記録編 ワシントンD.C
全米地理学協会
National Geographic Society
県立新潟西高等学校教諭 志村 喬
 1 訪問の概要
 国会議事堂見学の後、ホワイトハウスの北方約1.5kmに位置する全米地理学協会本部に併設されている展示室を訪問した。午後には次の研修地ピッツバーグに向かうために、10時30分から約1時間という限られた時間ではあったが、アメリカ合衆国内のみならず世界的規模に達している同協会の活動の一端を体験することができた。
全米地理学協会全景
写真1:全米地理学協会全景
(手前ならびに奥の建物、手前の建物1階にエクスプローラー・ホールがある)
 2 全米地理学協会
 全米地理学協会は、National Geographic Society(略称NGS)とよばれる組織( http://www.nationalgeographic.com)であるが、「ナショナル・ジオグラフィック」誌を発行している組織と紹介した方が分かり易いのではないだろうか。1955年4月から「ナショナル・ジオグラフィック:日本版」が初めての非英語版として発行され、日本でも活動が身近になってきた。日本版の発行部数は約16万部であるが、英語版は約800万部の発行部数を誇り、アメリカ合衆国においては月刊雑誌を代表する雑誌である。また、スペイン語版・イタリア語版・ヘブライ語版もあわせると、全世界では約900万部が発行されている(「ナショナル・ジオグラフィック:日本版」1998年8月号記事より)。テレビにおいても全米地理学協会は、合衆国での人気番組「National Geographic EXPLORER」をはじめ、複数の番組を提供している。
 これら代表的な活動に象徴されるように、全米地理学協会は、地理を広く普及させることを目的としており、その設立は1888年にさかのぼる。以来今日まで、出版・講演・教材提供をはじめとしたさまざまな企画を通して地理の普及活動を実施している。その活動の中には、多くの探検・調査活動の支援も含まれており、最近では映画で話題になった沈没旅客船タイタニックの探査・調査活動を支援したことが有名である。
 地理教育分野では、1980年代半ばよりアメリカ合衆国で展開されている地理教育復興運動を担っている中心組織であることを忘れてはならない。