総合学習領域紹介

「総合学習」とは?

 「総合学習」は学習指導要領で導入された「総合的な学習の時間」のことをさします。この時間は、従来の教科カリキュラムとは大きく異なり、指導書もなければ、指導内容も規定されていません。学習指導要領には「総合的な学習の時間においては、各学校は、地域や学校、生徒の実態等に応じて、横断的・総合的な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものとする。」と書かれているだけです。
 総合学習では子どもたちが「生きる力」を育むために、「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力」の育成がもとめられています。そのためにも学校・地域・家庭が一体となって子どもたちの学びを創造的にサポートしていく必要があります。しかしそれだけに、「総合学習」を組み立てることは非常にむずかしく、また、慎重にならなければいけません。総合学習はスタートしましたが、総合学習のあり方をめぐってさまざまな議論が噴出しています。そうしたなか、いくつかの学校ではあたらしいカリキュラム構築への模索がすすめられています。

「総合学習領域」のコンセプト

 本領域は、この「総合的な学習の時間」の完全実施にいち早く対応することを目指して創設されました。「国際理解」「地球環境」「地域課題」などの身近な問題に、徹頭徹尾、体験的・実践的学習を通して、これからの学習を通して、これからの生活のあり方や生き方と自分探しにつながる創造的な総合知をはぐくむ学びを目指します。子ども・家庭・地域の実態等に密着し、各学校が基盤となる「創造的なカリキュラム開発」に本領域は取り組んできています。
 本領域では、こうした総合学習のあり方をめぐる議論や、学校におけるさまざまな実践、そして総合学習が抱えている大きな課題に真っ正面から向きあっていきます。総合学習が抱えている問題により実践的に肉迫し、同時に実践を支える理論の構築をめざしつつ、創造的なカリキュラム開発に取り組んでいきます。

「総合学習(〜的学習、〜的な学習の時間)」をめぐる状勢

 全国の小中学校では、「総合的な学習の時間」がスタートし、新学習指導要領の要として、子どもたちの「生きる力」を育むための挑戦がはじまっています。
 ところが、「総合的な学習の時間」をめぐる教育現場、社会、研究機関の動きは、ここ最近めまぐるしく変化しつづけています。
 学力をめぐる問題は、はいまわる体験への危惧と基礎基本の充実との間で揺れに揺れつづけており、子どもたちの「学び」をどう育んでいくのか、依然として模索がつづいています。一方で削減された教科の知識を塾などの学習でおぎなう動きも起こりつつあります。週休二日制がスタートした後も、多くの私立学校では土曜日にも授業を行い、子どもの予・復習に当てる可能性もあり、公立学校と私立学校との間で生徒の学力の差がひらくことを危惧する意見もあります。

「総合学習領域」がめざすものとは

 そのようなダイナミックなテーマを含みながら推移しつづける「総合的な学習の時間」にたいし、本領域は何ができるのか。今でも、その問いかけと模索はつづいています。そこには、現場で培ってきた教師の教育実践と、大学が蓄えてきた研究蓄積とが、いかにして車の両輪となって機能し合うかという問題をも内包しています。本領域はまだまだ発展途上にあります。
 これからも、在籍している学生・院生と教員が手を取り合って共に考えながら、悩みながら、総合学習のあり方を、教育の未来を、本領域のめざすべき方向性を探求しつづけていきます。


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