記録編 ピッツバーグ 3/4
ピッツバーグの社会科教育
Social Studies in Pittsburgh
上越教育大学・院 言語系
(上越市立城北中学校) 姉崎達夫
2.スモイヤー先生の実践発表「ザ・リビング・タイム・ライン」
 ○実践の目的とグループ編成

 この授業は理科、社会科、英語、数学を総合的に扱ったものである。生徒たちが絵、写真、資料、衣装、台本などを2カ月近くかかって準備し、各グループが歴史の中のさまざまな時代の紹介をタイムトラベラーたちに伝えていくという生徒主体の活動である。この活動は、グループの編成やトピックの選択から、紹介する時代の一つ一つの細かな点の調査に至るまで、少しずつ進展していく。最後にはその時代の人物になりきって、タイムトラベラーたちに提示することを目指している。
 まず、この活動を児童に紹介して、自分もエキサイティングな活動をやってみたいという気持ちにする。また親に対して手紙を出して、活動の概要や理論的背景、期待したいこと、今後の日程などを示す。別な手紙で親がボランティアとして参加してくれるようにお願いをする。この活動は父母が一緒に参加することによって発展してきたと考えている。
 さまざまな能力の児童を一緒にした6年生60人を2〜3人ずつに分けてグループを編成する。こうすることによってそれぞれの児童が発達できると考えている。グループが決まる2〜3日前にツアーガイドたちを選ばなければならない。この人数は活動の規模などによって決められる。最近実践した例では、60人の児童に対して時代は22に分けられ、発表は二日間、見学希望者は600〜700人見込まれた。そこでツアーガイドは4人と決定した。
○準備期間のポイント
 次に準備期間にどんな調査を行い、まとめたらよいかを説明する。具体的には、口頭での発表、作文、机の上におく工芸品、ポスターや図表、衣装を明確にさせていかなければならない。
また、指針となる5つの質問を児童に投げかける。
 [1] 地理的な位置、つまり世界のどの地域のことなのか。
 [2] 歴史的に見て、その時代でもっとも重要な出来事は何か。
 [3] その時代でもっとも優れた科学技術は何か。
 [4] その時代でもっとも重要であり、かつ影響力をもった人物は誰か。
 [5] その時代でもっとも特色ある文化的社会的なことは何か。
 指針となる質問に対する答が、バランスよく配分されるように、ワークシートを与える。この活動で最も大切なことは、児童が科学や技術と歴史とを関連づけて見ることができるという点である。私が驚くのは、児童が人間と科学技術との関係を理解し、お互いが影響を与え合うことを理解するようになるということだ。
スモイヤー先生
「ザ・リビング・タイム・ライン」のスモイヤー先生