記録編 ピッツバーク
1.ピッツバーグ編

9月19日(火) 全体行動での調査

16:05 NW012便 成田(NRT)発。
14:50 デトロイトDetroit(DTW)着。
 現地はサマータイムのため13時間の時差、所要11時間45分。
17:25 NW 3678便ピッツバーグ行発。
 離陸後すぐエリー湖上空、大きな運搬船が多く見える。横断所要時間14分。
18:20 ピッツバーグPittsburgh(PIT)着。
19:35 空港発。
20:05
写真1 デュケインインクライン
デュケインインクライン(Duquesne Incline)。
 かつてモノンガヒラ川(Monongahela Riv.)の左岸の丘陵地帯と都心部の交通機関としての役割を担ってきたインクラインと呼ばれるケーブルカー。現在でもステーションスクエア(Station Square)からのモノンガヒラ線とこの線が残り、多くの住民の足としてだけでなく、観光用としても機能している。(往復2ドル)
 上の駅からはモノンガヒラ川とアレゲニー川(Allegheny Riv.)が合流してオハイオ川(Ohio Riv.)となっているいわゆるスリーリバーポイントの景観と、その上流にダウンタウンが展開する様子を観察できた。
21:00
写真2 PPG本社ビル
PPG広場(PPG Place Plaza)
 ガラス・化学の総合企業であり、日本にも子会社を持つ多国籍企業PPGの本社ビル前は、ダウンタウンのそのまた中心として、ピッツバーグのC.B.D(業務中心地区)といえるところ。ここから北に続くマーケットスクエア(Market Square)は、昼間なら多くのビジネスマンで賑わっている。
21:30 ホテル着。日本との時差が13時間であるから日本時間では9月20日の午前10時30分になる。成田を飛び立ってから18時間25分、長い長い9月25日であった。
  (新潟県立高田南城高等学校 五十嵐 雅樹)


9月20日(水) ピッツバーグ市内調査

エネルギー・公共交通班

9:00 ホテル発。
 ピッツバーグのダウンタウンにあるインフォメーション・センターへ行く。
10:00 デュケイン・ライト社に到着。
  メディア関連マネージャーのバリー・クコビッチ氏と広報担当のペグ・ミューラーさんと二人から会社の概要をうかがい、さらに現場の活動がよく分かるビデオを見せてもらった。その後質疑応答を行い、細かい点まで教えていただいた。なお、たくさんの貴重な資料をいただいた。
10:45 発電所見学。
 オハイオ川の中州にある発電所で、すぐ近くまで行くことはできなかったが、対岸の一番近くまで行って写真を撮ることができた。 
11:30 ピッツバーグのステーション・スクェアで昼食。
 この隣にはステーション・スクェア・ステーションという名前の元駅舎を改築した歴史的建造物がある。
12:30
写真3 パーク&ライド
ステーション・スクェアの近くでライトレール(Light Rail)に乗車。
 ダウンタウンまで行った。サウス・ヒルズとピッツバーグのダウンタウンを結ぶこのライトレールの駅は郊外では地上に、ダウンタウンは地下に駅が設置されており、乗車した駅は地上に、下車したダウンタウンの駅は地下にあった。その後再度乗車して郊外のサウス・ヒルズまで行ってみた。
14:30 郊外のパーク・アンド・ライド(Park and Ride)の駐車場に向かう。
 平日のため駐車場はほぼ一杯だった。時間が早いため、人影はほとんどなかった。なお、行き帰りの途中のハイウェーの中央にバスや二人以上の車を優先するレーンがあり、ラッシュ時には早くダウンタウンに行くことができるようになっていた。
16:00 ホテル到着。
 研修のまとめ。
  (刈羽村立刈羽中学校 姉崎達夫)



まちづくり班

9:00 ホテル発
9:10 カセドラルオブラーニング(Cathedral of Learning)見学。
 ピッツバーグ大学の象徴的建造物であるカセドラルオブラーニングからピッツバーグ市全体の概観を眺望する。周辺は学究都市らしく緑が多いが、市街地も隣接している。
写真4   シティプランニングでの聞き取り
9:45 シティプランニング(City Planning)着。
 市内のおもな公園についての聞取り調査を1時間にわたって行う。いろいろな資料や地図を収集することができ、たいへん親切な対応に一同感激した。
11:20 おもな公園の1つであるポイントステートパーク(Point State Park)を見学。
12:00 ダウンタウンのマーケットスクエア(Market Square)着。
 周辺で働いている人たちの昼食風景を見ながら昼食を取る。前日は夜に同市に到着したので、ダウンタウンの賑わいが感じられなかったが、学究都市であると同時に、商業・工業都市である側面もまのあたりに見ることができた。
13:15 フリックパーク (Frick Park)を見学する。
 再びシティプランニングに戻り、担当の方が我々のバスに乗り込まれ、公園の案内をいただく。マウンテンバイクのための道や、遊歩道(トレイル)など1つの公園の多面的な機能に驚かされる。
15:00 ダウンタウンの都市再開発のモデル的建築(駐車場の上にオフィスがある)メロンスクエア(Mellon Square)を見学。
15:35 以前駅として用いられた建物を再開発した ステーションスクエア(Station Square)を見学。
16:00 シェーンリーパーク(Schenley Park)を見学。
 公園の中に大きな車道があり、交通量も激しく車もスピードを出しているので従来の公園のイメージとは少々異なった。
17:00 ホテル着。
 ホテルのすぐ近くにあり、現在も住宅地として利用されている歴史的建造物の保存地区を見学。我々にも買えない価格ではないので、こんなすばらしい家に住みたいと口々に話し合う。
  (東京都立九段高等学校 高山庸子)



環境思想・教育班

 思想・教育班はレイチェル・カーソン・ホームステッド(Rachel Carson Homestead)とオールド・エコノミー・ビレッジ(Old Economy Village)を視察した。以下、訪問した場所ごとに説明する。
写真5 レイチェル・カーソンの生家
1.レイチェル・カーソン・ホームステッド(Rachel Carson Homestead)
 レイチェル・カーソンは1907年にピッツバーグの郊外にあるスプリングデール(Springdale)で生まれた。彼女は作家であり、科学者であり、エコロジスト(生態学者)であった。そして彼女は自然保護を訴える人として有名になった。現在もレイチェル・カーソン・トレイルと呼ばれる全長34マイルに及ぶトレイルがピッツバーグの郊外にあり、毎年夏にはその34マイルをハイクするイベントが催されている。我々はそのレイチェル・カーソンの生家を訪ねた。
 ピッツバーグのダウンタウンから北東に車で約30分、静かな住宅地の一角にレイチェル・カーソンのホームステッド(生家)があった。あいにく建物の中に入れるのは土日だけだったので、我々は建物の周囲を散策するにとどまった。家の回りには非常に小さな自然が残されており、小道もあった。我々はその小道を歩き(と言っても3分程度で一周してしまうのだが)、当時の彼女の思想をわずかでも味わおうとした。彼女の自然保護に対する精神はやはり彼女の著書を読み、実際に34マイルのトレイルを半日でも歩いてみないと実感できないと思ったことであった。それにしても、米国のような自然の豊富な国で、なおかつ自然保護を訴える人が皆から尊敬され、その著書が皆に読まれ、このように生家が記念館のように残され、教育的な価値を持つ34マイルのハイキングコースとして今も利用され、また、レイチェル・カーソン協会のような組織があって自然保護の啓蒙活動を行っていること自体に敬意を表したい。自然が豊富だからこそ自然を保護する運動が盛んなのかもしれない。
写真6 開拓期の生活を説明
2.オールド・エコノミー・ビレッジ(Old Economy Village)
 ピッツバーグのダウンタウンから南西方面へ車で約30分、オハイオ川のほとりにその村はあった。アメリカ各地にはその町を開拓した当時の歴史がある。町ができるのにはいくつかのパタ−ンがあるが、その一つとして、誰か有力者が一族郎党を率いて入植し、そこで産業を起こし、やがて多くの人が住むようになり、町として発展するというパターンである。オールド・エコノミー・ビレッジはそのようにしてできたユートピア的宗教共同体である。1800年代初期に約800家族で構成されているハーモニー・ソサイエティを率いて入植したリーダーはドイツ人のジョージ・ラップ(George Rapp)であった。村の一角に当時の建物群が残されていたので、案内を依頼した。何もない場所に多くの人が住み始めたため、食料だけでなく生活用品も自給自足である。建物群はそれぞれ家具を作る建物、金物を作る建物、大食堂、衣類を作成した建物、葡萄酒工場、倉庫などがあり、建物群というより、小さな工場が並んでいる、それだけで独立した小さな町といった趣である。開拓当時の様子がひしひしと伝わってきたことであった。
(上越教育大学 我妻敏博・新潟県立高田盲学校 柳川幸子)



9月21日(木) 全体行動での調査

8:00 ホテル発。
8:20
写真7   ミナデオ小学校の授業風景
ミナデオ小学校(Minadeo Elementary School)着。
  校名は、子供を助けるため自分の命を落とした警備員の名をとってのものである。軽い朝食をいただきながら、スタッフの紹介を受ける。校長デニス<CODE NUM=00A5>イェイツ氏(Ms. Denise Yates)より、幼稚園から5年生までの小学校で、各学年4クラス、他に障害児のクラスもあること、読み・書き・算数の基礎学力を重視しピッツバーグでは五指に入る優秀な学校であること、特に現在は社会科を重視し新カリキュラムの研究開発に力を注いでいるということなど学校の特色について説明をいただいた。次に、学校の教室、図書館、遊技場など諸施設を見学し、それぞれが各学年、各クラスに分かれて様々な授業を参観した。最後の質問の時間では、野外活動を重視していることや、外から講師を招いての授業も重視していることを伺った。
 学校は専任教師の他アシスタントも含め50人以上で教育を行っているが、他のアメリカの小学校と同じように、校長以下ほとんどが女性である。ただ、学校全体の雰囲気が非常に明るく授業をしている教師も子供たちも表情が非常に豊かで生き生きしていた。(〜10:35)
11:05
写真8   北アレゲニー中高等学校
北アレゲニー中高等学校(North Allegheny Intermediate High School)着。
 校長ジョー・ウェルター氏(Dr. Jo Welter)より学校全体の説明を受けた後、今回の訪問のホストとなってくれたマーク<CODE NUM=00A5>ウィルソン氏(Mr. Mark Wilson)から歓迎を受ける。この学校は14歳から16歳までの9から11年生のいわゆる普通中高等学校である。全校生徒420人程であるが、専任教師の他、非常勤の講師も多数存在し、1日40分授業9つの他、部活も非常に盛んであるという。その後、班に分かれ授業見学、高校生との昼食となった。授業は、それぞれ教科の担当者が自分の教室を持っており、生徒は自分の選択に従い受けに行く。したがって教室は、授業担当者の個性が色濃く出され、掲示物など授業の展開に合わせてレイアウトされていた。昼食時は、各自に一人ずつ高校生が歓迎してくれ、学校生活や日常生活についてアメリカの高校生の実態を垣間見ることができた。(〜13:30)
14:00 ホテル着。
 各自がそれぞれ大学周辺のエクスカーション。
18:00 レセプションパーティー。
 今回の学校訪問のホスト役になっていただいたデュケイン大学のハトラー先生や今日の訪問でお世話いただいた小学校の先生らを招いて、お互いに交流を深めた。
  (五十嵐 雅樹)


 
9月22日(金) 全体行動での調査

8:55 ホテル発。
 オークランド地区からダウンタウンに行く道中、世界で初めて試験管ベービーが誕生した産婦人科の病院(Magee Womens Hospital)、ダウンタウン内の三駅内は無料という地下鉄の駅、パークアンドライド(park and ride)の拠点などを通過しながら、町並みの様子を観察。   
9:20
写真9 ストリップ地区
ストリップ地区(Strip District)。
 再開発の対象になりそうな非常に古い建物が立ち並んでいるが、現在も市民の重要な台所となっている地域である。生きた魚を扱うマーケット、食料品店、衣料品店、花屋、玩具店など多くの店が軒を連ねており、また常設店の前にも様々な露店が並び、一般の店に比べ価格も非常に安い。道路を隔てて反対側には、卸売市場が並んでいて、トラックが横付けできるようになっている。
(〜9:55)
10:00
写真10   ピッツバーグ歴史センター
写真11 モール・オブ・アメリカ
ピッツバーグ歴史センター(Pittsburgh History Center)。
 6階建ての建物はレンガと木を組み合わせた内装になっており、簡素な中にも格調の高さが表されている。展示は2階から5階までで、18世紀から20世紀の現在までの地域の生活の様子をタイムカプセルに乗るが如く示している展示であったり、ガラス(PPG)、ケチャップ(Heinz)など地域の産業・企業の様子が一目でわかったりと非常に優れた内容になっている。また、最上階の6階は図書館になっており、ピッツバーグの地域の資料が数多く所蔵され、外部の人にも親切で適切な対応を執ってくれる。尚、1階の売店も単に土産物が置いてあるのと異なり、ピッツバーグに関する専門書も多数置かれている。6階の図書館と合わせ、ピッツバーグの地域誌研究のためには欠くことができない場所である。(〜12:00)
12:35 ピッツバーグ空港(PIT)着。
14:05 NW3474便発。
15:30 ミネアポリス・セントポールMinneapolis/St. Paul(MSP)着。 
 現地はピッツバーグと1時間の時差があるため所要飛行時間2時間25分。
16:20 ホテル着。
 その後、各班あるいは各自でモール・オブ・アメリカ(Mall of America)等に見学に行く。
  (五十嵐 雅樹)


トップへ 目次へ   次へ