上越教育大学 教員養成GPプロジェクト

確率概念の活動的・体験的理解を図る教授単元の臨床的開発研究

取組実績と課題

2.単元の流れ(9時間分)

問題(学習素材) 学習活動及び押さえるべき内容
1

【準備課題】

1つのさいころを振ったとき、
1の目の出る確率はいくつか?
     P=1/6

【本課題】

1つのさいころを3回振ったとき、
1回は1の目の出る確率はいくつか?
     P=1/2

○親が勝ったことは偶然か?

○起こりうることとしてどのような場合があるか?

○3回投げて1の目が出る確率を求める。

【発展課題】

6回投げて1の目の出る確率は?

生徒が持つ既有の確率の知識により、数学的確率の求め方を定義する。
【確率の求め方】

あることがらの起こる確率
   

【実験1−1】

親(教師)は出ない方に賭けて実際に生徒が3回投げて勝負する。

【実験1−2】

1人ずつ3回投げる勝負をあと9回行い、記録する。

【すべての場合の数】【樹形図の書き方】

*確率を求めるためには、起こりうるすべての場合の数とあることがらの起こる場合の数を正しく求めることが必要であることを理解し、そのために樹形図を生徒と一緒に導入する。

2

【前時の確認】

[1]さいころを1回振ったとき、偶数の目の出る確率を求めよう。
[2]ジョーカーを除く52枚のカードを1枚引くとき、カードの数が7である確率。

確率の求め方を再確認しながら、1つのさいころやトランプでのいろいろな確率を求める。

【本課題】

1つのさいころを6回投げて1の目が出る 確率を求めてみよう。

*樹形図を用いて表し、起こるすべての場合を数える。
【効率的な数え方】

1の目が出ないことの場合の数を求めることから1の目が出る場合の数を求める。

3

【練習問題】

問題1
大小2つのさいころの問題
大小2つのさいころを同時に振るとき、次の問いについて考えてみよう。

*樹形図または表を用いて、起こりうるすべての場合を求めて確率を求める。
[1]出る目の和が8になる確率
[2]出る目の和が10以上になる確率
[3]確率が最も高くなるのは、出る目の和がいくつのときか。
4 問題2
2人の係を選ぶ問題
5人の班でくじ引きで2人の係を決めるとき、1番と2番の人が係になる確率を求めよう。
*組み合わせを意識せずに、樹形図ですべての場合を表して確率を求める。
問題3
2つの役職を選ぶ問題
5人の班でくじ引きで班長と副班長を決めるとき、1番の人が班長で、2番の人が副班長になる確率を求めよ。

【順列と組み合わせ】

*樹形図ですべての場合を表して確率を求め、問題2との違いについて考える。

5〜6

【赤青カードゲームのルール】

袋の中の3種類(赤赤、赤青、青青)のカードから親が1枚選び、子に表の色を見せる。裏の色を当てたら子の勝ち、当てられなければ親の勝ち。
○子が勝つ確率を求めよう。
○親が勝ったことは偶然か?
○すべての場合を出し尽くしているのはどちらの樹形図だろうか。また、なぜだろうか。

ゲームの内容を理解し、子が勝つ確率を予想する。
【実験2−1】

生徒の代表が親となり、先生と勝負する。

【実験2−2】

実際に3人組でゲームを行い、記録をとる。
*樹形図を書き、すべての場合を表しているのはどちらか比較・検討する。
重みが違うことを確認し、同様に確からしいことの重要性を確認する。

【練習問題】

[1]表が赤の場合、その裏が赤である確率
[2]裏が赤である確率
[3]表が赤でかつ裏が赤である確率

【発展課題】

赤・青のカードを1枚増やして4枚のカードにすると上の問題はどうなるか。

*生徒との相互作用で標本空間のアイディアを導入して、確率を見直す。
7

【練習問題】

問題4
2回のフリースローの問題
2回続けてフリースローが入る確率を1/4と考えることは正しいか。


*「同様に確からしい」ことの再確認をする。
問題5
コインの問題
(1)2枚のコインを同時に投げる。
(2)コインを1枚投げる。それを拾っても
(3)3枚のコインを同時に投げる。
*樹形図を書き、(1)〜(3)の場合について確率を求め、(1)と(2)に違いがないことを確認する。
[1]1枚が表、1枚が裏の出る確率
[2]2枚とも表が出る確率。
[3]2枚とも裏が出る確率。
8 問題6
くじ引きの問題
当たりくじが2本、はずれくじが3本入っているくじをAが先に引き、Bが次に引きます。引いたくじはもどさないものとして次の確率を求めなさい。
*くじに番号を付けて表し、標本空間の意味とその「よさ」を意識させる。
[1]Aが当たる確率
[2]Bが当たる確率
[3]A、Bともに当たる確率
[4]Aが当たってBがはずれる確率
[5]AがはずれてBが当たる確率
9 問題7
カードの問題
(1)1から5までの数字を書いたカードがそれぞれ1枚ずつあります。この中から何枚か選んで並べる。
(2)1が書かれたカードが1枚、2が書かれたカードが2枚、3が書かれたカードが3枚あります。この中から何枚か選んで並べる。
*樹形図を書き、いろいろな確率を求める。
[1]2枚選んで2桁の整数をつくるとき、偶数になる確率。
[2]2枚選んで2桁の整数をつくるとき、奇数になる確率。
[3]3枚選んで3桁の整数をつくるとき、345(300)よりも大きくなる確率。
課題8
じゃんけんの問題
(1)3人で1回だけじゃんけんをする。
(2)4人で1回だけじゃんけんをする。
[1]3(4)人のグー、チョキ、パーの出し方は全部で何通りありますか。
[2]3(4)人があいこ(引き分け)になる確率を求めなさい。
[3]Bが1人だけ勝つ確率を求めなさい。