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4 教材化の視点 1)リサイクル重視から始める単元展開を 小学校でのごみに関わる授業実践では発展的取り扱いとして時数を増やしてリサイクル学習を実施したり、あるいは総合的な取り扱いとして地域の環境問題を取り上げる学習活動の中で展開したりしている。しかし前述のように日常の実践に至るまではなかなか及ばないというのが現状である。わが国においても環境問題に対する国民の関心は高まってきているが、学校での学習は、ごみ処理の流れの追究に時間の大半が費やされ、実践化への方策という点では大半の教師が苦労しているのではないだろうか。 本論で紹介した合衆国のごみ処理事情は、わが国の慣習や実状とは異なった点も多く学校教育にそのまま導入できるわけではないが、こういった展開はどうだろうか。 |
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[1] | 効率的なリサイクルを実現するためにはどうすればよいかという学習課題を設定する。 |
[2] | 自分の家のごみ事情を見直す。 |
[3] | 改善のための具体的な方策を話し合う。 |
[4] | 実際にリサイクルの現場を見学する。 |
活動形態からみれば従前の学習と変わりないが、ごみ処理のシステムや、従事する人達の苦労を知るために、「ごみを捨てる」という観念ではなく、「資源を再生産する」という視点へ移行し、リサイクル活動を柱にした資源学習を展開してみるのはどうだろうか。「捨てる」から「再生産」へ、発想を転換させることにより、子ども達の実践化への意識を高めるひとつの方策となれば思う。 | |
2)写真教材を活用して資料の読み取りを | |
[1] |
共通点・差異点を探し出す〜資料比較〜 ごみ箱10枚の写真を比較し、共通点を探し出す。英語表記であるが簡単な単語ばかりなので、ローマ字が読めれば理解できる。表示内容を比べる内に、リサイクルに力を入れている面が把握できるであろう。また、日本の高速道路のサービスエリアにあるごみ箱とアメリカ合衆国のごみ箱の写真を比べ、リサイクルに対する意識の違いを浮き彫りにするという差異点を探す活動もできる。 |
[2] |
参考資料として紹介する 「ごみばこ・あれこれ」などといったタイトルをつけ、身近なものや本稿で紹介したような各国のごみ箱の写真を壁面などに掲示する。「あ、あのごみ箱おもしろいもようだね」「形は世界どこでも似ているね」「あのごみ箱はよく見るよね」「今度写真とってこようか」などと学習活動への意欲付けにもなるし、自分で資料を探してみようとする子どもが出れば大成功である。 |
5 おわりに―景観観察の楽しさ― 10枚のごみ箱写真を比較することでも、あるひとつの法則が現れてくることもある。日頃何気なく見ている景観でも、視点を変えたり、何例か蓄積することにより社会現象が見えてくるものである。今回のプロジェクトを通して、こうした景観観察学習の重要さ、フィールドワークの楽しさを再確認した。このような発見の喜びを子ども達にも体験できるよう、カメラとメモ帳をもって教室の外へ学習の場を移す機会をもっと増やすことができたらと思う。 末筆ながら、米日財団をはじめとして、現地でお世話になった方々、特にお忙しい中、市内を案内してくださったピッツバーグ市役所の方々に感謝申し上げます。また、ごみ箱を見つけるたびに、「川村さん、ごみ箱あったよ!」と声をかけてくださった同行の諸先生方、本当にありがとうございました。 |
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