テーマ別編 中学校 4/4
アメリカ合衆国の独立と愛国心
西頚城郡青海町立田沢小学校 秋山正道
 (3) ニューヨーク
 ニューヨークの港に入ると、晴れた日はリバティ島に巨大な自由の女神の像がそびえ立っているのが目に入る。この像は合衆国人にとって建国の象徴となっている。
 女神像は合衆国の独立100年を祝ってフランスから寄贈されたものである。鉄製の骨組に銅版を打ち付けたもので、フランス人エッフェルによって考案された。像本体の高さはたいまつの先までで46.4メートル、台座をふくめると93.5メートルになる巨大な銅像である。像の重量は254トンという。女神は頭に7本の「光の矢」のついた冠をかぶり、右手にたいまつを高々と掲げ、左手には「1776年7月4日」と記された独立宣言書を持っている。また、足下にはかつて奴隷の身であったことを示すこわれた鎖がある。まさに、イギリス本国からの独立を象徴する像であり、合衆国の人だけでなく世界中の観光客が訪れる。
リバティ島の自由の女神を訪れる観光客
リバティ島の自由の女神を訪れる観光客
リバティ島とエリス島  右上の写真は自由の女神を見ようと集まった観光客を像の上から撮ったものである。バッテリーパークからリバティ島へ渡るフェリーが出ている。しかし、最初の便に乗らないとゆっくり見学ができないほど観光客でごった返す。合衆国は日本と違って建国の時期がはっきりしている。イギリスとの戦争によって自らの力で独立を勝ち取った歴史を誇りにしているアメリカ人の愛国心を確認するモニュメントが自由の女神であるといえる。
 また、合衆国は多数の移民によって成り立つ、人種のモザイク国家でもある。特に19世紀末から多くの人が合衆国へ移住してきた。移民局の本部は、1892年にリバティ島の隣にあるエリス島に移された。1954年にマンハッタン島に移民局が移されるまでの60年間に2千万人を越える移民がこのエリス島から合衆国に入っていった。多くの移民はリバティ島にそびえ立つ自由の女神像を見て、新天地に思いを馳せたであろう。
リバティ島とエリス島(右手前)
 1990年にエリス島にあった移民受入施設を改修して「エリス島移民博物館」が開設した。カリフォルニアの金鉱石を求めて移住した10万の人たちをフォーティ・ナイナーズと呼ぶ。彼らの中に日本人もいた。博物館には移住当時の日本人の写真も展示されている。移民の子孫たちはここで自分たちの祖先の歴史を学ぶことができる。複雑な歴史を背負った多民族社会としてのアメリカ人の愛国心が別な視点から確認される場所でもある。
〈参考文献〉 ・世界の歴史21アメリカとフランスの革命(中央公論社,1998)
・世界歴史大系 アメリカ史1・2(山川出版社,1994)
・多文化社会アメリカの歴史(明石書店,1995)