記録編 ピッツバーグ 4/4
ピッツバーグの社会科教育
Social Studies in Pittsburgh
上越教育大学・院 言語系
(上越市立城北中学校) 姉崎達夫
○発表会当日
 実際の発表の様子を説明したい。50メートルずっと真っ暗な廊下を思い浮かべてほしい。ひとつのグループに長机がひとつずつ割り当てられている。各グループの間は黒いカーテンで仕切られている。幅1メートル長さ3メートルで15人乗りの木製タイムマシーンが4台ある。前にはツアーガイドが乗っている。タイムマシーンが着くと、ツアーガイドは自分で準備した詩を乗っている人たちに聞かせる。最初に原始人の時代に着くと、洞穴には火がともっている。原始人役の子どもたちは自分たちで練り上げたセリフを観客に話すのではなく、お互い同士で話をするのである。観客はそれを聞くことによって学習しているのだ。話が終わると火が消えて、次の時代へ進む。次は小さな25ワットくらいの電灯がついている時代に到着する。というように次々と進んで未来に行くまで約1時間かかっていろいろな学習をするのだ。
 この活動で良い点は、他の児童と一緒に協力して活動する点、美術の面でポスターや図表を作る点、人前で話す点などがあげられる。そして子ども自身がいろいろ学べたと思うだけでなく、親も同じように感じることができる。脳腫瘍の手術を2年前に受けた児童をグループに入れるかどうか迷ったが、彼をひとりで未来の担当にすることにした。彼はアインシュタインが残した3つの功績を見事に表現した。このようにして私自身11年間やってきて、徐々に内容が充実してきたと感じている。
   3.オーシェル先生の実践発表「デッドリー・リンク」
○授業の導入
 6年生を対象に行った理科・社会科・算数を統合した3日間の授業の実践を紹介したい。まず全体像を与えるため、食物連鎖とは何かという問いでウォーミングアップをする。「誰か太陽になる人は?では前に出てきてにっこり笑ってください。次に太陽の光で育つのは?植物。そうですね。太陽の隣に立って、手を広げて枝を出しましょう。植物を食べるのは?うさぎ。では前に来て、手を立てて耳にしましょう。」等々。
真剣な参加者達
真剣な参加者達・・・バッタ役をつかまえるネズミ役
○野外でのゲーム活動
 それから児童を外に連れだし、決められた配分によってバッタ役、トガリネズミ役、タカ役に児童を分ける。草の代わりのカードをある範囲にばらまき、スタートとともにバッタ役の児童が草をさがして拾う。ちょっとしてからトガリネズミ役の児童がバッタを食べに出発する。タッチされたバッタはもっている草のカードをトガリネズミに渡す。しばらくしてからタカ役の児童がスタートしてトガリネズミをつかまえに行く。つかまったら草のカードをタカに渡す。時間が来たら、止めさせる。
○いろいろな教科に発展させる
 カードは2色あって、一つは農薬に汚染された草、もう一つは農薬に汚染されていない草になっている。もっているカードの50%以上が汚染されていると死んでしまうというルールを与えて、算数をやらせる。そして食物連鎖によってこれらの農薬が時間とともに人間にも影響を与えるかもしれないことを考えさせたり、私たちの生活にどういう影響があるかを考えさせたりすることによって、社会問題にも内容を広げていくことができる活動である。