テーマ別編 高等学校 5/6
ピッツバーグの産業構造変化と都市再開発
新潟県立新潟西高等学校 志村 喬
(3) ゴールデン・トライアングル地区再開発の背景
 この地区の再開発が、1950年代といった早い時期から取り組まれ成功に至った背景として、この地を拠点とする企業の協力があったことがあげられる。ピッツバーグには、表2に示すような大企業の本社が置かれており、多国籍企業も多い。上位500社中の本社数でみると、全米において8番目に大企業本社の立地数が多い都市である(表3)。このようなピッツバーグへの本社機能集中は、先に紹介したように、この地で設立された企業が多いことに由来している。再開発の実施においては、この地を本拠地とするメロン財閥が、再開発事業のイニシアチブをとったとされる。現在、ゴールデン・トライアングルにオフィスビルを構える大企業(例えばメロン財閥系のウェスティングハウス・エレクトリックや、モルガン財閥系のUSX)などをあわせて考えると、この地を基盤とする大企業の存在を、再開発成功の背景として忘れてはならないであろう。


表2 ピッツバーグに本社を置く主要企業
企業名 フォーチュン
順位
事業内容
USX Corporation* 47 エネルギー・
鉄鋼業
Alcoa* 95 アルミニウム製造業
Westinghouse Electric* 135 電気機器・
発電機製造業
H.J.Heinz* 162 食品業
PPG Industries* 185 化学・
ガラス工業
PNC Bank Corporation* 205 金融業
Mellon Bank Corporation* 290 金融業
Consolidated Natural Gas* 376 天然ガス配給業
AK Steel Holding Company* 526 特殊鋼製造業
Armoco* 584 特殊鋼製造業
Allegheny Teledyne* 704 特殊鋼製造業
Equitable Resources 726 天然ガス配給業
Duquesne Light Company 804 電力配給業
*は多国籍企業の本社
資料:フォーチュンの大企業1000社(1996)


表3 フォーチュン上位500社の
本社所在都市の順位
順位 都市 企業数
1 ニューヨーク 47
2 シカゴ 17
3 ヒューストン 17
4 アトランタ 11
5 フィラデルフィア 10
5 サンフランシスコ 10
7 セントルイス 9
8 ピッツバーグ 8
9 クリーブランド 7
9 ダラス 7
9 ミネアポリス 7
9 リッチモンド 7
資料:フォーチュンの大企業1000社(1996)