記録編 ボストン
ボストン コンピュータ博物館
Computer Museum
上越教育大学・院 社会系
(長野県須坂市立相森中学校) 麻田正明
3 展示コーナーいろいろ
(1) "People and Computers" & "The Networked Planet"
 "People and Computers: Milestones of a Revolution"は、1930年代から90年代までのコンピュータの発達を、その時代の典型である機種を時代背景や利用場面の中に位置づけて展示してある。"The Networked Planet"は入口でキーカードに自分の名前を登録して見学を開始、各ブースでこのカードをバーコードリーダーに通して機器を操作し、情報を得ていく。ネットワークがどのような場でどのように利用されているかを、電話やATM機、天気予報、飛行機の位置情報などを例にして体験できる。コーナーの最後にはインターネットに接続された端末が10台程あり自由に体験できる。
(2) コンピュータの内部探検 "The Walkthrough Computer 2000"
 "The Walkthrough Computer 2000"はコンピュータ博物館自信のコーナーである。入口には巨大なキーボードとトラックボールがある。ここから50倍の大きさのコンピュータ内部に入り込んで、コンピュータの基本的な機器の名称や用語、それぞれの働きについて学んでいくという構成になっている。各所に大きなチップ類が埋め込まれたボードやコネクタが配置され、コンピュータの内部にいるような気分を盛り上げてくれる。キーボードには数人の子どもが乗って楽しそうに遊んでいた。このコーナーは特に初等中等教育での利用を意識して構成されており、子どもの団体見学用に体験的なガイドツアーも用意されている。
(3) 話題の新コーナー "The Virtual FishTank"
 "The Virtual FishTank"は、自分でデザインした魚をバーチャルな水槽の中に放すというものである。独創的な魚を創るだけではなく、魚の餌の好みや人間や他の魚に対する反応などを性格づけ、それが全体の生態系の中でどのように反映されるか擬似的に体験できるシステムになっている。訪問したのは金曜日の夕刻で、館内は子どもたちでいっぱいだった。コンピュータに触れることに躊躇せず、嬉々として操作していたのが印象的であった。特に人気なのが、エデュテイメントソフト、インターネット、自動車や飛行機運転のシミュレーションの体験コーナーであった。
  4 インターネットでも
 展示以外の社会教育活動として、"The Computer Museum Network"(http://www.tcm.org)のホームページを開設している。博物館についての詳細な案内のほか、コンピュータの学習で使える資料"Educational Activities Packet"を提供している。ちなみにホームページには1ヶ月間に150万件のアクセスがあり、大変よく利用されているという。
キーボードで遊ぶ子ども
大きなキーボードの上で遊ぶ子どもたち
5 研修機関として
 本館はまた教育センター("The Education Program Center")としての役割も果たしている。初等中等教育向けに資料や、教育用ビデオ、書籍、教材などの提供と教員対象の研修を積極的に行っている。特に研修としてはメロン財団からの補助金をうけ、ボストン市内でも特にコンピュータ整備が遅れている地区の公立学校教員を対象に、授業でのインターネットの有意義な活用法についてのワークショップを、博物館内教育プログラムセンターで開催している。  単に機器を陳列するだけなく、興味関心を喚起しながら体験的にコンピュータに親しんでいくように工夫された、優れた博物館のひとつであるといえよう。