プロフィール

              yutaka

                教授 増井 晃
               AKira Masui, M.D.

 はじめまして。
 私は、これまでに主に大学病院で精神科臨床医として勤務した経験を学校教育研究の中で役立てたいと考え、2005年10月に上越教育大学大学院に赴任いたしました。そして、学校教育研究科 教科・領域教育専攻 生活・健康系コースにおいて、新たに学校ヘルスケア科目群が設置された2006年より専門セミナーを担当しています。大学院博士課程での医学系の研究と修士課程での教育系の研究には様々な違いがあり、戸惑うことが多々ありました。修士課程の2年間というのは大変限られた時間であり、大学院修了のための単位数だけでなく、専修免許の取得、さらには教員採用試験の勉強も同時進行であるということです。着任6年目に入りようやく慣れてきているところです。
 これまでの本学での学生指導経験から、入学を考えていただいている学生さんと事前にコンタクトを取り、研究目標を明確にしておく方が、2年間という短い時間で最大の成果が得られると思い、このHPを立ち上げることにいたしました。
 学校ヘルスケア(増井研究室)でできることをよく理解していただいた上で、進学をお考え下さい。

1)経歴

表1.これまでの勤務歴
年月   所属
1985年4月   滋賀医科大学付属病院(研修医)
1987年4月   西山病院(京都府)
1990年10月   滋賀医科大学精神医学講座
1991年4月   滋賀県立精神保健総合センター
1997年4月   滋賀医科大学精神医学講座
2005年10月   上越教育大学

 1985年滋賀医科大学を卒業後、滋賀医科大学付属病院で臨床医としての初期研修を積みました。その後京都府長岡京市にある西山病院で多くの症例をとおして精神科医の実務を経験し精神保健指定医の資格を取得することができました。1991年からは滋賀県立精神保健総合センターで主に思春期の精神医療を担当しました。その頃から、滋賀県内でも徐々に摂食障害を理由に受診する患者さんが増えてきた印象でした。1997年に滋賀医科大学精神医学講座に戻り、付属病院で「摂食障害外来」を開設し、2005年まで外来・病棟で摂食障害の治療にあたりました。
 滋賀医科大学精神医学講座には歴代生体リズムや睡眠を専門とする先生方が在籍されていたこともあり、その先生方から多くのことを学ぶ機会に恵まれ、加藤進昌先生の研究グループでは、睡眠物質やストレス、てんかん、記憶学習など幅広く研究の基礎的実践力を身に付けることができました。

2)摂食障害:治療から予防へ
 滋賀県立精神保健総合センターに勤務している頃から、滋賀県内でも小中学生で摂食障害を発症する患者さんが徐々に増えていきました。患者さんを通じて県下の養護教諭の先生方と交流を深める中で、治療すること以上に小学校段階における健康教育が重要であることを意識するようになりました。特に、近年重要視される「食に関する教育」において、摂食障害の発症予防をも意識した幅広い試みが大切なのではないでしょうか。
 2005年に上越教育大学大学院に赴任し、同時に保健管理センターにおいて精神保健相談も担当しています。保健管理センターでの相談だけでなく、摂食障害に関する授業や講演の後で、「今は大丈夫だけれど、私もかつては摂食障害だったかもしれない」と話す学生さんに多く出会いました。私が思っていた以上に、摂食障害様の症状を呈しながらも、自力で回復に向かう人たちが多く存在する現実を知りました。こうした経験から、摂食障害の発症機序に関する研究、食育を含めた摂食障害の予防に関する研究、さらに最近では摂食障害の疾病抵抗性に関する研究、つまり同じように摂食障害の初期症状を呈していながら、医療を必要とする重篤な状態へと発展しない理由を解明することへと関心が広がっていきました。

3)摂食障害以外の活動
 上越教育大学に赴任し、大学生のこころの健康の保持増進に携わるようになり、近年特に力を注いでいるのは「薬物乱用防止」に関することです。本学では平成23年度より敷地内全面禁煙を宣言いたしましたが、私は喫煙問題以上に大学生の飲酒対策が重要であると考えています。たばこと違って一般的に「お酒は良いもの」と認識され、背後にある薬物としての危険性や依存性について正しく学習する機会がないまま大人になり、十分い判断することもなくお酒を受け入れ、毎年のように急性アルコール中毒で命を落とす学生の事故が発生しています。また、お酒で酩酊することへの抵抗感の低さが育ち、脱法ハーブや大麻など、さらなる薬物へのゲートウェイにもなっています。
 こうした現状に対し、大学生(特に成人)に指導しても、小中高で積み重ねたお酒への肯定的な態度や一旦身についた飲酒習慣を変えることは不可能に近いことを実感しています。したがって、小中高での薬物乱用防止教育において「違法薬物はダメ、ゼッタイ」だけでなく、「アルコール問題」にも正しく向き合うことが必要と考え、講演他さまざまな機会を通して情報を発信していこうと考えるようになりました。

4)所属学会
 ・Society for Neuroscience
 ・日本生物学的精神医学会
 ・日本心身医学会
 ・日本司法精神医学会
 ・日本学校メンタルヘルス学会
 ・日本養護教諭教育学会
   など

5)大学院担当授業科目
 ・学校精神保健特論
 ・学校精神保健演習
 ・精神医学特論
 ・臨床薬理学特論
 ・実践場面分析演習(学校ヘルスケア)(*)
 ・精神保健研究セミナーⅠ・Ⅱ
 ・食の科学研究セミナーⅠ・Ⅱ
 ・いのち教育論(*)
 ・自然科学と教材開発(*)
   (*)は複数教員での担当です

6)著書・論文など
 ・摂食障害の診断と治療、ヘルスカウンセリング 3:32-38,2000.
 ・摂食障害(神経性無食欲症、神経性大食症) 、CLINIC magazine 02;68-71, 2002.
 ・摂食障害、スタンダード女性の医療学、永井書店、2007.
 ・摂食障害、TEXT精神医学第4版、南山堂書店、2010.
   ほか

7)講演活動(2010年度分〜)
 ・10.10.05 新潟県立高田北城高校職員研修会「思春期講座ー摂食障害ー」
 ・10.11.19 真宗大谷派講演会「精神疾患の理解と援助ー摂食障害を中心にー」
 ・10.12.08 糸魚川市学校保健会「教職員のメンタルヘルス」
 ・10.12.15 上越市立大手町小学校「睡眠と生活リズム」
 ・11.03.06 上越技師会研修会「睡眠と健康」
 ・11.06.28 上越市立柿崎小学校「睡眠と生活リズム」
 ・11.07.04 新潟県立高田高等学校職員研修会「思春期のこころと健康」
 ・11.08.01 厚生連中央看護専門学校「学生のやる気を引き出す関わり方」
 ・11.08.11 新潟県養護教諭12年経験者研修「児童生徒のこころの健康」
 ・11.09.29 新潟県立新井高等学校健康づくり講座「メンタルヘルスケアについて」
 ・11.10.05 新潟県立長岡工業高等学校保健講話「薬物乱用防止教育」
 ・11.11.24 妙高市立新井小学校「睡眠と生活リズム」
 ・11.12.03 公孫会花梨の会高田支部「摂食障害について」
 ・12.02.24 新潟県医師会学校保健研修会「児童生徒における神経性食思不振症」
 ・12.07.04 上越市立飯小学校「スッキリ目覚める方法」
 ・12.08.02 新潟県養護教諭12年経験者研修「児童生徒のこころの健康」
 ・12.08.29 厚生連佐渡看護専門学校「学生のやる気を引き出す関わり方」
 ・12.12.03 ハローワーク糸魚川「障害者のリワーク支援」
 ・13.02.04 長岡市立山古志中学校「薬物乱用防止教育」
 ・13.05.27 高田東ロータリークラブ「睡眠と健康」
 ・13.06.13 上越市立下保倉小学校「自分に合った睡眠リズムをみつけよう」
 ・13.07.09 新潟県立糸魚川白嶺高等学校「薬物乱用防止教室ーお酒の害」
 ・13.07.29 新潟市立こころの健康センター「摂食障害について」」
 ・13.08.01 新潟県養護教諭12年経験者研修「児童生徒のこころの健康」
 ・13.10.02 上越市立戸野目小学校「お酒の害」
 ・13.11.19 上越市立春日中学校「携帯電話と睡眠」
 ・13.12.18 新潟県立久比岐高等学校「お酒の害」
 ・14.02.22 公孫会花梨の会下越支部「児童生徒の摂食障害/お酒の害」
可能な限り講演依頼はお引き受けいたしますので、このHPをご覧になって興味を持っていただいた方は、是非ご連絡下さい。