テーマ別編 小学校 6/6
小学校におけるアメリカ合衆国理解
〜新たな可能性とそのきっかけになる学習材を考える〜
上越教育大学学校教育学部附属小学校教諭 佐 山 幸太郎
○授業化の構想     (*教師の働きかけ  ・主な子供の反応)
*住宅街の写真を数枚提示する。 質問を受ける。
*「日本の住宅との違いはどんな点でしょう。」
・煙突がある。暖房の違いがある。 ・家の前に広い(狭くても)庭がある。
・石で(煉瓦で)できている家が多い。 ・玄関には階段があり高くなっている。
・縦長で上げ下ろし式の窓である。 ・塀がない。
*家の中の写真や見取り図を示す。同様に日本の住宅との違いを発表させる。
・靴を脱がない。玄関が広間のよう。 ・バスルームまで複数ある。
・食堂(食卓)が複数ある ・広いデッキとバーベキューグリルがある。
・部屋数が多い。
*「どうしてこんなに違うのでしょう。」
・土地が合衆国は広い。日本は狭い。 ・豊かさが違う。お金持ちである。
・物価が違う。 ・家の材料(の手に入れ易さ)が違う。
・考え方、くらし方がもともと違う。
*「あなたにとって、どっちの方が住み心地がいいですか。」
(・それぞれが自分なりの意味づけをしていく。)
*この後、子供が関心をもった人々のくらし方について調べてみたいことを挙げていく
5 今後の米国理解プロジェクト現地調査にむけての課題
 人々の生活にかかわる食・住についてまとめてみる。
 ・食に関する取材について
 小学生の子供にとって、一番影響を受け、親しんでいる合衆国の文化は、食ではないかと考えていた。特にファーストフード、スナック類はファッションと相まって日本に根付いているからだ。取材中、私たち自身ファーストフード、カフェテリア、レストラン での外食が多かった。もちろんそういった所での食事の中にも、日本人が慣れ親しむほどの特色があろう。しかし、授業で子供たちの意外性をつき、合衆国に対する興味をさらに引き出すまでの段階にいかなかった。「アメリカというとハンバーグやホットドック」といった子供の概念を崩す地方色豊かな食品・料理を調べていくことが必要である。今回は料理の一歩前、売られる食品で授業化の方向を考えたわけがここにある。

 ・住に関する取材について
 住宅は、なかなか一般化するのが難しい対象なのかもしれない。地域性、階層が複雑多様であるからだ。建物そのものより、そこに住む人のくらし、住まい方をていねいに取材していった方が日本との違いが浮き出てくるのかもしれない。物だけからの学習はやはり限界がある。そこに住む人の声がわかるような学習材をつくっていく必要がある。当然、住まいだけでなく、学校生活や仕事、余暇の過ごし方などにも視野に広げていきたい。