初年次としてのプログラム充実の視点
1 目的
1年次学生自らが,相互に自立した個人として「教職への情熱と自覚」を教職キャリア形成を図るテーマと捉えることができるよう,授業内容・指導体制及び内省的評価の視点から,初年次教育としての共通プログラムの質的充実を図る。
2 初年次教育としての共通プログラム
(1) 初年次教育としての共通プログラム質的充実の視点 | |||
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@ | 授業内容 | |
ア | 入学早期から教職への気付きを高める全体講義 | ||
教師という職業の意義や教育問題等への理解を促す講義を,幅広い分野から講師を迎えて実施する。それを通して,教職の意義や教師に求められる資質・能力への気付きを促し,各自が目指す教師像を多面的に問い直しながら明確にできるようにする。 | |||
イ | アクティブラーニングを重視したクラスセミナーによる双方向型の授業内容 | ||
「レポート,講義後の協議,指定読書の討論,弁論発表,合宿研修の協議及び準備」などの双方向型授業により,1年次学生の大学への適応と教職キャリア形成に対する理解を促す。 | |||
A | 指導体制 | ||
ア | 「全体講義→クラスセミナー」のサイクル | ||
「講義→自由記述シート→講義の内容をテーマとしたクラス協議」のサイクルでプログラム構成することで,学生自らが省察的・能動的な学びの営みに参画できるようにする。 | |||
イ | ST比の維持向上による少人数指導の推進 | ||
クラス担任一人当たりの学生数(ST比)が,10〜11人になるよう,16クラスで編成し,少人数指導ができるようにする。 | |||
ウ | 運営委員会による組織的運営 | ||
クラス担当教員による「人間教育学セミナー(教職の意義)」運営委員会にて,共通プログラムの内容や指導体制,評価,成果・課題に対する共通理解を図りながら授業づくりを行う。 | |||
B | 内省的評価 | ||
ア | 全体ガイダンス | ||
教職に対する学びの動機付けを図るため,初日の全体ガイダンスでは,科目内容の説明のみでなく,教職キャリア教育の概要や体系,アドミッション・ポリシーに基づく養成したい教員像,「上越教育大学スタンダード」や科目の到達目標などを明示して,初年次教育の導入を充実させる。 | |||
イ | 教職キャリアファイルによる内省的評価と学習アセスメントの実施 | ||
教職キャリアファイルを初日に配布し,シートに教職志望動機や教職へのイメージ,教職にかかわって取り組みたいことなどを書き込むことで,入学時の教職に対する意識の明確化と教職キャリアプランづくりやポートフォリオの導入を図る。また,最終日に前期終了時の教職観とそれを促した要因をシートに書き込むことで,早期に教職適性を自覚させ教職への決意を促す。 クラス担当教員は,教職キャリアファイルによる学習アセスメントを実施し,学生の現状や変化の客観的な把握に努め,それをクラスセミナーの指導に生かす。 |
(2) 初年次教育としての共通プログラムの実際 | ||
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※ | H19年度「人間教育学セミナー(教職の意義)」より |
回 | 日時 | 人間教育学セミナープログラム内容 | 形態 | 担当者 | コマ数 |
1 | 4/11 | ◇全体ガイダンス ----- 講堂 ・人間教育学セミナーの意義,年間プログラムについて,指定読書について,評価の方法 ・「教職キャリアファイル」の配付と活用方法,記入 |
全体 (前半) |
松沢, 古閑 クラス担任 |
1 |
◇新入生合宿研修準備 ----- 各教室 合宿研修の役割分担を決めたりするための協議 |
クラス (後半) |
||||
2 | 4/18 | ◇新入生合宿研修準備 ----- 各教室 | クラス | クラス担任 | 1 |
3 | 4/25 | ◇「子どもと授業を創る喜び」(松沢) ----- 講堂 | クラス CD |
クラス担任 松沢 |
1 |
◇「子どもの心を開くリズムレク体験」(時得) ----- 体育館 | クラス CD |
時得 | |||
4 | 5/9 | ◇「言葉を通して子どもと共に学び合い,価値を創造 し続けること」(古閑) ----- 講堂 | クラス CD |
クラス担任 古閑 |
1 |
◇「子どもの心を開くリズムレク体験」(時得) ----- 体育館 | クラス AB |
時得 | |||
5 | 5/16 | ◇講演会「教職と人権」 ----- 講堂 鹿児島大学教育学部教授:梅野先生 |
全体 | クラス担任 釜田 |
1 |
6 | 5/23 | ◇クラスセミナー ----- 各教室 AB…松沢先生と梅野先生の講演について CD…古閑先生と梅夫先生の講演について |
クラス | クラス担任 | 1 |
7 | 5/30 | ◇「言葉を通して子どもと共に学び合い,価値を創造し続けること」(古閑) ----- 講堂 | クラス AB |
クラス担任 古閑 |
1 |
◇「子どもと授業を創る喜び」(松沢) ----- 202教室 | クラス CD |
クラス担任 松沢 |
|||
8 | 6/6 | ◇クラスセミナー ----- 各教室 AB…古閑先生の講演について CD…松沢先生の講演について |
クラス | クラス担任 | 1 |
9 | 6/13 | ◇講演会「教師の権威について考える」 ----- 講堂 上越教育事務所 竹田幸雄先生 |
全体 | クラス担任 松沢 古閑 |
1 |
10 | 6/20 | ◇クラスセミナー ----- 各教室 竹田先生の講演について |
クラス | クラス担任 | 1 |
回 | 日時 | 人間教育学セミナープログラム内容 | 形態 | 担当者 | コマ数 |
11 | 6/27 | ◇指定読書後の討論会 ・「教師としての責任と生き甲斐」 ・「教育における人権問題」 ・「いじめ問題予防と発生時の担任の在り方」 ・「軽度発達障害の実態と特別支援教育−担任としてどう日々対処すべきか−」 自分の読んだ内容の概要をA-42枚にまとめ,自 分の意見も含めて5分間スピーチする。その後,「教育問題と教師のあり方」について話し合う。 司会:クラス代表(学生) 助言者:クラス担任 |
クラス | クラス担任 | 1 |
12 | 7/4 | ◇講演会「先生の力−教職33年の経験から−」 ----- 講堂 上越市教育委員会 西山義則先生 |
クラス | クラス担任 松沢 古閑 |
1 |
13 | 7/11 | ◇クラスセミナー ----- 各教室 ・各クラスでの弁論発表会「私の目ざす教師像」 一人4分以内 クラス代表1名の選出 |
クラス | クラス 担任 |
1 |
14 | 7/18 | ◇人間教育学セミナー弁論大会 ----- 講堂 ・学部生大会 16編×4分=64分 審査員:高田副学長,松沢,古閑 |
全体 | クラス担任 松沢 古閑 |
1 |
15 | 7/25 | ◇人間教育学セミナーの総括 ----- 講堂 ・表彰・講評と感想発表,総括 担当:高田副学長 ・「教職キャリアファイル」の整理・記録(古閑) |
全体 | クラス担任 松沢 古閑 |
1 |
評価: | @出席日数と授業への参加態度 A指定読書に基づくレポートと意見発表 B弁論大会の原稿とその発表 |
人間教育学セミナー図書資料
1 必読図書
ジャンル | 書名 | 著者 | 出版社 | 価格 |
教職全般 | 新編 教えるということ | 大村 はま | 筑摩学芸文庫 | 840 |
2 選択図書 ※いずれか1冊
ジャンル | 書名 | 著者 | 出版社 | 価格 |
特別支援教育 | LD(学習障害)とADHD (注:意欠陥多動性障害) |
上野 一彦 | 講談社+α新書 | 820 |
アスペルガー症候群と学習障害 ―ここまでわかった子どもの心と脳 |
榊原 洋一 | 講談社+α新書 | 820 | |
いじめ | いじめの構造を破壊せよ | 向山 洋一 | 明治図書教育新書 | 1,008 |
教室の悪魔−見えない「いじめ」 を解決するために |
山脇 由貴子 | ポプラ社 | 924 |