上越教育大学 教員養成GPプロジェクト

図画工作科・美術科を授業の中心に据えた学びの成り立ちや支援の在り方の研究

取組実績と課題

3.平成18年度共同研究授業に関する記録

共同研究授業における活動場面の記述と考察

「活動場面の考察」

 活動開始直後、Nさんは何をつくってよいのか分からないようで、静かに活動していた。しかし、Nさんは隣で活動していたSさんのつくったものを見ることをきっかけとして、生き生きと活動を始めた。また、Nさんはノコギリを使い始めたとき自信がない様子であった。Nさんはノコギリを使っている友だちの様子を見ながら、木を切る内に、自分流のやり方を見つけていった。活動が終わる頃になるとNさんは上手にノコギリを使って木材を切っていた。
 Nさんの活動のなかで特に取り上げたいのは、活動終了間際の場面である。このとき、Nさんは自信がなさそうに、つくったものを材料置き場に捨てたように見えた。それを見たKさんはNさんに「何でつくったもの捨てるんだよ(「活動場面の記述」番号914)」と言い、Nさんのつくったものを拾って渡した。その後、Nさんはワークシートを書くときもつくったものを離さず、さらに新しい材料を集めていた。 この場面はNさんとKさんとの「自分や仲間のつくりだしたものに関心をもち、それぞれのよさに気づきあじわい合う」(活動案「2.活動の内容と目標」(3))場面として捉えることができる。
 また、NさんがKさんとのかかわりを通して、自分の捨てようとしていた作品を大切にしていく場面は「仲間からの思いや感想をうけて、自分の作品の新たな意味やよさを見出し、自分の感じ方、表し方のよさに気づく」(活動案「2.活動の内容と目標」(4))場面として捉えられると考えられる。