記録編 ニューヨーク
国際連合(The United Nations)本部
筑波大学附属高等学校 田尻信市
国連本部 1.国際連合本部
○各国政府寄贈のモニュメントに感動
 私たちは、8月20日午前、ニューヨーク市・マンハッタン島のイースト川に面する国際連合(The United Nations 以下、国連と略記する)本部を見学した。同日午後にはJFK空港から日本へ向けて立たねばならなかったため、あわただしいなかでの訪問となった。当日は日本の秋を思わせる晴天に恵まれ、陽射しは強かったが、空気がひんやりとして心地よい見学となった。国連本部は、ガラスと大理石からできた39階建ての事務局タワー、低いドーム型の総会ビル、川に面した長方形の会議場と、敷地南西隅のダグ・ハマーショルド図書館の、4つの建造物群から構成されていた。事務局タワーが太陽の光をいっぱいに受けて、宝石のように輝いていたのが印象的であった。国連本部は私たちが日頃教科書やテレビを通じて想像していた大きは異なり、意外なほど狭いのには驚かされた。国連本部の周囲には、高層ビル群が林立し、近代的な都市景観をつくりだしていた。この地が、国連本部施設が建設される以前は、工場や電車車庫として利用されていた人気のない土地であったことが想像できないほどの大変貌ぶりである。
加盟185カ国の旗が
掲揚された国連本部
  敷地内には、各国政府が寄贈したモニュメントが多数見られた。これらのモニュメントは、世界平和と各国の友好を希求することを目指した国連の精神と活動を象徴化したものであり、どれも国連の活動を扱うさいの教材として利用したいものばかりであった。とりわけ私の興味を引いたモニュメントは、正面入り口付近にあった「発射不能の銃」と題された拳銃のオブジェである。これはルクセンブルク政府から寄贈されたものであり、銃筒がねじれた姿は戦争否定と非暴力を表現しており、国連の活動を端的に示すものであった。国連本部を訪問した人々が、このオブジェの前でひっきりなしに記念写真を撮っている情景はとても印象的であった。この他にも、旧ユーゴスラヴィア政府の「平和の騎馬像」、旧ソ連政府の「われらの剣を鋤に打ち変えん」と題された像などが目を引いた。また、日本政府からも各国コインやメダルを鋳造してつくった「平和の鐘」が寄贈されている。