記録編 ツインシティー
2.ツインシティー
(ミネアポリス・セントポール)編

9月23日(土) 全体行動での調査
9:05 ホテル発。
9:40 ハリエット湖(Lake Harriet)着。
 ミネアポリスの中心部から南西に向い、中高年齢層が多くカヌーが盛んなアイルズ湖 (Lake of the Isles)、若年層が好みヨットも多く停泊しているカルホーン湖 (Lake Calhoun)を車窓より眺めこの湖に到着する。戸外の気温は10℃ほどしかなく、 周りの木々も紅葉し始めていて非常に寒いのにもかかわらず、 本当に多くの市民がジョギングや散歩などを楽しんでいる。 またそのような市民のニーズに合わせて、写真13のように歩道が整備され、 湖に近い内側から歩行者、自転車(一方通行)、車道となっている。 現在日本でも大人気となっているローラーブレードがここででき、 世界に広まったというが、それも肯ける。(〜10:00)
10:40 セントアンソニー滝(St. Anthony Falls)。
 ニコレットアベニューからダウンタウン中心軸ニコレットモール(Nicollet Mall) に入ろうとするが、マラソン大会があるため迂回する。ヘネピン通り(Hennepin Ave.) の西側にあるウエアハウス地区(Warehouse District)は、今世紀の初めに立てられた古い 褐色の建物が並び、レストラン、バーの他アートギャラリーとしても再利用されている。 また、この滝の右岸も非常に古いビルが並んでいるが、これはこの町を発展させることになった 製粉工場で、現在これを壊すのではなく、何に再利用するか大きな問題になっているという。 (〜11:10)
11:40 ミネソタ州議事堂(Minnesota State Capitol)
 経済の中心がミネアポリス(Minneapolis)であるのに対し、セントポール(St. Paul)は政治の中心地である。この州議事堂とこの町のシンボルセントポール大聖堂(Cathedral of St. Paul)が、道路(John Ireland Blvd.)で一直線に結ばれ大きな都市軸を造っている。ちなみに、セントポールのダウンタウンのスカイラインは大聖堂より高くなってはならないという高さ制限の中でつくられている。 (〜11:50)
12:00 ミネソタ歴史センター(Minnesota History Center)
 館内で各自昼食をとりながら見学する。ここもピッツバーグと同じようによく整備され、障害者のための配慮も施され、展示の仕方も工夫されている。また館内の大きな廊下の窓からは、一方に州議事堂、一方に大聖堂が望めるようなつくりになっていて、これらがいかに市のランドマークになっているかが伺える。(〜13:30)
14:00 ホテル着。
 その後各班でミネアポリスのスカイウェイの調査、モールオブアメリカのリサイクル取材等に出かける。

(五十嵐 雅樹)

写真13 ハリエット湖
写真14 セントアンソニー滝の閘門
写真15 旧製粉工場
写真16  ミネソタ州議事堂(セントポール)
写真17 ミネソタ歴史センター



9月24日(日) ミネアポリス市内調査


エネルギー・公共交通班


9:00 郊外のパーク・アンド・ライドの駐車場2カ所を訪問。
 バスをちょうど降りた利用者にインタビューすることができた。
10:00 メトロ・トランジットという公共バスの本部を訪問。
 日曜日のためオフィスは開いていないだろうと予想をし、建物の外観だけ写真を撮る予定だったが、たまたま社員の駐車場で車を降りた方が運転手の配車責任者で、親切にオフィスの中を案内してくれた。
 さらに身障者用リフト付きバスや新型の低床バス、自転車が2台搭載可能なバスなども見せていただいた。
11:00 ダウンタウンのニコレット・モールでバスシェルターを見学し、その後昼食。
13:00 ミネソタ州立大学見学。
 帰りにバス専用レーンを通ってもらい、次の箇所に快適に移動できた。
14:20 コモ湖公園見学。
 湖を含む広大な公園で非常に多くの家族連れ、ジョギングやウォーキングをする人、サイクリングやローラーブレードを楽しむ人などが休日を楽しんでいた。
写真18 コモ湖
15:40 ミネハハ・デポという1870年代の駅舎記念館を見学。
 夏の間だけ小さな館内は見学ができるようである。この時期は既に閉鎖されていた。
17:00 ホテル着。
 研修のまとめ。

(姉崎 達夫)




まちづくり班

9:00 ホテル発。  
9:30 ミネアポリス市郊外のミネトンカ湖見学。
 紅葉が始まりかけ、空気がしんと澄み、水の青さと空の青さが調和して美しい。 又、ここは釣りの名所だそうである。水の都ミネアポリスと呼ばれるにふさわしく、 湖と人々の日常生活とが密接にかかわっている様子を、地元のドライバーからうかがう。 市内に戻る途中、ミネアポリス彫刻庭園(Minneapolis Sculpture Garden)、 ジェームズヒルの家(The James.J.Hill House)、ライスパーク (Rice Park)、 セントポール大聖堂 (St. Paul Cathedral) の歴史的建造物や彫刻を見学する。 ミネアポリスの近代的建築とセントポールの歴史的建造物の対照的なコントラストを見て、 日本の都市計画にもこのような発想があったらと感じた。
10:30 ミネソタ科学博物館 (Science Museum of Minnesota) を見学。
 まだ今年できたばかりで、さすがに最新設備と大人でも一日楽しめるような 遊び心いっぱいの展示であった。学校の課外授業にも最適だと思う。
写真19 ミネソタ科学博物館
12:00 タウンスクエア (Town Square) 見学。
 たくさんのスヌーピーを見たり、ダウンタウンの賑わいを感じながら昼食を取る。
13:00 ハリエットアイランド (Harriet Island) 着。
14:00 パドルフォードパケットボート (Paddle Ford Packet Boat) 。
 ミシシッピ川も上流と下流とでは随分違うものだと感じる。 セントポールの落ち着いた町並みを眺め、きのう全体調査で見学した箇所を指差しながら復習する。 日曜日ということもあり、船の中では各国語が飛び交いインターナショナルな雰囲気であった。
16:00 ミネアポリス美術館 (The Minneapolis Institute of Arts) 見学。
 日曜日なので、美術館も開館時間が短く、ユニバーサルデザインがなされている 箇所を確認したり、建築様式を見たりしている間に閉館時間が来てしまった。
17:00 ホテル着。
(高山 庸子)



環境思想・教育班

 思想・教育班はミネトンカ湖(Lake Minnetonka)、 ミネソタ歴史センター(Minnesota History Center)、 モールオブアメリカ(Mall of America)を視察した。以下、場所ごとに説明する。

1. ミネトンカ湖(Lake Minnetonka)
 ミネソタ州は湖が非常にたくさんあり、州のニックネームも"10,000Lakes"である。 実際には約15,000の湖があるそうで、ドライブしているといたるところに湖が見られる。 我々が訪れたミネトンカ湖はミネアポリスのダウンタウンから西に車で約40分の ところにある湖である。湖は緑に包まれており、住宅もあるが景観を損ねるものではない。 湖のほとりにはジョギング用の小道とサイクリング用の小道が並行して走っており、 車道とは離れて作られている。我々はその湖の回りを車で走り、湖畔にある Noerenberg Memorial County Parkで車を停めた。そこは小さなハーブ園になっている。 もともとはNoerenberg 家の敷地だったのを氏が公園として開放した場所である。 自然を大切にし、それを楽しもうとするアメリカ人の姿勢が伝わってきたことであった。

2.

ミネソタ歴史センター(Minnesota History Center)
 ミネアポリス市とセントポール市はミシシッピ川を挟んで並んでおり、 両市を合わせてツインシティーと呼ばれている。当センターはセントポール側にある 歴史博物館である。セントポールのダウンタウンのすぐそばに位置し、 近所には州議会議事堂もある。展示場になっているフロアにはガイド付きの案内があり、 他に図書館のようなものもあるので、ミネソタの歴史のことはなんでもわかる仕組みになっている。 ここでは、ガイドの人にミネアポリスに住む人とミシシッピ川の関係について話しを聞いた。 ミネソタ、特にミネアポリスやセントポールの発展については、 ミシシッピ川の果たした役割は大きく、水力や水運を利用して製粉業が飛躍的に発展し、 1800年代には世界最大規模のミルセンター(mill center)として栄えたそうである。 自然を利用して町が発展し、その歴史も浅いことから、アメリカ人の自然や環境に対する 保護の精神も育つのであろうと思った。

3.

モールオブアメリカ(Mall of America)
 モールオブアメリカは世界最大級のショッピングモールである。 4階建ての建物が四角い形を作っており、何百もの専門店といくつかの有名デパートが入っている。 建物の中央は吹き抜けで屋内遊園地になっている。ここではこの巨大ショッピングセンター から出るゴミのリサイクルについて調査した。モールから出るゴミの量は毎月800トンだそうで、 あらゆるゴミは生ゴミ、紙類、ビン類などの7種類に分別され、その半分以上が リサイクルあるいは熱エネルギーなどとして利用されている。ただし、 これらの処理されたゴミは無料ではなく「商品」として売られている。資源の再利用、 環境保護と実益をねらったシステムになっているのである。その辺がまたアメリカ的 であるなあと感心した次第である。

(我妻 敏博・柳川 幸子)