米国の日常生活と算数


アメリカでの日常生活の中で、算数の内容と関わりながら、かつ日本と少し様子の違う事柄について、気づいた範囲で取り上げてみたい。他にお気づきの情報のある方は、nunokawa@juen.ac.jpまでお知らせ下されば幸いです。

卵のパック
現在、テネシー州ナッシュビル市に滞在しているが、近所のスーパーで卵の売り場を見ると、売っているのは、6個入り、8個入り、12個入りであった。日本でもいろいろな個数のものが売られるようになっているが、主流はやはり10個入りパックではないかと思う。それに比べると、8個入り以外は「ダース」の基準にしていることに気づく。表示も「1ダース」「半ダース」となっていた。同じスーパーでよく買う菓子も、12個入りであり、こちらは「12個」の表示である。そういえば1フィート(1 foot) も12インチである。英語の数詞は12までと13からとに差があるが、12というまとまりが他の場面でも結構生きているのかもしれない。これに比べると、日本は10進構造が一貫しているように思うがどうであろう。

貨幣の数値
良く言われるように、米国は分数の発想(half=1/2、quarter=1/4)が活かされているが、硬貨でも1/4ドル=25セントがよく使われている。50セントや1ドルの硬貨もあるそうだが、日常で見かけることはない。実際に使ってみると、単に25セント硬貨があるというだけでなく、お釣をもらうときの硬貨の組み合わせ方が、日本人の発想と少し違って出てくる感じを受ける。例えば、40セントのお釣は、10セント4枚(10円硬貨4枚との類推)と勝手に期待していたら、25セント、10セント、5セントの組み合わせで出てきて、ちょっと戸惑ったことがある。4枚の硬貨が出てくると思っただけに、まず3枚しかもらえないことに戸惑い、少し考えてようやく納得できたのである。また80セントなども、25セント3枚と5セントとなる。
紙幣の方は、1ドルや5ドル、10ドルなども用いられるが、20ドル札が最もよく見かけるようである。銀行のATMなども、100ドルなら20ドル札5枚といった感じで出てくる。これらに比べると日本の貨幣は、5と10に忠実にしたがって構成されているように思える。
米国のものも、25セント硬貨、2ドル紙幣、20ドル紙幣をのぞけば5と10にしたがうらしいのだが、この例外のように見える25セントと20ドルが最もよく用いられるあたりが面白い。そして、このことが、数の合成や分解、10進位取りの理解などに影響しないのか、と考えてしまう。

金額の大きさ
日本ならコンビニでちょっと買い物をしても、ラーメンを食べても、数百円のオーダーになってしまうが、米国なら数ドルのオーダーにしかならない。日本の子どもなら数万円のオーダーの金にも結構頻繁に接していそうだが、米国なら数万ドルの金なら結構な金額になる。一方で、5ドル40といった端数を意識させるような言い方は日頃からなされることになるが、これは小数の理解に関わるだろうか?(日本でも3メートル25といった言い方はしますね)。店の値段の表示やチラシなどでは、$5.40と書かれたり、$540と書かれたりする。ちなみに、73ドル45を小切手に書くときは、$73.45と数字で書くほかに、Seventy Three and 45/100 と併記しなければならない。これは端数としての分数の理解につながるだろうか?またこうした言い方に似ているように思うのだが、150をワン・フィフティと発音することが多い。これは十進位取りの理解に影響を与えるだろうか?

複数の単位系
日ごろ用いられている単位と、国際標準的なmgs単位とが混在している場合があり、この換算なども学校で扱うのかと、ちょっといらぬ心配をしてしまう。ものさしは一方にセンチメートルの目盛りが、もう一方にインチの目盛りがつけられている。食料品の内容量は、オンスとグラムが併記されている。例えば、今、手元にあるヨーグルトは、8OZ (227g) と表示がある。ミネラル・ウォーターの容器を見ると、20FL.OZ. 591ml とある。FL.OZ.は辞書によると、液量オンスのことで、1/16ピント(1ピント=0.4732リットル)だそうである。しかも、1フィート=12インチとか、1ポンド=16オンス、1ガロン=8ピントと、10のまとまりで上の単位と関係していないので、日本人の目から見ると、非常に複雑に見える。

八角形の標識
八角形をした標識の種類は多くないとは思うのだが、一時停止の標識が赤い八角形だけに、なんとなくよく見かける感じがする。日本では八角形を日常で見かける場面として、どのようなものがあるだろうか?


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