アメリカ合衆国現地調査
ミネソタ州(ミネアポリス・セントポール・レンビル)
 
五十嵐 雅樹

8月2日(月)
12:15 ノースウエスト20便にてミネアポリス(Minneapolis)着
13:00モールオブアメリカ(Mall of America)見学
 ミネアポリス到着後直ちに、アメリカ最大のショッピングモール、モールオブアメリカに向かう。ここでは、モールオブアメリカ運営会社のアパーキングさんの案内で主要箇所を見学した。
 巨大という感じはさほど受けないが、トラクターの玩具専門の店、スポーツ用品を実際に使ってみるエリアを持つ店など専門性をもつユニークな店も多い。そして、中央の巨大な空間にナッツキャプテンスヌーピーのテーマパークがあり、ショッピングセンターというよりも室内遊園地かと錯覚してしまう。都市圏の人口が260万程で全米17番目という心配をよそに訪問客数も4000万前後で推移しているということもうなずける。
15:00モールオブアメリカ発 車窓にてセントポール・ミネアポリスの都市景観学習。
 日本の最北端と同じ緯度である北緯45度に位置するこの地において、冬でもシャツ1枚で移動することを可能にした空中遊歩道スカイウェイ(Skyways)であるが、セントポール(St. Paul)とミネアポリスではまったく作り方に相違があり面白い。
15:40セントポール大聖堂(St. Paul Cathedral)
写真1 セントポール大聖堂
 セントルイス、ニューヨークと並ぶ三大聖堂のうちひとつ。1915年10年の歳月をかけて誕生した。バチカンのサンピエトロ寺院を模倣して創ったといわれる。高さ53m、礼拝席3000以上を有する大聖堂で中はパイプオルガンが響き、ステンドグラスからやわらかな明かりがさしていた。
16:25セントアンソニーフォール(St. Anthony Falls)
 アメリカの大動脈ミシシッピ川(Mississippi R.)は、このミネソタ州北部のイタスカ湖(L. Itasca)を源流にする。この河川で唯一の滝がここである。小さな滝だがこれによって製粉が可能、ミルシティー(Mill City)といわれるミネアポリスの町が発展するきっかけとなった場所である。現在も電力が供給されている。かつて街の中心がこのあたりであったが、現在の中心街は南に移動し、このあたりはレストラン街としてナイトスポットが集中するようになっている。
17:30 ミネアポリス彫刻庭園(Minneapolis Sculpture Garden)
 40点以上の彫刻が展示されている庭園。特にミネアポリスのランドマーク的彫刻となっている「Spoonbridge and Cherry」は幅15m、高さ6mにも及ぶ。
18:30 ホテル着

8月3日(火)
7:35ホテル発
写真2 彫刻庭園
 インターステートハイウェー35号線を通り目的地に向かう。都市部から離れ、プレーリーを思わせる牧歌的な田園風景が広がる。作物はほとんどが大豆ととうもろこし。酪農地域のはずだが、牧場は見当たらない。地形としては、カナダと国境を接するミネソタ州らしく氷河湖とモレーン(氷堆石)がいたるところに散在している。また、道路に沿っていくつものトレーラーハウスあり。
9:00ヘーゼルデン財団(Hazelden Foundation)着
 薬物・アルコールなどの依存症を回復させるための施設。ここのスタッフで勤続15年のロレッタさんマーシャさんより説明を受け、その後施設を案内していただく。これまでこのような施設はいわゆる収容を思わせるものがほとんどであったが、ここはイメージとまったく異なっている。患者は薬物等に依存する自分の弱さを全面的に受け入れるところから治療のプログラムが始まるという。20人くらいのグループを基本として、このグループの中で自分をさらけ出し仲間として関わりあっていくことをここでは最も大切にしている。多くの人が20日間から1ヶ月間滞在、重い人で4ヶ月ほど滞在する人もいる。ここを出てからのアフターケアーも大切で、ここへの連絡、仲間たちとのミーティングも大切にしている。依存症からの回復率は74%くらいであるとの説明を受けた。その後、プール、バスケットコート、トレーニングジムなどの設備が整う施設内を見学したのち、同じく施設内の食堂にて各自昼食をとった。
12:00ヘーゼルデン財団発
13:00ギブズファームミュージアム(農業博物館)
写真3 先住民(ラコタ族)
写真4 地球儀と世界地図がある学校
 ミネソタ大学の付属施設。農村の19世紀から今世紀はじめの歴史的な建造物(一般農家の母屋、小屋、小さな小学校、原住民のテントなど)が展示されている。そして、その建築物の持ち主を例にして、19世紀入植してきてからどのように生活してきたか、あるいは先住民(インディアン)の人がこの世界をどのようにとらえているかなど、実際にスタッフの方から説明を受けた。先住民(説明をしてくれた人はラコタ族出身)が最も大切にしていて宗教的にも大きな意味をもっている存在がバッファローで、これは肉、皮から糞にいたるまで捨てるのもがないほど大切で、同時に東から西への世界の広がりを象徴しているからとのことである。
 また学校は、1882年にできたもので実際に1940年ごろまで使っていたとのことである。学校といっても一クラスのみの教室という感じであるが、写真4のように黒板の上には地球儀と世界地図が備え付けられている。黒板左のは引き下げることによって出てくる世界地図、黒板右上の地球儀は紐がついていることからわかるように場所がないのであげている状態であるが必要なとき下げて学習することができる。このような工夫と努力まで施し、地図と地球儀が置かれていたことは、我々教育に携わるものにとって大いに参考になった。
16:20 ホテル着

8月4日
7:45ホテル発
 車中にて本日の農家への聞き取り調査の質問項目等の打ち合わせをする。都市部から離れひたすら西に向かうが、昨日と同じように牧場は多くなく、とうもろこし、大豆畑が広がる。目的地近くに小さなセンターピボットあり。道路と平行して穀物を満載した100両以上の貨物列車が通る。
10:20レンビル(Renville)の農場ホワイトホースファーム(White Horse Farms)着
 この農場主ボブさんよりアメリカの農業経営についての話など聞き取りをするとともに実際自宅の周りで大型農業機械の説明と作物の栽培などの話を聞きながら農場を視察した。1200haの農場を所有する大規模農家で作物は、大豆5万ブッシェル(約176万リットル)、とうもろこし25万ブッシェル(約881万リットル)、さとうきび1万トン。総農産物販売額100万ドルを超すとのことである。ただ、農業機械肥料など諸経費が90万ドルにも及ぶため純利益は10万ドルほどという。
写真5 大豆畑
12:25オリビア(Olivia)にて昼食 見渡す限りとうもろこしと大豆畑が広がる農村地帯での小さな中心の町。西部劇に出てくるようなレストランにて昼食。
14:05卵の加工工場ゴールデンエッグオーバル(Golden Eggs Oval)
 ここは、鶏200万羽を飼育する大規模な鶏卵の加工工場で、1日生産量 3800ケース(1368000個)の卵を黄身、白身、両方の三種類に加工し出荷している。隣接する養鶏場は見学できなかったが、工場の責任者の方から卵をどのように加工して出荷するかを説明を受けながら見学した。また、「生で食べられるくらいに殺菌するのか」の質問に対して、「その質問はわからない」の答え。食生活の違い。もちろんそのくらいに殺菌して冷蔵車で出荷する。毎日トラック1台分の殻が出るのだが、これについては無料で農場などに運ばれるとのことである。
15:25コープカントリーファーマーズエレベーター(Co-op Country Farmers Elevator)

写真6 建設中の新エレベーター
 穀物倉庫では第1次レベルのカントリーエレベーターである。近隣の農家から収穫されたとうもろこし、大豆が25の倉庫に蓄えられ、裏にある鉄道貨物で出荷される。ここの責任者クレイグ氏から説明を受け、視察する。現在は穀物倉庫はとうもろこしでほとんど満杯。年間でとうもろこし700万ブッシェル(約2億4667万リットル)、大豆300万(約1億572万リットル)の計1千万ブッシェル(3億5239万リットル)が出荷される。写真6は、建設中の新しいカントリーエレベーターである。現在の能力では、貨物54両が1回の出荷の限界であったが、これが完成するとさらに多量な穀物を一度に出荷できるようになるとのことである。
18:20ミシシッピ川沿いにあるミネアポリスのカーギルの巨大穀物エレベーターを車窓より観察。
 これは、2次レベルの穀物エレベーター(ターミナルエレベーター)となろう。
18:40ホテル着


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