小学校1年の時に数 を学びました。
でも何かがないなら、無理に数を使って 個とか
と
言わなくても、単に「ない」と言えばいいようにも思います。
ただ逆にいえば、数 を用いることで、
何かがない場合も、
ほかの場合と同じように、数を用いて表現することが
できるようになったのです。
さらに、数を用いて表現することで、何もない場合が
まじっていても、区別することなく、個数などを計算する
ことができます。合計を求めたり、平均を求めたりするのに、
何もない場合を別に扱う必要がなくなったのです。
負の数にも似たようなメリットがあります。
気温が ℃よりも低い場合は
「氷点下何度」と言えば
すみますし、山の高さを「海抜何メートル」と表すとしても
海の深さは「水深何メートル」と表せばよいように思います。
でもマイナス何度、海抜マイナス何メートルと負の数を用いて
表すことで、基準の氷点より高い温度と低い温度と同じように
扱うことができますし、基準の水面より上にあるものも下にある
ものも同じように扱うことができるようになります。
2つのものがまじっていても、区別することなく計算ができ、
平均の気温を計算したり、基準の水面からの位置の差を計算で
求めることができます。
ある基準から互いに反対方向にあるものを、合わせて
いっしょに扱いやすくなるのです。
こうしたことは、コンピュータを使う際には、
いっそう大切になります。たくさんの数値を処理するために、
コンピュータの表計算ソフトを使ったり、プログラムを
作ったりします。その際には、「氷点下
°」や「水深」と
表現するよりも、
「」「 」と表現する方が、
扱いやすくなります。
コンピュータを利用する際には、
負の数はありがたい存在です。
ただそうした負の数のよさが生きるためには、
負の数と正の数の全体について、計算の仕方が
適切に決められていることが必要となります。
負の数自体は、ある方向と
反対にある
ものを表すのに
作ってみたものですから、それだけでは計算のルールは
定まっていません。私たちがすでに知っている
正の数の計算とうまく合うように注意しながら、
負の数もふくんだ全体について
計算のルールを作ることが大切になるのです。