大学院進学を考えている方へ

1)ゼミ生の属性
 学校ヘルスケア(増井ゼミ)での研究内容については、説明したとおりです。修士(教育学)の学位を取得することが本来の目的ですので、研究は学校教育に貢献できる内容のものを考えています。平成18年の開講以来これまでに15人の方が増井ゼミに所属され、すでに11人は修了されました。1人は在籍中に教員採用試験に合格したため、残念ながら修了する前に小学校教員として就職されました。入学生の出身学部ならびに所有免許は、表3のとおりです。

表3.入学生の属性
出身学部 人数   所有免許
栄養系 3   栄養教諭1
心理系 3   養護教諭2
看護系 4   養護教諭4
教育系 1   小学校教諭1
健康科学系 4   養護教諭2  
  中・高教諭2

 これまでに現職教員は2人で、学校ヘルスケアコースの中にあっては、学部からストレートマスター生が多いのが増井ゼミの特徴です。研究テーマはできるだけ学生さんのニーズに応じられるようにしていますが、やはり中心的なテーマである「摂食障害の発症機序に関する研究」に関連することを第一に考えています。したがって、進学希望の方とは入学前にコンタクトを取り合い、ある程度研究テーマを見据えた上で受験していただけるように考えています。
1−1)現職教員
 現場で健康教育を実践してきたけれども、経験を整理したり知識を増やたりしたい人が対象となります。養護教諭の方だけでなく、小中学校で担任として健康教育を推進する立場にある方、特にこどものメンタルヘルスに関心のある方など、この機会に専門的知識を深めてみてはどうでしょうか。あるいは、近年関心が高まってきている”教職員のメンタルヘルス”に関するテーマで研究してみるのもよいかもしれません。
1−2)教員免許取得者
 学部で教員免許を取得したけれども社会に出る前にもう少し勉強したい人が対象となります。養護教諭養成系出身者だけでなく、学部で栄養教諭免許を取得された方や、看護系学部を卒業され保健師を志している方など、幅広い領域の人に興味を持っていただけると幸いです。
1−3)教員免許未取得者+免P生
 学部で教員免許を取得しなかった人やさらに免許を増やしたい人(特に小学校教諭)が対象となります。各大学に健康教育に関する学部が多く設立されています。その知識を深めさらに教員としてこどもたちに健康教育を実施してみたい方にお勧めです。大学院の3年間で、教員免許取得に必要な学部の単位に加え、修士に必要な大学院の単位(専修免許に必要な単位)、修士論文執筆、さらには最終学年には教員採用試験の勉強と、かなり忙しいですが充実した3年間になると思います。
 以上、みなさん一人一人大学院に求めるものは違うでしょうが、やはり修士号を授与する以上は最低限の研究能力を身につけないと修了できませんので、できる限りサポートしていきたいと思います。

2)ゼミ(研究セミナー)の運営・指導体制
 上越教育大学では、修士論文作成に直結する授業として「研究セミナー」という授業科目を開設しています。増井ゼミに所属する学生さんの場合は、「学校精神保健研究セミナーⅠ・Ⅱ」「食の健康セミナーⅠ・Ⅱ」のいずれかを受講していただくことになります。前者は保健と養護教諭の専修免許に、後者は栄養教諭の専修免許の申請に利用できる授業科目です。
 研究セミナーは毎週木曜日第5時限(16時20分から17時50分)、増井晃研究室(体育棟302室)で開催しています。それとは別枠で、個別指導を実施しています。事前に連絡いただければ、他のコースの大学院生、入学を考えている方の参加も可能ですので、一度見学していただくのも良いでしょう。
 M1生:自分の関心のある研究領域の中から、自ら選択した論文発表
 M2生:修論研究の進捗状況報告
これらの、テーマに基づき、全員でディスカッションしたり、こちらで補足解説をしたりしながら授業は進められています。また、微力ながら、教員採用試験対策にも協力したいと思っています。
 研究の内容によっては、学校ヘルスケアに所属する他の教員や時には他コースの教員とも連携し、研究に必要な知識を補完していけるように配慮します。また、奨学金申請、留学、単位取得計画だけでなく、日常生活や健康状態の相談まで、指導教員が幅広く学生を支援するのが本学の特色でもあります。ゼミ生が教員となったとき、学生支援のモデルとなれれば幸いと思いながら対応しています。
 そして、研究計画の立案、先行研究のまとめ方、統計処理の基本、プレゼンテーション能力などを身に付け、将来リサーチマインドを持った教育の実践者となれよう勉強に励んでください。

3)ゼミの行事

表4.ゼミの年間予定
時期 タイトル 内容
4月 構想発表会(M2) 修論研究を開始するにあたり、最終確認。予備調査の結果なども発表します。新入生に対して研究内容を紹介することと、ゼミの雰囲気を知ってもらうための会です。
5月 歓迎会 健康教育を推進する増井ゼミでは、歓迎会も禁酒禁煙(?)で実施します。
8月 研修旅行 資料収集や施設見学を目的に、国立国会図書館などをまわります。
11月 日本学校保健学会 第61回は15日〜16日金沢市文化ホールで開催されます。
11月 構想発表会(M1) M1生が研究セミナーで学び修士論文のテーマとして考えていることを発表します。
その後恒例の”広島風お好み焼き”の講習会があります。
12月 新潟県学校保健学会 研修の場として、また日頃の研究成果を発表する機会として参加します。
2月 修士論文等発表会 学校ヘルスケア全体行事
学外の方々へ、研究成果を報告し交流を深める催しです。
  スノーボード大会 雪たっぷりの妙高山系でスノーボードを体験しましょう。
3月 修了生を送る会 修了生からの申し送り
修了生への記念品授与
 *構想発表会は平成25年度より、科目群の公式行事になりました。

4)進路
 これまでに、現職養護教諭として入学された方1人を含め11人のゼミ生が社会に巣立っていきました。入学生の属性(表1)でもお示ししたように、養護教諭の1種免許を持っている学生さんが多かったため、6人は養護教諭として勤務しています。ただし、希望する県の教員採用試験を突破するのは困難です。本学には就職支援室(通称PP)がありますので、教員採用試験に関する情報とサポートは手厚く受けられ、近年は採用試験に合格する方が増えています。




5)ゼミ生からの声
・石黒めぐみさん(M2、栄養士)
 私は、大学では栄養の勉強をしてきました。食や健康についての知識を深めたいと思い、大学院進学を決めました。大学院では免許プログラム(免P)を受けながら、増井ゼミで食育について研究をしています、免Pのため講義が多くなかなか研究が思い通りに進まないこともありますが、増井先生のご指導を受け、新たな発見の毎日で、以前よりも視野が広がったと感じています。

・名城麻津留さん(M2、養護教諭一種免許)
私は昨年の4月に遠く離れた沖縄から上越に来ました。大学で養護教諭の勉強をしながら食育と出会い、食育の指導ができる専門性をもった養護教諭になりたいと思い大学院に進学しました。慣れない環境の院生活はとても不安でしたが、学校ヘルスケアの皆さんと増井先生の暖かいサポートのもと充実した日々を送っています。子ども達が心も体も元気に学校生活を過ごせるよう、養護教諭として全力で支援できるよう日々健康教育に励んでいます。

・町田範子さん(M2、現職養護教諭)
年齢を重ねると経験知は増えますが、固定概念や既成概念にとらわれがちになります。自分の考えだけでは限界があり、偏った考え方をしてしまうこともあります。 そして、大事な考えが抜け落ちているかもしれません。他に、もっといい考えがあるかもしれません。 増井晃先生からアドバイスをいただきながら、健康教育 性教育分野の研究をしています。その中で、学校現場で何気なく実践していたことの意味や有効性を振り返り、養護教諭としての足元を見つめることにつながっています。