カリキュラム

研究室紹介

■地理

山縣耕太郎
山縣 耕太郎(やまがた こうたろう)

地理学を担当。環境の歴史的変化,人と自然との関わり,地生態について,地理学的な見地から研究を行っている。
主要著書:『アフリカ自然学』(共著)『歴史表象としての東アジア』(共著),『百名山の自然学』(共著)

【研究室紹介】
 地理学は、地球表面上の様々な事象の状態や、相互関係を研究する学問です。その対象は、人、自然を含め、とても広い範囲に及びます.その中で、私は、主に自然を相手にした研究をしてきました.最近では、自然環境と人間社会との関わりにも興味をもって、自然災害や、環境問題、環境史にかかわるテーマにも取り組んでいます.また、環境教育、エネルギー教育にも関心を持って活動をしています。
 修士論文の研究では、科学することの一端に触れてほしいと思っています。自然や、地域の中に入って、オリジナルなデータを取る、あるいはオリジナルなアイデアで問題に切り込むことによって、自分だけが知っている自然や地域の側面を発見してもらいたいのです.そうした経験は、将来教員になった時にも、きっと役立つはずだと思っています.私は、フィールド調査が好きなので、みなさんにもフィールドワークの楽しさを経験してもらいたいと思っています.しかし、コンピュータを用いて地理情報システムやリモートセンシングによって地図や衛星データ、統計データなどを分析する研究もあります。
 これまでに、お手伝いをした卒業論文、修士論文と、私が研究してきたテーマの内容(一部抜粋)を以下に紹介します。ここに示した以外でも、「地域」や「環境」に関わるテーマに関心があれば、いっしょに勉強をしたいと思っています。
●過去の環境変化の歴史,地形が作られる過程に関する研究
 南部アフリカの環境変化,カムチャッカ半島における氷河消長の歴史など
 富山県海岸部に分布する埋没林と地形発達との関係(卒論)
●人と自然の関わり合いに関する研究 
 人間活動の自然への影響に関する研究,災害による人間社会への影響
 新潟県頸城湖沼群湖成堆積物に記録された環境変遷史の解明(修論)
●地理情報システム(GIS)を活用した地域分析,災害研究
 GISを用いた妙高火山ハザードマップの作成と危険度評価(修論)
 新潟県西頸城山地における地すべり地形の特性(修論)
●自然環境を構成する諸要素の間に成立している相互関係を明らかにする研究(景観生態学)
 妙高火山および火打山における植生分布と環境条件(卒論)
●災害教育,環境教育,エネルギー教育に関する研究
 上越エネルギー環境教育研究会 (学内有志の教員,上越地域の学校,NPOが連携してエネルギー環境教育を推進する活動を行っています)
 etc...

上越エネルギー環境教育研究会:http://www.juen.ac.jp/jue-eeep/
山縣耕太郎HP:http://www.juen.ac.jp/shakai/kotaro/index.html
橋本暁子
橋本 暁子(はしもと あきこ)

地誌学を担当。地域の性格とそこに住む人間の営みとのかかわりを研究する。
主な論文:「京都近郊農山村における柴・薪の行商活動」歴史地理学,「近代における大原女の変化」交通史研究など。

【研究室紹介】
 人と地域との関係について追求することは、その地域の特徴を明らかにすることになりますが、一方で、一人の人間の生き方や一つの家族の物語など、そこに暮らす人びとの生々しい生き様にも直面します。地理学的な見方を深化させるとともに、フィールドワークを通してその地域の特徴は何なのかを追求しましょう。

■歴史

浅倉有子
浅倉 有子(あさくら ゆうこ)

日本史担当。近世を中心に中世末から幕末・維新期までの総合的な把握をめざす。北方史,幕藩体制史,女性史を主な研究領域とする。
主要著書:『北方史と近世社会』(清文堂出版)他


【研究室紹介】
 浅倉ゼミは、日本史を専攻する学生・院生のゼミで、現在学部3年から修士2年(免許プログラムの院生を含む)まで、助っ人?を含め15名程の参加者がいます。ゼミ生が専攻する時代は飛鳥時代から大正末年まで、また19世紀のアメリカと幅広く、それぞれが自分の選択したテーマと向き合い、論文と格闘しています。日常のゼミは、学部と修士を分けて行なっていますが、飲み会や卒論・修論の完成間際?のゼミ旅行(集中ゼミと史跡等の巡見)などのイベントは、学部生も院生も一緒です。なぜか男性が多いゼミです。史資料や研究文献の山と格闘するゼミは楽しいばかりではなく、むしろ多くの人にとっては初めて直面する困難な事業?です。しかし、その困難な作業の蓄積から喜びが生まれ、やがて新しい世界に立っている自分を発見するという感動につながることと思います。
下里俊行
下里 俊行(しもさと としゆき)

世界史担当。近現代を中心としたユーラシア(アジアとヨーロッパ)の歴史。とくにロシア史。
共著として『歴史表象としての東アジア』(清文堂),『越境する歴史教育』(教育史料出版会),『集いのかたち』(柏書房),『角川世界史辞典』など。

【研究室紹介】
 大学院では授業「外国史システム研究セミナー」、「外国史システム特論」を担当しています。大学院では、ゼミ院生の幅広い問題意識に応え、次のような修士論文を指導してきました(一部抜粋)。
■「16世紀イタリアにおける言語文化にみる男女関係の諸類型」
■「ヨーロッパ世界におけるピョートル1世統治下のロシア経済の位置-「世界システム論」の再考」
■「昭和初期の子ども漫画における戦争描写の分析」
■「プラトン初期対話篇『エウチュプロン』の研究-「敬虔」を探求するソクラテスの考察」
etc...
 世界史ゼミでは、大学院生の個別の問題関心に応じて多様な分析方法・調査スキルを指導します。
畔上直樹
畔上 直樹(あぜがみ なおき)

日本史を担当。地域社会史という立場から,20世紀前半の時期を中心に,近代と現代をつなぐ時期の問題をとりあげ,近現代日本史像のとらえなおしを試みている。
著書:『「村の鎮守」と戦前日本』(単著,有志舎)他。

【研究室紹介】
 日本近現代史の教員として2010年4月に着任しました畔上直樹です。
 大学院のゼミでは、明治政府の基礎が固まってくる時代からそれこそ現在に近い時期までおつきあいいたします。もちろん、ゼミ生が自分自身で選びとった研究テーマを最大限尊重いたしますが、「それはないだろ」というものは適切かつ厳正に却下しつつ指導していきます。なお、この院ゼミと学部生のゼミは、さしあたり別々におこなっています。
 修士論文作成を通じて学術論文とその作成「作法」を学ぶということは、大学院という場で学ぶ醍醐味といっても過言ではありません。学術論文ですから、当然何らかの意味でのオリジナル性が求められますが、それとともに、学術論文の形式を遵守して、その道の専門家を「読者」として想定しながら歴史具体的かつ論理的に書くということ自体、かなりの力量を要することに属します。したがってゼミでは形式面、技術面での習熟も重視して修士論文指導をおこないます。
 私自身はこれまで主に、20世紀にはいったころ(明治時代末年)から、20世紀前半(大正、昭和戦前戦時期)にかけての時期の地域社会について、文化、宗教(神社)、環境、歴史意識、伝統などといった切り口から、歴史学(地域社会史)の手法を軸に研究してきました。日本近現代の地域社会史の細かいことに興味のあるひと、近代化とは一見関係なさそうな地域社会の「伝統文化」的なものや景観(環境)に興味のあるひと、路上観察や自然観察、つまりは散歩がとにかく好きなひと等々、いずれも大歓迎です。
 なんといってもできたてほやほやの研究室です。伝統ある研究室の「色」になじんでもらうというより、皆さんといっしょにその「色」をつくりあげていく段階というべきでしょう。私自身どんな研究室に育っていくのか、楽しみにしています。

■公民

松田愼也
松田 愼也(まつだ しんや)

宗教学担当。専門は仏教学,特に原始仏教及び南方上座部仏教教理学。上越教育大学赴任後は,上越が親鸞に縁のある土地であることから『歎異抄』の研究も行い,また近世の真宗寺院の研究も行っている。
著書『ダンマパダ 心とはどういうものか』(日本放送出版協会),共訳『ジャータカ全集』巻4・6(春秋社)等。

【研究室紹介】
 「宗教」と聞くと、日常生活には縁遠いもの、自分にとっては関係のないものとの印象を抱く人も多いことかと思います。まして公教育においては、信教の自由や政教分離の立場からその取り扱いについては慎重でなければならず、従って避けて通った方が無難だと考えていても不思議はありません。でも、本当にそうでしょうか。
 私たちの身の回りには様々な慣習があり、その中には必ずしも合理的に説明がつかないことも多く含まれています。しかし、合理的でないからといってうっかり無視したりすると、非常識だとして世間的非難を浴び、社会的信用を失墜することになります。このような慣習の基にある考え方、「社会とは、人とは、かくあるべき」との信念の体系が宗教なのです。
 仏教やキリスト教が宗教であることは言うまでもないことですが、しかしまた、それらが純粋な形で信じられている社会など世界のどこにもありません。それぞれの社会の伝統のなかで独自の姿を形成しています。たとえば、日本の仏教は日本的伝統の中で千数百年を経ることによって、東南アジアの仏教はもちろん、その直接的起源である中国仏教とも大きく異なったものとなりました。日本的伝統をもっとも強く反映しているのは言うまでもなく日本の民族宗教である神道ですが、明治以降の歴史しかないキリスト教にもその影響は明らかに認められます。
 個別宗教の枠を超えたこのような日本の文化伝統を捉えて「日本教」という概念を提唱したのは山本七平という評論家です。ベラーというアメリカの宗教社会学者によれば、それぞれの国家・社会にはそれぞれに「〜の市民宗教」があるのだといいます。
 文化と宗教とは密接に関係しています。ですから、文化論に興味のある人は是非宗教学を覗いてみて欲しいと思います。そこには歴史がありますから、宗教学の立場からの歴史研究も良いでしょう。その他、視点の立て方次第で多様な研究が可能になるはずです。たとえば、現在指導中の院生は、規範形成という観点から学校教育における清掃活動の意義を日本の文化伝統に遡って研究しています。
 教育のもつ大きな使命のひとつは文化の伝達です。ならば、教育者を目指す者にとって宗教の理解が不可欠であることは、もうお解りですね。
小島伸之
小島 伸之(こじま のぶゆき)

法律学を担当。憲法・日本近代法史・宗教社会学を専攻。特に人権論・日本憲法史・国家と宗教に関する諸問題を、実証研究の観点から研究している。具体的テーマとしては、特別高等警察による宗教運動取締、戦前期における宗教法制、少年法制と触法精神障害者法制の比較など。
共著『井上毅とその周辺』(木鐸社),『宗教学事典』(丸善),『情報時代のオウム真理教』(春秋社)他。

【研究室紹介】
 「法」・「社会学」「近代法史」にかかわるテーマに関心があり、研究に意欲のある学生の受講を歓迎します。
 〈法律学は規範学である〉という考え方があります。規範学とは「○○すべき」という「べき論」を特徴とした学問といわれます。「べき論」も必要かつ大切ですが、それは「事実」を基礎にして論理的に展開された、根拠あるものでなければなりません。単なる思い込みや好き嫌い、時代の風潮のみを根拠に「べき論」(sollen)を展開するのではなく、「事実」(sein)を基礎として論理的に思考を展開していくことこそ、学問研究一般に通じる重要な基礎ではないかと、私は考えています。事実を基礎とした論理的思考の展開という点では、社会学に関しても、同様のことが言えます。
 社会の中には《大人の事情》や《お約束》があり、日常生活においてだれしも、それらから自由でいることはできません。しかし、学問のすばらしいところは、《大人の事情》や《お約束》よりも、《事実》のほうが優先する、という《お約束》を前提にできる点にあります。その意味で学問は、人を自由にし得る力を持っているのです。
 Not even justice I want to get truth. …真摯な態度で研究に臨み、「はだかの王様」、「王様の耳はロバの耳」のテーマに共通する精神を身につけてください。
 「法律学」、「社会学」という枠はきわめて広範であり、私の専攻と離れたテーマのほうが多いかと思いますが、ゼミ生が関心のある「法」・「社会学」・「近代法史」に関わるテーマについては、貪欲に共に学んで行きたいと思います。
吉田昌幸
吉田 昌幸(よしだ まさゆき)

経済学を担当.経済進化という観点からオーストリア学派の企業家論を研究すると同時に,地域経済コミュニティの活性化にも関心を持つ.また,ゲーミング・シミュレーションを用いた地域通貨研究も行う.
「企業家精神:企業家になるとはどういうことか」橋本努編『現代の経済思想』勁草書房,2014年,Community Currency Game: a tool for introducing the concept of community currencies (共著), The proceedings of the 45th ISAGA Conference, pp.788-794, 2014.

【研究室紹介】
1.特徴
本ゼミは,経済あるいは経済学に関わる文献の輪読と,各自の修士論文に関わる報告・議論という二本立てで行っています。修士論文の研究テーマは経済や経済学に関わることであれば基本的に自由ですが,主体的にテーマを決定し,積極的に調査・研究していくというフットワークの良さを求めます。経済や経済学に関して一度きっちりと勉強し,議論してみたい人,自分なりの社会に対する考え方を構築しておきたい人,地域経済の人たちにインタビューやアンケート調査などをしてみたい人,大いに歓迎します。
2.輪読図書
2009年度 リチャード・フロリダ(2003=2008)『クリエイティブ資本論』
2010年度 ピーター・ドラッカー(1985=2007)『イノベーションと企業家精神』
2012年度 ジョン・ミクルスウェイト,エイドリアン・ウールドリッジ(2003=2006)『株式会社』
3.研究テーマ
これまでの修士論文
「上越市高田地区中心市街地活性化に関する考察-商店街の機能に着目して-」
「地域金融における動産担保貸出の可能性-新潟県内地方銀行の現状分析を中心として-」
現在の大学院生のテーマ
「地域通貨によるコミュニティ形成の可能性について」
「中山間地域における地域資源の発掘と創造に関する考察」

その他、私の業績や活動については「吉田研究室」を見てください。
また、本学大学院で経済学を専攻したいと考えている方は必ず「本学大学院受験希望者へ」を見てください。

吉田研究室HP:http://yoshidam.com/

■社会科教育

志村喬
志村 喬(しむら たかし)

社会科教育学を担当。特に地理的分野の実践的・理論的研究。英国を主とする地理教育の国際比較研究、空間・環境認知と地図学習の研究、社会科・地理教材開発研究ならびにその基礎として人文地理・地誌的研究が主要な研究領域。
単著『現代イギリス地理教育の展開』(風間書房),共著『高等学校新学習指導要領の展開 地理歴史科編』(明治図書)など。

【研究室紹介】
 社会科教育・地理教育は,教科教育学と地理学の接点を,教育実践的な視座から研究する幅広い領域です。ですから,現職教員のゼミ生は自身の授業実践を客観的に振り返ること,学部卒のゼミ生はそれまでの被教育体験で考えたことを出発点に,広い視野を持って問題意識を育み,修士論文を作成しています。
 週1回のゼミは,各自の問題意識・研究構想・研究進捗状況を輪番で発表します。さらに,通常のゼミ以外にも,学部ゼミ生と一緒のゼミ・勉強会も実施してきました。そこでの現職教員院生・学部卒院生・学部生の自由闊達な議論には,相互の研究に役立つヒントが多く,そこでのヒントから卒論テーマを見いだした学生もいます。
 また,地理を主対象とするため,現場主義を重視するとともに,毎年度末には修論生・卒論生にゆかりのある場所への巡検(お別れ旅行)を実施しています。

志村喬研究室HP:http://www.juen.ac.jp/shakai/shimura/index.html
茨木智志
茨木 智志(いばらき さとし)

社会科教育学を担当。特に歴史的分野の実践的・理論的研究。近代以降の日本の自国史教育・世界史教育の歴史研究,東アジア諸国を対象とする歴史教育の比較研究などを主な研究領域としている。

【研究室紹介】
 社会科教育、特に歴史教育を担当している茨木智志です。
 歴史教育や歴史認識に関心を持つ大学院生が、ゼミ生として所属しています。これまで、小・中・高校の現職教員の院生や、学部を卒業して入学した院生の皆さんが、ゼミにおいて、各自の研究テーマに取り組んで来ました。
 参考までに、昨年度までの修了生の修士論文のテーマは、以下の通りです(一部抜粋)。
・日米歴史教科書における「アフリカ系アメリカ人」に関する記述の研究
・世界史教育における映画の活用に関する一考察 -南北戦争の教材化を通して-
・小学校社会科での日韓日朝関係史の学習に関する一考察
・中学校社会科歴史的分野における内容構成に関する研究 -「時代の特色の理解」を中心として-
・吉野作造の朝鮮認識に関する研究 -提携の思想に焦点をあてて-
 etc...
 週1回のゼミでは、ゼミ生が順番に発表を担当しています。ゼミを通じて、各自のテーマをしぼり、研究を進めていきます。その成果が、ここにあげたような修士論文となります。
 私自身は、歴史教育の歴史研究(歴史教育、特に世界史に関わる教育が日本でどのように行われてきたのか)や歴史教育の比較研究(歴史教育が各国、特に東アジア諸国においてどのように行われているのか)などを通じて、社会科教育・歴史教育のあり方を追求しています。
 歴史教育や歴史認識に興味のある人のご参加をお待ちしています。
中平一義
中平 一義(なかだいら かずよし)

社会科教育学を担当。特に公民的分野の実践的・理論的研究。特に法教育、憲法教育の実践的・理論的研究、また、公民的資質の育成などを主な研究領域としている。
主な論文:「法とルールの基本的価値を扱う法教育授業研究−私的自治の原則の現代的修正を題材にして−」『社会科教育研究』114,2011年など。

【研究室紹介】
 社会科教育学の中でも特に公民的分野は、法律学や、政治学、経済学をはじめとしたさまざまな社会諸科学の成果を、どのように教育するのかを研究し、子どもたちの社会の認識をとおして公民的資質の育成を目指します。平和で民主的な国家及び社会の形成者を育成するために、公民的分野の様々なアプローチを研究するゼミです。
 なお、ゼミは、各自の興味に基づいた公民教育に関する論文の購読、各自の研究発表を中心に進めていきます。

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