テーマ別編 小学校 4/6
写真で考えるごみ学習〜合衆国のごみ箱から〜
上越教育大学・院 社会系
(秋田市立桜小学校) 川村直子
3 ピッツバーグ市におけるごみ処理事情
1)ごみ処理のしくみ
 ピッツバーグ市は合衆国東部のペンシルバニア州西部に位置し、人口約36万人、鉄鋼業で栄えた町として有名で、埼玉県大宮市と姉妹都市提携を結んでいる。本節では、アメリカ合衆国ピッツバーグ市のごみ処理事情と徹底したリサイクル教育に関する事例を取り上げる。調査に当たっては、当市環境局ENVIRONMENTAL SERVICESの主にリサイクルに関する部局Recycling Divisionで資料収集と聞き取りを行った。
 合衆国では各州・市などの行政区によってごみの収集システムは異なるが、当市のごみ収集は表2に示す通りである。分別は、[1]REFUSE―生ごみなど再生不可能なごみ、[2]RECYCLING―資源ごみ、[3]BULKY WASTE―粗大ごみの3種類で、当市では戸別収集で、各家庭毎に専用の袋やコンテナにごみをまとめて家の前の路上に出しておくと、収集車が回収していく。
 ピッツバーグ市では「Blue car」と呼ばれるリサイクル収集車を14台保有している(資料1)。この車は、回収したごみを入れる部分が2層式になっていて効率的な仕分けが可能であるほか、容積を半分に圧縮できる機能を備えている。Blue carは最新式で高価な物だそうだが、人件費の削減や収集に費やす時間の短縮といった問題を考えると、長い目で見れば効率的であるとして導入したと職員の方が話していた。Blue carで収集されたリサイクル可能なごみは、各処理場に送られ、資源へと再生産される。
 収集されたREFUSE、もう再生が不可能なまったくの「ごみ」は、Sanitary land 衛生埋め立て地に運ばれ、国レベルでの厳しい規制(national label)の監視下、処分される。1970年頃まではごみも燃やして処分していたそうだが、排煙問題への住民の反対が激しく埋め立て式に移行したそうである。埋め立て式は我が国でも最近見直され導入されてきているが、国土の面積がせまい日本では建設がかんたんなものではない。当市の衛生埋め立て地にはニューヨークのごみも運ばれているそうで、広大なアメリカ合衆国らしい処分法であると感じた。
表2 ピッツバーグ市のごみ処理について
種類 内容 収集から処分まで
REFUSE
一般のごみ
生ごみなど再生不可能なごみ ・袋に入れるなどして、コンテナに入れて家の前に置く
・埋め立て処理
RECYCLING
再生可能なもの
・新聞
・アルミ缶
・スチール缶
・ビン など
・Blue bagと呼ばれる専用の袋
・分別して家の前に置く
・新聞はPaper bagに入れるか紐で括る
・アルミとスチールは分別する
・ビンはガラスの色によって分別する
BULKY WASTE
粗大ごみ
・一部の家電製品
・家具 など
埋め立て処理
(市環境局資料と聞き取りを元に作成)
*収集は市の施設と一般家庭に限定している。
*石・コンクリートの処理は業者に委託している。