テーマ別編 小学校 2/4
「生活の利便性をめざす試み」で教えるアメリカ社会
−ワシントンD.C.、ピッツバーグ市、ボストン市の事例を通して−
東頚城郡牧村立牧小学校 寺田喜男
3.くらしやすさをめざす施設と設備
a.集い、安らぐ
モール周辺の歩道にて  都市の個性を示すものの一つに公園がある。ワシントンD.C.を象徴するのがモール地区である。国会議事堂をはじめ主要な機関が集まっている所でもある。まっすぐに伸びる道路、中央の芝生、豊かな緑とその中にある白い建築物、そして広さは、「公園」についての概念を再考させるきっかけとなる。モールに限らず、街角に見られる広場も、芝生と樹木が特徴的である。芝生の中で市民は日光浴、散歩、スポーツ、休息などでくつろぎの時を過ごす。時には、集会や野外劇等も行われる。
写真-1 街路樹の緑と白い建物が調和する ワシントンD.C.モール地区
b.利便性、安全性、尊重
交差点付近の標識と新聞の自動販売機  町の中を歩くと、道路が交差する所には必ずと言っていいほど、通りの名前を記した標識が出ている。左の写真からは「ワシントンST」を読みとることができる。初めての町でも、自分が今いる地点を容易にとらえることができる。信号や街灯は安全施設である。我が国と共通な施設が見られることで、親近感を持つことだろう。街灯の形が、周囲の風景とあったものになっているところや電線が見えないこと等からは景観への配慮がうかがえる。身近な地域の類似の景観と比較することで、町づくりの方向性についてのヒントとすることができる。信号の脇には、無人の新聞スタンドがある。自宅への配達が一般的な我が国には、余り見られない自動販売機である。中には、読み終わった新聞を収納し、読みたい人が必要に応じて無料で持ち出せるスタンドもある。
写真-2 交差点付近の標識と新聞の自動販売機 ボストン市内の至る所で見られる