★ 無理数育成ゲーム

2乗すると 4 になる数なら  2 と  -2  であると納得できます。
また2乗して  1.5625 になる数だとしても、 それが 1.25 と
 -1.25 であることも、 計算をすれば納得できそうです。
でも、2乗して 3 になる数は  3 と  -3  だと言われても、
そもそも  3  が数なのかどうかはっきりせずに、しっくりこない
かもしれません。

こうした気持ちはむしろ自然なことです。どんなものなら「数だ」と
言ってよいのかがはっきりしないので、確かめようがないようにも
思います。そこで、ここは気持ちを切り替えて、
 3 のように 根号のついたままでしか考えられないものについて、
それが「数かどうか」を考えるのではなく、それを
数として一人前になるように育てていこう」と考えましょう

例えば 3 で についてわかっている仕組みは、「2乗したら
 3  になる」ということだけです。この仕組みだけを手がかりにして、
これまで学習してきた数と同じようなことが考えられて、しかも
これまでの数ときちんと共存できるように、  3 や  5 などを
「数として育てていく」のです。

では「数となる」には、どんなことが必要でしょうか?
今までの数のことを思い出すと、次のことが必要でしょう。

そこで、中学校の数学の学習では、根号のついたものについて
上の2つのことを、今までの数と共存ができるような形で、
少しずつ作っていっているのです。いわば、無理数の育成ゲーム
です。自分が漫画家になって、キャラクターを少しずつ成長させて
いくような気持ちで、無理数を成長させていってください。

なお、この育成ゲームにうまく参加するには、いくつかのコツが
あります。1つは、 分数わり算 などのとらえかたを、
算数のものから中学校のものへと、あらかじめバージョンアップ
しておくことです。
 3+ 5  のような+の入ったものをたし算の答えとして
見ることになりますが、
+の入った式も数の1つの表現なんだと、
気持ちを切り替えてあれば大丈夫です。

もう1つは、今までの数に対して使っていた計算のきまりが、
大切な場面で使われているので、それに注意を向けるという
ことです。例えば、  2× 3 をどう決めたらよいかを考える際に、
 (2× 3)2 を計算して、
 (2× 3)× (2× 3) = 2× 3× 2×3  
 =(2 × 2)× (3× 3) =2×3 =6
であることから、  2× 3は2乗すると 2×3=6 となる数
だと決めるのがよさそうだ、つまり、  2× 3= 2×3
と決めるのがよさそうだとしたわけです。

ここでは実は、根号のついたものについて乗法の結合法則と
乗法の交換法則が用いられています。よく考えてみれば、まだ
数として一人前になる途中なので、こうした法則を根号の
ついたものにも使っていいのかは、わからない気がします。
でもここは、今までの数となかよく共存してほしい、という
期待もこめて、発展途上の根号のついたものにも、今までの
計算のきまりが成り立つと考えて、ストーリーを作っています。