★ 方程式で表現する

方程式は、ある場面の中のいくつかの数値の間に
ある「仕組み」を文字式を利用して表現したもの
です。逆に言えば、方程式を作る時は場面の
「仕組み」を見つけていけばよいのです。

では何のか「仕組み」をとらえるには、
どうしたらいいでしょう。
例えば、何かの家電や機械の仕組みをとらえようと
思ったら、それぞれの部品のはたらきを調べたり、
部品どうしがどのように関わっているかを調べたり
するのではないでしょうか。そのために、部品を
少し動かすとどうなるかを見てみたり、時には
その部品をなくすとどうなるのかをためしてみたり
するのではないでしょうか。

方程式を作るために場面の「仕組み」をとらえる
ときも、基本的には同じようなことをしています。

例えば場面について「何人かの人に、折り紙を
1人5枚ずつ配ろうとすると8枚足りない」という
情報があるとします。このとき、「何人かの人」
「1人5枚ずつ」「8枚足りない」という「部品」が
どのようなはたらきをしているのか、それらの「部品」
どうしがどのように関わっているのかを調べることが
大切です。そのために、時には、「部品」を少し
動かしてみる」のも有効です。「何人かの人と
あるけど、じゃあ10人だったらどうなるかな」
「8枚足りないとあるけど、もし2枚足りないだと
どうなるかな」「10人に5枚ずつ配ると2枚
足りないってどんな感じかな」「これだと折り紙は
何枚あるのかな」などと考えてみると、「部品」の
はたらきやそれらの関係について、その感じが
つかめてきます。

その感じがつかめてきたところから、少しずつ、
式で表現をしてみます。数字で表せない数値に
ついても 文字を利用 すれば 表現できますから、
算数の時よりも表現がしやすくなっています。

このとき、感じをつかむために「部品」を動かして
考えた「10人に5枚ずつ配ると2枚足りない」など
についても、「仕組み」に着目してとらえておくと、
式で表現する助けになります。「10人に5枚
ずつ配ると2枚足りない」ということは折り紙が
48枚しかないことはわかりやすいと思いますが、
それだと式に表現するときの助けになりません。
この 48 を求めるために計算した 5×10-2
いう式が、48という 数の仕組みも同時に表している
と気持ちを切り替えておくと、10人の代わりに
x 人、「2枚足りない」の代わりに 「8枚足りない」
と考えることで、すぐに、 5×10-2  という式から
 5x-8  という式を作ることができます。

上で述べた 気持ちの切り替え ができていると、
今の式  5x-8  を数の表現として見なすことが
できますから、折り紙の枚数が  (5x-8)  枚だと
とらえることができます。あとは、さらに場面の
「仕組み」を調べていき、今の折り紙の枚数と
他の数値との間にある「仕組み」が見つかったら、
その「仕組み」を式を利用して表現していくと、
少しずつ方程式ができていきます。

大切なのは、場面の「仕組み」を調べるという
気持ちと、いっきに「仕組み」を捉えようと思ったり、
すぐに方程式を作ろうと思ったりせずに、場面の
「仕組み」を少しずつ調べていこうと思いながら、
場面と向き合うことです。その中で場面と仲よく
なることで、大切な「仕組み」が少しずつうかび
あがってくることでしょう。

【補足】
「10人に5枚ずつ配ると2枚足りない」という
ときも、一度にとらえようとせずに、まず
「10人に5枚ずつ配った」状態をイメージして
みます。そして、そうなるには「2枚足りない」状態
へとイメージを進化させてみるような感じで、
少しずつ考えてはどうでしょう。
ポコ・ア・ポコ(poco a poco)!