上越教育大学 教員養成GPプロジェクト

特別支援学級の小集団指導において児童の主体的な課題遂行を高める手だての検討

方法(詳細)

1)研究期間:X年6月〜X+1年3月であった。

2)対象児童・授業:対象児童は、小学校情緒障害児学級に在籍し、知的障害やPDDの診断を受けた、もしくは、疑いのある4名であった。性別は、男児3名(A、B、D)と女児1名(C)であった。4名とも、二語文レベルの発語はあったが、児童C、Dは発語不明瞭で使用場面との適合性が認められないことも少なくなかった。対象児童の4名が参加し、協力教員1名による小集団指導で、年間を通し継続して取り組まれる「音楽」の授業を対象とした。

3)研究の進め方:大学教員と協力教員が協働し、特別支援学級の授業改善を目指す実践研究であった。大学教員は協力教員と学校長に依頼し、承諾を得て研究を進めた。図1のように、協力教員は学級経営目標に基づく授業計画の立案と実践を行い、大学教員と院生は教材作成の補助を行い、実践の分析結果に基づく授業の改善点や予測、展開を提案した。やりとりは、[1]学校(大学)訪問による授業観察と協議会(1〜2回/月、計13回)、[2]電子メールによる協議(1〜3回/月)の方法で行った。[2]では、協力教員が大学宛に送付した授業のビデオ録画をもとに分析を行い、その結果に基づく改善点や展開をメールで伝えた。また、補足的に電話でやりとりを行った。協議では、授業者の「実行し易さ」を特に重視した。

4)授業目標・内容:音楽の授業の主な内容は、「開始や終了の挨拶(これから音楽の勉強を始めます、れい、おじぎをするなど)、4つの手遊び歌の動作模倣をする」であった。手遊び歌は、児童の実態に即して子ども向けのテレビ番組で使用されていた「糸まきまきの歌」「ひげじいさんの歌」「グーチョキパーの歌」「山賊の歌」を採用した。手遊び歌のビデオ教材をテレビデオに映して動作模倣のモデルとした。主な授業目標は、[1]児童全員が4つの手遊び歌の動作模倣をする、[2]日直の係の児童は開始や終了の号令をかけ、他児童は号令に応じておじぎをする、[3]児童全員が、手遊び歌をする前にみんなの前で自分が選択した手遊び歌を発表するであった。 指導案

5)記録:定点観察の手法を用い、定期的に(週1回のペース)、ワイドレンズを取り付けたビデオカメラを教室隅に三脚で固定し、授業開始から終了まで録画した。1学期に11日、2学期に12日、3学期に13日の計36セッションを録画した。

6)分析:大学教員と院生は、ビデオ録画をもとに、[1]教室内の物理的環境設定、[2]児童の課題遂行機会、[3]課題遂行反応の生起を記録した。