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修士論文のレベル


数学教育学で修論を書く場合,どの程度のレベルのものを作り上げる必要があるのでしょうか.最終到達地点はどの辺りなのでしょうか.このことについて,私見ですが,簡単に述べたいと思います.

上越教育大学は地方の小さな町にある大学です.そうすると,研究レベルもさほど高くないのでは,との印象を与えるかもしれません.ところが,そのようなことは必ずしもありません.全国的に見て,上越教育大学の院生の研究発表は見劣りしませんし,院生の数が多い分,学会等では一大勢力になっています.

これには理由があります.それは第一に,上越教育大学が新構想大学として大学院を中心とした現職教員の研修機関として設立されたため,設立当初に有名な先生を集めたことです.実際,当時は相当偉い先生がいらっしゃいましたし,今日の教員も全国的・国際的に活躍されています.第二に,以前は教員養成系の国立大学で大学院修士課程が設置されているところが少なかった(今日ではほとんどの大学で設置されています)ため,東日本では,多くの教員と大学院生を擁する数学教育学研究の中心的な存在(言い過ぎ?)であったことです.こうした伝統が今日も受け継がれているのです.

では,修論でどの程度のレベルが求められるのでしょうか.私の考えでは,研究成果が日本国内の学会誌の論文として掲載されるレベルです.つまり,数学教育学研究の発展に貢献できるだけの内容を修論の研究に求めます.数学教育学研究の初心者にそんなことが可能なのか,そんなに早く学会誌レベルの論文が書けるのか,と疑問をもたれる方もいらっしゃるでしょう.それはもっともな疑問であり,そうしたことはやはり難しいです.しかし,それを目指して欲しいと考えています.さらに国際会議や国際学術誌等にも挑戦したいという方がいらっしゃれば,それも大歓迎です.

この水準の研究を生み出すために,私の研究室では,院生が一人で研究を頑張るというよりも,教員も含めて共同で研究を進め,院生にはその過程でいろいろなことを学んでもらえるようにと考えています.「研究は一人でやるもの」と言う人もいますが,私はそのようには考えていません.一緒に頑張れればと思います.

参考:院生,修了生,卒業生らの活躍



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Created: 2013/12/23
Last update: 2014/11/13