上越英語教育学会第21回大会 記録 | |
日時:2017年 7月22日(土) 13:00〜 | |
会場:上越教育大学 (人文棟3階マルチメディア語学教室) | |
(1)参加料は無料です。人文棟は大学メインアプローチを入って一番奥に見える高い建物です。 (2)参加申し込みはメールで受け付けております。ご希望される方は「お名前」「所属」を明記の上、メールにて御連絡ください。〆切7月14日(金) (3)当日は18:30より懇親会を予定しております。参加の方はそちらも併せてお知らせください。 <<研究発表・実践報告・講話要旨>> ■研究発表 13:20〜14:20 秦 研介(三重県四日市市立笹川東小学校) 「小学校外国語活動における短時間学習を活用した校内研修の在り方」 平成23年度より外国語活動が必修化され、主に学級担任を中心とした指導が行われてきた。しかし、英語の指導に積極的に取り組もうとする教員は依然として少なく、筆者が所属校区で行った調査でも「英語の指導に自信がある」と答えた教員は半数に満たなかった。ここに小学校段階での英語教育研修に課題があり、平成32年度からの高学年外国語科と中学年外国語活動の全面実施に向けて、小学校教員の英語指導力向上が急務といえる。 そこで本実践では、「朝の学習タイム」等に見られるような短時間学習に着目し、全ての教員に短い時間でも英語活動を指導できる機会を校内研修に位置付けた。「単語や表現の指導法」「絵本・歌の活用法」を中心に実践形式の研修を実施し、事前と事後に教員を対象に意識調査を行った。「これなら自分にもできる」と感じた教員が増加した一方で、「やはり担任の負担が大きい」という回答もあった。詳細について、当日調査結果を発表する。 染谷藤重(東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科) 「小学校英語の評価を大学生がどのようにとらえているか
」 本研究では、まず、J-POSTLの小学校教員養成用のアンケートを作成した。次に、現在の教員養成課程の学生131名に対してJ-POSTLのアンケート15項目を実施した。このアンケート項目がどのような特徴を現しているかを調べるために、最尤法・プロマックス回転による因子分析を行った。その結果、4つの因子が検出された。それは、「測定法の考案と評価」「言語運用」「自己評価と相互評価」「国際理解」である。信頼性の検定の結果、4つの因子すべてが、クロンバックαが.08以上だったため、これらの4つの因子の信頼性が高いことが示された。次に、因子間に差があるかについて調べるために1要因のANOVAを行った。多重比較の結果、「測定法の考案と評価」が「言語運用」「自己評価と相互評価」の2つより平均値が有意に低いことが示された。この結果から、大学の小学校英語の授業内において、「測定法の考案と評価」に関する項目に重点を置いた指導が必要とされると考えられる。 ■実践報告 14:25〜15:10 小磯雅浩(上越教育大学大学院・新潟県十日町市立南中学校) 「ライティング活動における正確性を支援する指導の工夫」 生徒が書いた英作文を教師が赤で直す。・・・一見丁寧に指導しているようだが、英文の正確性と生徒の学びを考えた時に疑問を感じていた。それでは、生徒の英作文の正確性は一向に向上しないと思い、正確性の向上に焦点を当てた指導を考えた。 生徒が主体的に学び、考える力を育成する。「学び方」を身につける指導過程の1つとして、コレクションコードを活用した実践の報告である。 石野佑紀枝(上越教育大学大学院・新潟県上越市立名立中学校) 「英語で自信をもって話すことができる生徒の育成」 学習指導要領外国語科の「話すこと」の領域に「(2)初歩的な英語を用いて自分の考えなどを話すことができるようにする。」という目標がある。しかし実際は、ALTを目の前にしたとき、自分の英語に自信が持てず、なかなかうまく自分の思いを表現できない生徒も少なくない。本実践は、J市の公立中学校について、生徒たちがALTとのインタビュー活動に自信を持って取り組めるよう、授業内での支援を工夫しようと行ったものである。 満枝直人(上越教育大学院教科) 「教育実習一見ポートフォリオの設計・実践に関する実践報告」 本実践報告は,2017年5月8日〜5月26日にかけて行った中等教育実習に際して,松崎(2013)に基づき設計した教育実習一見ポートフォリオの実践に関するものである。実習前に実習を意識したマイクロ・ティーチングを行った。また,事後カンファレンスで得られた課題に基づき,実習で達成したい目標を明確にした。実習中は,授業で生起した事実に基づき,行為後の省察(reflection on action; Schon, 1983)を実施した。同省察を,大学指定の実習日誌とは別に毎日記述した。さらに,実習後,同記述を含む実習中における学びを「一見ポートフォリオ」に精選し省察を繰り返すことで,実習での授業実践に対する意味付けや価値づけが強まった。加えて,教員採用試験への課題および目指すべき教師像を明確にすることができた。 ■講話 15:20〜17:20 山野有紀 (宇都宮大学 教育学部 准教授) 「日本の英語教育におけるCLIL活用による実践とその可能性」 現在,日本の英語教育は,大きな変革の時を迎えようとしています。新学習指導要領では,小学校中学年からの外国語活動,小学校高学年における外国語の教科化,それを受けた中学校英語教育の変化が公示されました。その中で,学習者の発達段階にそう言語活動,小中英語教育における他教科内容の活用について明記されており,多様で豊かな本物の内容を通して,英語を学び,考え,発信していくことを促す外国語教育を,いかに実現していくかは今後の日本の英語教育における課題の一つとなると考えられます。本講話では,その課題に対する取り組みとして,CLIL(Content and Language Integrated Learning : 内容言語統合型学習)にもとづく実践をご紹介します。日本の英語教育におけるCLIL活用の可能性を通して,学習者の興味,認知的発達を鑑みながら,外国語を学ぶ意義を促す,主体的・対話的な深い学びの実現について考えたいと思います。 |