テーマ別編 高等学校 2/6
ピッツバーグの産業構造変化と都市再開発
新潟県立新潟西高等学校 志村 喬
地図
図1 ピッツバーグ周辺地域(筆者作成)
3.鉄鋼業都市としてのピッツバーグ
(1) 鉄鋼業の発生
 鉄鋼業は、ガラス工業とならぶピッツバーグの伝統的な主要産業である。その歴史は18世紀末にまでさかのぼり、1850年代以降に大規模な鉄鋼業地として確立した。鉄鋼業の繁栄は第二次世界大戦後まで続き、ピッツバーグは「世界の鉄鋼業首都(the steel producing capital of the world)」とも称されるにいたった(第二次世界大戦中は、全米鉄鋼生産量の4割をピッツバーグが占めていたとされる)。ピッツバーグに多くの製鉄所が立地した理由は、石炭および鉄鉱石の入手条件に恵まれていたからであった。モノガンヒラ川上流のアレゲニー山地は石炭層に恵まれており、産出された石炭は艀で容易に運ぶことができた。一方、スペリオル湖西岸のメサビ鉄山の鉄鉱石も、水運および川沿いの鉄道を用いて入手が可能であった。このため、モノガンヒラ川河岸には多数の製鉄所が立地し、一大鉄鋼業地帯を形成したのである(この河川沿いの平坦地への製鉄所立地は、図1のように現在も認められる)。そして鉄鋼業の発達は、機械工業をはじめとした各種工業の発展を促し、ピッツバーグは重工業都市としての地位を確立したのであった。
モノガンヒラ川沿いの景観
写真2 モノガンヒラ川沿いの景観
(手前は川沿いの鉄道線路、
奥は石炭火力発電所)