【研究分野】
アメリカ文学が専門分野ですが、その中でも二十世紀の小説を研究の中心に据えており、論文はアーネスト・ヘミングウェイの創作法に関するものを主として書いてきました。
また私は地方を舞台としている小説を読むのが好きなのですが、それらはしばしば自然描写が豊かであり、その土地独自の匂いを発散しているせいだろうと思います。このことが昨今はやりのネイチャー・ライティングともつながり、最近その関係の読書が多くなりました。モンタナ、ネブラスカ、アイオワ、カナダ西部などを背景にして展開する人間模様には自然の影響が濃く、深い味わいを感じ、どうやら今後の私の研究対象となりそうな予感がします。大都市を背景にしてすさんだ人間関係をテーマとした作品には若干あきています。
また名声が確立した大作家もいいのですが、私はどうやら新しいものがとても好きなようです。毎年数多く出版されるアメリカの小説のうち地方の匂いが濃密であるものを拾ってハードカバーを買い、新たなページを開くとき、期待と興奮でわれを忘れます。数十ページ読み進むとそれができのよい作品かどうかがなんとなく察せられ、読み終わって価値の判断を下します。それは他の批評家に惑わされず、絶対的に自分の感性を信頼した自分だけの世界です。そして面白ければ学生に、人に、老若男女に、犬猫にも紹介しています。そうしないではいられないのが小説から受ける感動の強さだからです。芸術は素晴らしい。
【趣味】
小説を読むことは、子供の時からの趣味。のち職業にもなる。映画も子供のときからの趣味。中学生のとき、『大脱走』でハリウッドに目覚めた。「ムーンリバー」を聴いていると、アメリカに憧れて『ティファニーで朝食を』を英語で読んでいた高校時代のあの雰囲気がフワッと蘇ってくる。長じてからいくつかの趣味を持ったが、小説と映画に対する気持ちとはぜんぜん比較にならない。
【一言】
皆さんとても優秀です。またよく遊びます。なかには修士論文で扱う作品の舞台を直接見てみたいと考えてアメリカを旅行したり、ヘミングウェイの短編小説の舞台を回ったり、ニューヨークの古本屋で本を買って来たり、ブロードウェイでの観劇を楽しんだり、ついでにメジャーリーグの野球を見て広い意味でのアメリカン・スタディズを実践したりなど、実に活発に過ごしています。アメリカ文学専攻の学生は縦のつながりがよく取れており、現役学生とOBが中心になってアメリカ文学会上越支部というのを勝手に作り、毎年一回秋に温泉に行って遊んでいます。その多くは首都圏を中心とした高校教師たちですが、出版社勤務のものもいたりで、アメリカに対する興味を絆として仲良くやっております。