テーマ別編 小学校 2/6
小学校におけるアメリカ合衆国理解
〜新たな可能性とそのきっかけになる学習材を考える〜
上越教育大学学校教育学部附属小学校教諭 佐 山 幸太郎
 ○第6学年 内容の(3)のア
 我が国と関係が深い国の学習として、経済や文化などの面でつながりの深い国の人々の生活を調べていく点は現行のものと変わりはない。
 しかし第6学年「目標」の変更とともに、「他国との協調を図るための正しい国際理解」というとらえ方から、「外国の人々と共に生きていくために異なる文化や習慣を理解し合う」というとらえ方に変わった。国際化の進展に伴い、広い視野、異文化理解、他との共生を強調していると考えられる。
 また「内容の取扱い」では、「児童が一か国を選択して調べるように配慮し、様々な国の文化を具体的に理解できるようにするとともに、我が国や諸外国の文化や伝統を尊重しようとする態度を養うこと」が明記された。
 現時点では、小学校解説書社会編で、現行指導書のように合衆国が具体例としてでてくるのかは定かではない。ただ、上記のような貿易面でのつながりは当然として、文化、とくに現代の流行、ファッション、食事、スポーツ、エンターテイメントなどの多様な面でのつながりや影響があることを考えると、またこれらが子供の生活にも非常に身近であることを考えると、合衆国が事例として、より大きく取り上げられていくのではないかと予想される。
 とくに新教育課程のもとでは、我が国と関係の深い国としての合衆国理解を、今まで以上に深めていける可能性がある。それは、「総合的な学習の時間」の活用によって可能となっていく。
3 総合的な学習の時間での発展の可能性
 社会という教科だけみていくと現行指導要領でも新指導要領でも合衆国の取り扱い方は大きく変わらない。学ぶ内容の扱いは多少変化しても、教科の目標が大きく変わっていないからである。
 しかし新教育課程の目玉である総合的な学習の時間の設定を考えると、社会科の発展的学習として、国際理解といった横断的・総合的な学習として、子どもの興味関心追求の学習として、合衆国の取り扱い方の可能性が多様に広がっていく。「社会の目標と内容=教科」の枠を越えて、内容面でも時数の面でも拡大されて学習が発展していく可能性がある。
 ○大きな活動として
 ・合衆国の小学校、日本人学校との交流学習を進める。
 ・在日アメリカ人とともに英会話、生活や文化に触れる会をもつ。
 ・インターネット活用による調べ学習、交流学習。
 ○その中での具体的な活動として
 ・衣食住について調べたり聞いたりする。日米で比較する。
 ・合衆国の関心事(子供の遊び、スポーツ、歌、自然、環境対策など)を調べる。実際に試す。
 ・伝記を読み、その人の生き方についての感想をまとめていく。
 子供たちが主体的に追求していく対象や問題がまだたくさんありそうである。
 もちろん前提として、各学校の実態に応じた創意工夫や、充分な活動構想が必要であるが、あくまでも総合的な学習は、内容よりも学び方の重視、体験的な学習・問題解決的な学習の重視の立場に立っていく。