7.学びの軌跡を確認する「教職キャリアファイル」

「教職キャリアファイル」概要

1 「教職キャリアファイル」の目的

■ 教職に対する適性について自己確認する
   「今の自分はどのような状態にあり,何をしたいのか」
■ 多様な学びを集約・整理する
   「どんなことに気付き,何を学んだのか」
   「そのような学びを促し,変容・成長したのは,何が要因か」
■ 教職にかかわる自己課題を更新・実践・評価改善する
   「何を目指して,何に取り組むのか」
   「どのように取り組んだか」
   「その結果,成果と新たな課題・今後すべきことは何か」

 教職キャリアファイルは,4年間,学内外で経験する様々な学びの軌跡をつなぎながら保存・活用していくポートフォリオです。教職キャリアファイルをつくり続ける過程で,教職への適性について省察しながら,教職にかかわる自己課題を更新していくことができます。学生は,めざす教師像に必要な資質・能力を自ら統合・形成しながら,将来を展望したキャリア開発をしていくとき,この教職キャリアファイルを役立てることになるのです。

2 「教職キャリアファイル」の構成

@ テキスト編
 教職キャリア教育の概念や体系,教職キャリアファイルの解説などを学生にメッセージのかたちで伝える読み物にしました。また,学生が,初年次・各学年・卒業段階で修得すべき到達目標を載せました。そうすることで学生は,自らの位置と教職適性や自己課題を常に確認・意識することができます。

A シート編
 学生が書き込みながら,自己認識の変容や要因を探り,自己課題を更新する部分です。各学年ごとに年間カリキュラムに沿った構成になっています。

科目(教職キャリア教育に関連する科目)の中での記録・活用
教育実習を核とした記録・活用
1年間の多様な学びを自ら統合・形成し、修得した資質能力を確認する記録,教職キャリアガイダンス等で活用
多様な成果の記録(学びのひろばやボランティアなど多様な体験での気付き,プレイスメントプラザで得た情報,その他生活上の発見・人との会話・読書記録など個人的に残しておきたいことなど)
※最後のメモシートは,教育支援課に置き,自由に増やせるようにしています。

B 資料編
 教職へのキャリア開発促進に役立つ情報として,推薦図書とプレイスメントプラザを紹介しました。また,添付したクリアケースの中には,授業の資料や作成したレポート,学習指導案,テストなどを入れ,学習成果を履歴として保存・活用できるようにしました。

3 「教職キャリアファイル」の使い方

 教職キャリアファイルのシート編では,まず教職キャリアが形成される原点となる入学時に,自分自身を確認することからスタートし,初年次の保存・活用を大切にしています。
 その後,各学年段階・卒業段階で更新していけるように,「上越教育大学スタンダード」をもとに教職キャリア教育に関連する科目の到達目標や「教育実習ルーブリック」を指針としながら活用できるようにしています。主に,「科目・教育実習・その他の学習活動や記録を含めた年間の振り返り」の3つの構成の中で各自の学びや教育実践力を統合・形成していきます。

 しかし,皆が一様に同じ教職キャリアを形成していくのではありません。

 教職キャリアファイルは,学生各自の特有の学びの軌跡であり,一人一人の学習成果であり,目指し獲得した教育実践力です。メモシートやクリアケースなども活用しながら,各自が自分らしい教職キャリアファイルの保存・活用を生み出すようにしていきます。
 そして,教職キャリアファイルをつくり続ける中で,一般的なスタンダードでは培えない,個性,地域文化や時代の変化に対応する力などを獲得し,教職キャリアの本質を追究していけるようにします。


教職キャリアファイル