●心理学に向いている人

上越教育大学 学校教育学部 学校教育専攻
学校臨床コース (学校心理科目群)

人の心や行動に興味がある人

 人がどのように考え行動しているか,またなぜそのように考え行動しているのか,といった問題に興味を持てる人は,心理学に向いています。

 ただ,心といっても“愛”とか“癒し”といった抽象的な話は,心理学とはちょっとちがいます。なるべく目に見える行動のちがいというレベルで考えていくのが心理学です。

具体化な場面での行動について調べたい人

 心理学では,目に見える行動を扱うために,なるべく個別的・具体的な場面において,人がどう考え行動するかを研究対象とします。たとえば,算数の文章題の解決という場面で,小学校中学年の子どもたちはどのような思考方略を用いて問題を解くか,友人関係に強い不安を示す中学生に,教師がどのような援助を与えたらいいか,というように,具体的に研究対象を絞っていきます。

 このように,具体的で細かな問題について詳しく調べるのが好きな人は,心理学に向いています。

 そんな重箱の隅をつつくような研究には興味がない,問題を社会全体の問題として幅広く論じたい,というような問題意識を持っている人は,心理学には向かないかも知れません。

行動を追いかけるフットワークをもっている人

 心理学では,実験や調査にもとづいて,人の実際の考えや行動を分析・検討していきます。ですから,実際に学校に出向いて実験授業を行ったり,調査を依頼したり回収したり,調査用紙を作成し印刷したりと,けっこう体を動かす作業が必要です。こうした細かな作業をめんどうだと思わない人は,心理学に向いています。

実験的な研究手法が苦手でない人

 心理学では,現実の問題を細かな要因に切り分けて,各要因の影響性を実験的に検証したり,要因間の関連性を検討したりします。影響する要因を分けて考えたり,条件を統制してひとつずつ影響性を実験したりするやり方は,理科実験と同じです。また,条件を少しずつ変えて,どのように結果が変化するかを見たり,対照的な条件から導き出された結果を比較して,両者の特徴を検証したりもします。

 結果を数値に表して統計的に分析しようとするところも,理科実験とよく似ています。外から見たイメージとはちがって,心理学にはけっこう“理系”的な考え方が求められるのです。

 もちろん,こうした研究手法や統計解析の方法については,授業科目やゼミの中できちんと指導していきますが,基本的にこうした理科実験的な考え方が苦手だとか,数字を見ただけで頭が痛くなる,というような人は,心理学には向かないかも知れません。

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