学としての見方をすることもあります。 最近は、グラフなどから文字列のなす空間(記号力学系と呼ばれます)を考えて、 その文字列のなす空間から作用素環を構成して、幾何学に現れるK-理論という手法を使ったりして 作用素環を応用して記号力学系の分類などを研究しています。 記号力学系それ自身は、作用素環を使わなくても理解することができ、 私自身も作用素環を使わない記号力学系の研究もしています。 10年前に指導した修士の学生さん達は、 記号力学系の研究で修士論文を書いていました。

高橋等

数学を知るということはどういうことか。算数や数学の授業において何が起こり,子どもはどの様な活動をし, 数学として何を知っていくのか。そのような問題意識をもちながら 研究を行っています。 上越の自然の中で,共にこれまでの数学教育を見つめ直し,新たな数学教育の進展に力を注ぎませんか。 最近指導した修士論文題名は次の通りです。

  • 関数学習における子どもの知識の形成過程についての研究
    -モデルの発達の様相についての考察-
  • 割合単元における子どもの知識の形成過程について
    -固執modelの発達と役割-
  • 中学校数学における証明の正当化に関する研究
  • 割合の学習における児童の思考過程についての研究
  • 算数の問題における絵図を用いた解決過程についての研究
  • 数学学習における相互作用過程に関する研究
            -Sfardの焦点分析を柱として-
  • 数学的活動における数学化の過程の研究
    -樹形図とベン図を通した確率の意味の形成をもとにして-
  • 実験を伴う関数の授業における子どもの思考過程について
    -数学的モデリングに着目して-

斎藤敏夫

専門分野は(低次元)位相幾何学です.「低次元」という言葉は残念ながら日常用語としてはあまり良い意味で使われていないようですが,数学においては通常「3次元および4次元の空間」を意味します.現在のところ,3次元多様体(縦・横・奥行きの広がりをもった図形)の位相的および幾何的性質に興味があり,Heegaard理論を用いた研究を進めています.この理論の創始者Heegaard氏はデンマークの数学者です.デンマークといえばレゴ社という玩具会社が有名ですが,3次元多様体に関する多くの研究,とりわけHeegaard理論は「レゴブロックの精神」と密接な関係にあると個人的には考えています.レゴブロックは基本ブロックの組み合わせ方により多種多様なモノを作り出すことができます.一方で,「基本ブロックの貼り合わせ方により様々な3次元多様体を構成する」という発想がHeegaard理論の原点ともいえるからです.感覚的には「ちょっと高級なブロック遊び」といったところでしょうか.Heegaard氏によるこの構成法はポアンカレ予想と同程度の歴史を持ちますので,3次元多様体論においては古典的な概念とされています.しかしながら,現在もなお世界中で活発な研究が行われている分野のひとつです.私の長期的な研究目標は『3次元多様体の位相的および幾何的性質をHeegaard理論の観点から解明すること』です.図形を扱うことが好きな学生さんなら皆さん大歓迎ですので,まずは研究室へ遊びに来てください.

林田秀一

私は 2012年4月に上越教育大学に着任しました。数学は身近なところにあふれています。例えば、ボールを斜め上に投げると、その軌道は直線的ではなく、放物線を描きますが、ボールの初速と角度が分かれば、どのような軌道を描くか求めることができます。また、インターネットで使われる暗号理論や、工学・物理などにおけるシミュレーション、経済学など、例をあげたらきりがありませんが、様々な場面で数学は用いられています。
 私の研究分野は整数論と呼ばれる分野です。整数論の問題として、例えば、「4以上のすべての偶数は2つの素数の和で書けるか?(ゴールドバッハ予想)」や「101 と 103 など差が2であるような素数の組は無数にあるか?(双子素数の問題)」など古典的な未解決問題も多々あります。整数論の研究は、数学の他分野に影響を与え、かつ影響を受けながら発展してきました。私は、整数論と深く関わる保型形式とよばれる、ある強い対称性をもつ関数の集まりを主に研究しています。私の目下の研究は、多変数の保型形式のなす構造や、保型形式の間のつながりを調べることです。数学の奥深さに興味を持つ学生のみなさんと出会えることを、楽しみにしています。