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大学院入試について

 臨床心理士養成コースでは高度な臨床実践と学術研究が求められるため、大学院入試における研究希望等調書の位置づけは相当高いと考えてください。しかし、残念ながら、研究希望等調書に対する準備はけっして十分とは言えません。先行研究や方法についての言及がまったくなく、一般的な解説書を読んだだけ、あるいはそれすら読まずにただ「おもしろそうだから」、あるいは「自分はこういう研究がしたい」というだけで題目を決め、研究希望等調書を書いている受験生もけっして少なくありません。そういうふうにしようとしているのであれば、大いに考え直した方がよいでしょう。
 「研究」は「勉強」と異なり、@自身の主体的な取り組みに立脚しており、A新しい知見を見いだそうとする姿勢に溢れ、B先行研究の検討がきちんと行われている必要があります。これらの点を踏まえ、大学院受験に向けてよりよい「研究計画」を立てます。研究希望等調書の内容はもちろんであるが、これらの部分がしっかりしている計画書は、それだけでも書いた人の学問的な成熟度がにじみ出てくると言っても過言ではありません。


 研究題目の設定
 研究題目とは、「何を」、「どのように」研究するのかという、その研究計画全体の特徴をもっとも簡潔明瞭かつ魅力的に表したものがよいでしょう。必要に応じて副題をつけるのもよいと思います。大学院では定められた修業年限で一定の成果をあげることが要求されるので、基本的な文献には目を通していること、入学後に研究をするだけの基礎のあることがわかるような題目である必要があります。具体的に題目を設定する前に、自身の興味ある研究分野の学術論文の題目に目を通しておくとよいでしょう。


 計画書の骨格作り
 自身のやろうとしていることが何らかの点で「新しい」ものであることを確認するためには、他の人がまだやっていないことを確認しなければなりません。そのために当該分野の先行研究(一般解説書から興味を持った文献を読み進めることもよし:学術論文については最寄りの大学図書館で閲覧許可をとったらよいでしょう)の検討が必要不可欠になるわけです。先行研究は、当該分野でどのようなことが問題となっており、それをどのような観点から研究しているのか、また当該分野で妥当とされている研究方法はどのようなものなのかなど、研究を進めていくうえで必要な知識を与えてくれるとともに、研究のさまざまな点についての良い手本にもなるので、必ず熟読しておいていただきたいと思います。
 計画書の立案に際しては、先行研究を概観し、「自身の研究を従来の研究の流れないしは学問領域の中に位置づける」という理論的視点とともに、「何を(研究目的):その意義も含む」、「どのように(研究方法)」やるのかを、実行可能なように具体的に記述することが必要です。
 書式としては、研究計画を有機的にしていくためにも、「目的と意義」、「方法」、「研究成果の利用」、「参考文献」に分けて作成することを推奨します。

目的と意義
自身の研究目的が先行研究の動向の中でどういう位置づけになりどういう独自性があるのか、またその研究にはどういう意義があり、予想される結果(研究仮説)はどうなのかを明確に記述します。


方法
研究目的の遂行・達成のために必要な研究対象、研究方法(事例研究・実験・観察・調査等の計画と実施手続き、データの収集・分析方法、研究日程等をある程度具体的に立案します。これらについてどれだけ具体的に書けるかで、研究希望等調書の良し悪しが決まると言ってもけっして過言ではありません。

研究成果の利用
研究成果は学問的見地からどういう利用が見込まれるのか、その研究によって自身にとっていちばん得られるものは何か、またそれと修了後の進路との関係についても見通しを立てます。これによって研究計画がさらに洗練されることもけっして少なくありません。

参考文献
参考文献は、自身の見解と他人の見解をしっかり区別するためにも必要である。研究希望等調書の中で必ず参考文献に言及し、出典を明記するのが、学問の世界での「掟」です。参考文献の記載の仕方については、学術論文や専門書における記載方法を手本にするのがよいでしょう。

 研究希望等調書を提出する前のチェック・ポイント

.「研究題目」は簡潔明瞭かつ特色を表すように設定されているか。

.「目的と意義」

  「方法」

  「研究成果の利用」

  「参考文献」

  は、的確に書かれているか。

 3.「方法」は、実行可能なように具体的に書かれているか。

  4. 読みやすく、わかりやすく書かれているか。

 5. 誤字・脱字、文章の点検は行ったか(誰かに読んでもらうとよい)。

「健闘を祈る」